「キレイの先生」編集部です。
「お肌はいつも絶好調!」
…そうだといいですよね。
でも実際には、お肌の調子が崩れやすい時期もあるものです。
それは、生活習慣によるところもありますし、月経の周期にも関係しています。
例えば、生理前に顔がむくんだり、ニキビなどの吹き出物が出たりしませんか? また、生理中に肌荒れになったりしませんか?
今回は、女性のためのHealth Care Salon 結 -yui- の高橋 かおり先生に、「月経周期」について話をお聞きしました。
この記事は、その前編で、「生理前・生理中」の期間を中心にまとめます。後編では、「生理後」についてまとめる予定です。
生理前のむくみや吹き出物、生理中の肌荒れは、どうしてなのでしょうか?
高橋 先生に教えていただきました。
目次
黄体期(生理前)について
・肌の不調
・便秘・むくみ
・精神面の不調
・黄体期の受け止め方
月経期(生理中)について
・肌の不調
・月経期の過ごし方
月経周期について
「月経周期」は、ひとつは妊娠や出産のために、女性に備わっています。
そして、もうひとつ重要な目的があります。それは、女性の健康や美しさをサポートすることです。
卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)が、月経周期に合わせてバランスを取りながら分泌量が調整され、女性の心や身体に変化をもたらします。
平均的な月経周期は、約28日サイクルといわれていますが、個人差が大きく25~38日であれば正常とされています。
また、生活習慣やストレス状況に非常に影響を受けやすいです。
■ 月経周期のサイクル(周期を28日とした場合)
1) 月経期:月経開始日~5日目前後まで
※ この時期を別名「リセット期」と言います。
2) 卵胞期(月経後から排卵まで):月経開始日から5~12日前後まで
※ この時期を別名「アクティブ期」と言います
3) 排卵期:月経開始日から12~17日前後
4) 黄体期(排卵後から月経開始まで):月経開始から14~28日前後まで
※ この時期を別名「アンバランス期」と言います。
編集部のコメント
月経周期は、女性ホルモンの「エストロゲン」と「プロゲステロン」のバランスと深く関係しています(この2つの女性ホルモンの作用については、高橋 先生のお話の中で出てきますので、ここでは割愛させていただきます)。
高橋 先生には、そのバランスについて、下のように教えていただきました。
■ 月経期(月経中)
エストロゲン、プロゲステロン共に分泌が少ない時期
■ 卵胞期(月経後)
プロゲステロンよりエストロゲンの分泌が優位な時期
■ 黄体期(月経前)
エストロゲンよりプロゲステロンの分泌が優位な時期
下の図は、別の記事*でご紹介した、月経周期と女性ホルモンの関係性をとても簡単にまとめたものです。
どの時期に、どちらの女性ホルモンの分泌が増えるのか、お分かりいただけると思います。
* 上の図は、「女性ホルモンの周期・バランスで考える、プラセンタの使い方」でご紹介させていただいたものです。
黄体期(生理前)について
黄体期(月経・生理前)は、「プロゲステロン」の分泌が、エストロゲンに比べて優位になる時期です。
プロゲステロンは、バランスを崩しやすいホルモンのひとつです。
黄体期は、ふたつの女性ホルモンが複雑なバランスを作り出すため非常に乱れやすく、それに伴い、心や身体の調子が不安定になりがちです。
そのため、黄体期を別名、「アンバランス期」と表現します。
この時期は、プロゲステロンの影響を受け、女性の身体は妊娠に備えて体内にものをため込もうとするため、むくみや便秘を引き起こしやすくなります。さらに、代謝が低下するため、油断すると太りやすい時期でもあります。
このように、黄体期は女性にとって、「なんだか調子悪いな…」と感じやすい時期です。
そのためこの時期は、ホルモンバランスを整えて滞りを解消するための「排泄を促すケア」がポイントとなります。
心身の不調・お肌の不調が生じやすい黄体期には、下記のことは避けた方がよいでしょう。
・新しい化粧品やスキンケア用品を試すこと
・積極的なスキンケア(毛穴の汚れを取る、ピーリング*など)
・ダイエットを始めること
など
* 編集部:皮膚は、内側から新しい肌細胞が生まれて、それが少しずつ上がって古くなったもの(角質)が垢になって剥がれ落ちることで、新しい皮膚に日々生まれ変わっています。古い角質がたまると、皮膚は固くなって乾燥しやすくなります。ピーリングは、その余分な角質を除去することをいいます。
肌の不調
黄体期は、プロゲステロンの作用で、皮脂(毛穴から分泌されている油分)の分泌が増える時期です。
それによって、テカリやべたつきの原因になり、ニキビなどの吹き出物にもつながりやすいといえます。
また、便秘の影響を受けて、肌トラブルにつながることも考えられます。
そのため、テカリやべたつきが気になる方は、黄体期にはさっぱりしたスキンケア用品をお使いになるのも良いと思います。
お肌にとって不要なものを取り除き、清潔を心がけることが大切です。
* ニキビは、毛穴の詰まりから起こるトラブルです。そのため、皮脂が過剰に分泌されると、毛穴の中に詰まってしまい、ニキビの原因になります。
便秘・むくみ
黄体期は、妊娠した場合、妊娠を維持するための期間でもあります。
そのため、「体内にものをため込みやすい時期」であり、便秘につながったり、水分が滞りむくみにつながったりしやすい時期です。
そのため、顔のむくみに対しては、フェイシャルマッサージでリンパを流したり、湯船につかって身体を温めたりして、老廃物の排出を促すケアは効果的です。
編集部のコメント
もういちど、月経周期の全体のサイクルを見直してみます。
1) 月経期
2) 卵胞期
3) 排卵期
4) 黄体期
黄体期は、排卵後から月経(生理)が始まるまでの時期です。
もしここで妊娠が成立していた場合、新しい生命に栄養を与えなければいけません。
そのため、身体は排出することよりも「ため込む」方に傾くといえるのではないかと思います。
血液やリンパには、体内の老廃物を回収して排出する働きがあります。
その働きが低下すると、老廃物がたまってしまい、むくみの原因になります。
そこで身体を温めると、血液(やリンパ)の流れが良くなり、老廃物の排出を促せます。
それには、高橋 先生のおっしゃったように、循環を良くし排泄を促すためにも湯船につかることがもっとも手軽で効果的なことでしょう。
お風呂については、「入浴の美容効果!アロマオイルをお風呂に入れるのもおすすめ」でも取り上げ、効果を細かくご紹介しています。
フェイシャルマッサージも、このサイトで何回か取り上げてきました。
もし、「(フェイシャルマッサージは)ちょっと面倒…」という方は、スキンケア用品の付け方を下のようにちょっと工夫するだけでも、リンパを流すことができます。
こちらは、「顔のむくみをとる!乳液等の付け方を変えるだけの簡単な方法」でご紹介していますので、合わせてご覧になってみてください。
精神面の不調
黄体期は、ホルモンバランスが乱れて不調が生じやすく、女性にとって「なんだか生きにくいな…」と感じることが多い時期です。
精神面では下のような症状がみられやすくなります。
・イライラする
・攻撃的になる
・気分にムラがある
・集中力が低下する
・ストレスから食欲が増す
など
そのようなときは、無理をしないこと、頑張りすぎないことが大切です。忙しい中でも、少しでもホッとできることを取り入れたり、しっかり身体を休めたりするようにしましょう。
また、ストレスから食に走ると、この時期は代謝が落ちる時期でもあるので太りやすいという危険もあります。
黄体期は、集中力に欠け気分の不安定さがみられる時期であるため、無理なダイエットは大きな精神的負担になりますので、この時期は食べ過ぎに注意しつつ、ダイエットは精神面が安定し、代謝が上がる月経後の卵胞期におすすめします。
黄体期の受け止め方
このように黄体期は、女性ホルモンの影響を受け、様々な不調が生じやすい時期です。
しかし、ある程度の症状であれば、プロゲステロンが正常に働いているということになります。
身体の不調に気付いたときは、「女性ホルモンの影響を受けている」と客観的に受け止めて、早めにケアしてあげることがとても大切なことと言えます。
月経期(生理中)について
月経期は、ふたつの女性ホルモンの分泌が共に少ない時期です。
月経(生理)は、妊娠が成立しなかった場合、一時的に厚くなった子宮内膜が子宮からはがれ、出血と一緒に体外へ排出される現象です。
そのとき、血液と一緒に、心と身体にとって余分なもの(塩分・水分・糖分・ストレスなど)を排出します。
月経期は、心と身体をデトックス(掃除)するため、この時期を「リセット期」ということもできます。
月経は、一ヶ月の過ごし方の集大成と言え、健康のバロメーターになります。
そのため、下のような乱れた生活や好ましくない生活を送っていると、月経に関連するトラブルが生じやすいのです。
・食習慣の乱れ
・運動不足
・睡眠不足
・不規則な生活
・ハードワーク
・強いストレス
など
この時期は、月経痛や腰の重だるさ、下痢、むくみ、疲れやすさ、貧血症状、憂鬱といった症状がみられやすいのですが、日々の生活習慣に関連することが多いため、個人差が大きいといえます。
月経を通して、自分の心と身体の状態を知ることができるため、生活習慣を見直す良いタイミングとなります。
月経期の過ごし方のポイントは、月経血をスムーズに排泄するために、のんびりとリラックスして身体をしっかりとゆるめることです。
肌の不調
月経期は、女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の分泌が共に少なくなり、お肌は敏感になります。
また、皮脂が減少するため乾燥も感じられる時期となります。
そして、血圧と体温が低下して血行不良になりがちで、肌ひとつひとつの細胞への酸素と栄養の供給が不足する可能性があります。
この時期は、お肌が敏感になることでトラブルが生じやすく、また生じたトラブルが深刻化するといった危険性もあります。
そのため、黄体期(月経・生理前)と同じように、新しい化粧品やスキンケア用品を試すことや、積極的なスキンケアは避けた方が良いでしょう。
乾燥がみられる方は、化粧水や美容液などのパックで、しっかり保湿することをおすすめします。
編集部のコメント
皮脂は、汗などの水分と混ざって、天然の保護膜(皮脂膜)を作ります。皮脂膜には、皮膚の水分が蒸発しないように防ぐ役割があります(他にも、外部の刺激から皮膚を守ったりしています)。
そのため、皮脂の分泌が低下して皮脂膜が不十分な状態になると、皮膚の水分が蒸発して乾燥しやすくなります。
しっかり保湿するには、化粧水を重ね付けすることがおすすめです。
「ちりめんじわ対策!乾燥の小じわにはしつこいくらいの保湿も」では、その方法をご紹介しています。
皮膚が化粧水をすべて吸ったような感じがしたら、また上から化粧水を重ねていきます。それを、パッティングしたときに、手が皮膚に引っ付くようになるまで繰り返しましょう。それが、皮膚がしっかり水分を吸収したという表れです。
月経期の過ごし方
月経期は、月経血をスムーズに排泄することが大切です。
そのためには、心と身体をリラックスさせ、骨盤をゆるめるようにしましょう。
骨盤が締まってしまうと、その中にある子宮は圧迫され、必要な酸素と栄養を受け取ることができず、十分に機能を果たすことが難しくなります。すると、月経血を排泄しようと子宮を収縮させる物質の分泌が増え、この物質が月経痛をもたらす原因となります。
そのため、骨盤をゆるめるために、リラックスできることを取り入れる、体をしっかり休める、体を冷やさない、体を締め付けるような衣類は避ける、といったことがポイントです。
また、目を酷使することで、頭蓋骨が締まり、それが背骨をとおして骨盤を締めてしまうため、スマホや読書で目を酷使するようなことには注意が必要です。
食事に関しては、身体を冷やす作用のあるものは避け、デトックス効果のある野菜(ニラ・ニンニク・ネギ・玉ネギ・キノコ・ダイコン・ゴボウ・ニンジンなど)を摂ることが効果的です。
温かいスープにすると身体は温まりますし、多くの野菜を摂ることができるためおすすめです。
まとめ
「キレイの先生」編集部です。
高橋 先生もおっしゃっていたことですが、生理前(黄体期)にむくみが出たり、生理中(月経期)に肌荒れしたりするのは、月経の周期がきちんと回っている証拠といえそうです。
それは、身体の正常な反応で、「仕方のない」ことなのかもしれません。
そう受け止めるだけでも、ストレス軽減になるのではないでしょうか。
高橋 先生の後編の記事では、「卵胞期(月経後)」の期間についてまとめます。こちらは、心身の状態がとても良い時期です。
ダイエットや新化粧品など、新しいことをチャレンジするのは、この時期が良いそうです。
この前編から続けてお読みいただくと、月経周期の全体の流れがみえてくると思いますので、是非セットでご覧ください。
* 高橋 先生の後編の記事は、下からご覧ください。
(取材:「キレイの先生」編集部 文:女性のためのHealth Care Salon 結 -yui- 高橋 かおり 先生、「キレイの先生」編集部)