「キレイの先生」編集部です。
「肌がオイリー気味だな…」というとき、一見すると矛盾しているようですが、それは(お肌の)乾燥から来ているかもしれません。
お肌の表面はオイリーでも、内部が乾燥している状態を、「インナードライ」といいます。
今回のテーマは、そんな「インナードライ肌」についてです。
温香セラピー Bloom garden の諸星 ちえこ 先生に取材させていただき、その内容を前後編に分けてお届けします。
この前編では、「インナードライとは何か?」ということをまとめます。
インナードライは、どんなことが原因になるのでしょうか?
諸星 先生に教えていただきました。
目次
インナードライの原因
・スキンケア
・生活習慣
本日のキレイの先生
温香セラピー Bloom garden
諸星 ちえこ 先生 先生
「キレイの先生」編集部
顔のテカリについて
諸星 先生、よろしくお願いします。
今回のテーマは、「インナードライ」です。
まずは、お肌がオイリーだと、顔にはどんな影響があるのか教えていただけますか?
いちばんは、テカリです。
また、皮脂(ひし・毛穴から分泌されている油分)の分泌が多くなっている状態ですので、ニキビが出来やすく、毛穴の開き・汚れ・黒ずみなどを気にされる人もいます。
(お肌がオイリーな状態だと)毛穴の悩みにつながりやすいのですね。
はい。
他には、「(お肌がオイリーなとき)皮脂の匂いが気になる」という人もいるようです。
後は、(お肌がオイリーな状態では)化粧ノリも悪くなるといったこともありそうです。
それよりも、メイクが崩れやすくなることの方が大きいかもしれませんね。
先生のサロンのお客様には、オイリー肌の方は多いですか?
そうですね…。
ただ、(お肌がオイリーな状態だからといって)「オイリー肌」というくくりでは、まとめづらいですね…。
それは、どういうことでしょうか?
(お肌がオイリーな状態の)裏には、乾燥がある場合が多いです。
例えば、サロンのお客様でも、見た感じの第一印象は(顔に)テカリがあっても、実際にお実際に触ったり、日常生活の話をお聞きしたりすると、その背景に乾燥があったりします。
つまり「インナードライ」ということですね。
はい。
ですので、(顔のテカリを)すべて「オイリー肌」といえるかというと、それは難しいです。
顔のテカリは…
顔のテカリ(お肌がオイリーな状態)は、大きく下の2つに分けることができそうです。
A) オイリー肌
皮脂の分泌の多い肌質
B) インナードライ
(お肌の)乾燥から皮脂の分泌が多くなっている状態
「オイリー肌」と「インナードライ肌」では、どちらの方が多いのですか?
一般的には、日本人にはインナードライ(の人)が多く、日本人の約80%がインナードライともいわれています。
80%!?
すると、日本人のほとんどが、インナードライ肌といえそうですね…。
はい。
(顔のテカリから)「私はオイリー肌かな…」と思い込みをしていても、実は、乾燥肌がオイリーな状態を作っていることは多くあります。
サロンのお客様に限っていっても、(顔のテカリを気にされている方は)ほぼ全員、インナードライでした。
逆に、オイリー肌の方は、ほとんど記憶にありません。
では、「私はオイリー肌かな…」と思っていても、実際はインナードライであるケースの方が多そうですね。
もちろん、先天性の肌質(オイリー肌)のケースもあるでしょうが、インナードライの可能性の方が高いと思います。
インナードライとは
インナードライは、お肌の表面がオイリーで、内側が乾燥している状態をいうのですよね?
はい。
(皮膚の内部の)角質層などが乾燥している状態ですね。
角質層について
皮膚は、「表皮(ひょうひ)」・「真皮(しんぴ)」・「皮下組織(ひかそしき)」の3層構造になっています。そして、もっとも表面にある表皮は、下の図のように、さらに細かい層に分かれています。
角質層は、その中でも、もっとも表面にある層になり、約0.02mmの薄さしかありません。
どうして、(皮膚の内部の)乾燥が、(表面の)オイリーな状態につながるのでしょうか?
皮脂は、お肌の表面をなめらかにして、(皮膚の)水分を逃さないようにうるおいをキープしたり、ほこり・紫外線・雑菌などの外的要因をお肌の表面で食い止めたりするバリア機能の役割があります。
皮脂の働きについて
皮脂は、皮膚の表面で、汗などの水分と混ざり合って、天然の保護膜「皮脂膜(ひしまく)」を作ります。皮脂膜には、皮膚の水分の蒸発を防いだり、外部の刺激から皮膚を守ったりする役割があります。
お肌の表面に皮脂が不足していてバリア機能も弱まっていると、雑菌など、(皮膚の)中に入れたくないものが入ってしまうため、「それを防がなきゃ」、「ガードしないと」と防御反応が働き、身体が皮脂を出そうとします。
それによって、皮脂が必要以上に分泌されます。
後は、(お肌が)乾燥していると、「これ以上、(皮膚から)水分が逃げないようにしなければ」と身体が反応して、皮脂の分泌が増える、といった話を聞いたことがあります。
はい、それもありますね。
ですので、お肌を「中(乾燥)」と「外(外的要因)」の両方から守ろうとすることによって、皮脂の分泌が増えるといえます。
インナードライに傾くのは…
お肌の乾燥から皮脂の分泌が増えてインナードライに傾くのは、皮膚を守る作用によるものといえそうですね。
1. 皮膚「表面」に皮脂が不足している
皮脂膜が不十分な状態ではバリア機能が低下して、ほこり・紫外線・雑菌などが(皮膚に)入りやすくなるため、それを防ぐために、皮脂の分泌量が増えてオイリーに傾く。
2. 皮膚「内部」が乾燥している
(お肌が)乾燥していると、皮膚の水分がそれ以上蒸発しないように、皮脂の分泌量が増えてオイリーに傾く。
先程、日本人のほとんどがインナードライというお話があります。
ただ、(お肌がオイリーな状態の人の)中には、オイリー肌の人もいると思います。
顔のテカリが、オイリー肌から来ているのか、インナードライから来ているのか、自分で判断することはできるのでしょうか?
例えば、洗顔後に(お肌が)つっぱる感じがあったり、お肌がピリピリするのを感じたりするときは、インナードライである可能性が高いと思います。
それは、(皮膚の)バリア機能が弱まっていることから、ツッパリ感やピリピリ感が来ていると考えられるからですね。
はい、そうです。
インナードライの原因
では、どんなことが、(お肌が)インナードライになる原因になるのでしょうか?
スキンケア
ひとつは、間違ったスキンケアです。
それは例えば、どんなことですか?
いちばん大きな原因としては、(スキンケアで)こすってしまうことでしょう。
例えば、ちょっと高価なスキンケア化粧品を買っても、(もったいないからと)少ない量しか取らずに一生懸命に回して付けるようなことをしていると、(お肌を)こすって摩擦になってしまいます。
後は、夏場に洗いの回数が多くなったり、洗顔後にタオルで抑えるのではなく上下して拭いたりすることも、(お肌を)こする原因になります。
また、ポイントメイクをする目の周りや口元などは、(メイクを落とすときに)こする回数が多くなりやすいです。
(スキンケアでお肌を)こすることが、どうしてインナードライの原因になるのでしょうか?
必要な角質(皮膚表面の古い肌細胞)までそぎ取ってしまう可能性があるためです。
それによって、完成しきっていない角質層になってしまいます。
角質層にはバリア機能がありますから、必要な角質を取り過ぎてしまうと、その働きも低下すると思います。
それによって、「(お肌を)守らなきゃ」と、皮脂の分泌が増えるようなイメージでしょうか?
はい、そうです。
他に、スキンケアで、インナードライにつながることはありますか?
パッティング(化粧水を、はたくようにして付けること)を勘違いして、バンバンと強く行うことも、スキンケアのNG行為です。
後は、「スクラブ」や「ピーリング」をやり過ぎてしまうことも、(必要な)角質を取り過ぎてしまって、お肌が弱くなる原因になります。
諸星 先生の「ピーリング」の記事
後は、濃いメイクの方に多いですが、(落とす力の)強いクレンジングを毎日使うことも、必要な皮脂まで落としてしまうので、(お肌の)バリア機能に影響があります。
生活習慣
スキンケア以外で、(お肌が)インナードライに傾く原因はありますか?
寝不足などの不規則な生活、疲れ、ストレスなどです。
また、身体は食べたもので出来ているので、食事のバランスも大きいです。
生活習慣の乱れも、インナードライの原因になるということですね。
それは、ホルモンバランスが関係しているのですか?
生活習慣の乱れは、ホルモンバランスの乱れにつながると聞いたことがあります。
「ホルモンバランス」についての記事
そうですね、皮脂の分泌が多くなっているときは、男性ホルモンの分泌が増えて、ホルモンバランスが乱れていると考えることもできます。
それが、どれだけインナードライにつながるかというと、難しい部分はありますが、(皮脂の分泌は)身体全体のバランスも総合的に関係しています。
まとめ
顔がオイリーな状態だと、つい「あれ?私、オイリー肌…?」と考えがちではないでしょうか?
ただ、顔のテカリは、(お肌の)乾燥から来ている「インナードライ」の方が、可能性が高いといえそうです。
今回の取材で、日本人の80%がインナードライといわれているというお話には、とても驚きました。
「顔がテカっている…?」というときは、まずは(お肌の)乾燥を疑っても良いのかもしれません。
諸星 先生には、インナードライを改善する方法についても、話をお聞きしました。
それは、別の記事でまとめさせていただきます。
諸星 先生の記事
是非、こちらと合わせてご覧ください。