「キレイの先生」編集部です。
今回のテーマは、「ハマム浴」です。
福岡県福岡市 アーユルヴェーダ&アロマテラピーサロン padoma の加藤 智子 先生にインタビューさせていただきました。
ハマム浴は、葉っぱの形をしたベッドに横たわり、下からハーブを焚いて蒸気を浴びる様式のことをいいます。
インドの伝統医学であるアーユルヴェーダでも行われるそうで、加藤先生のサロンのメニューにもあります。
ハマム浴は、どんな効果を期待できるのでしょうか?
加藤先生に教えていただきました。
目次
ハマム浴とは
・スチームベッドについて
・ハマム浴ではどんなハーブを使う?
本日のキレイの先生
アーユルヴェーダ&アロマテラピーサロン padoma
加藤 智子 先生
「キレイの先生」編集部
ハマム浴とは
加藤先生、よろしくお願いします。
今回のテーマは、「ハマム浴」です。
先生のサロンのメニューにもありますね。
ハマム浴とは、何なのでしょうか?
ハマム浴は「ハーブスチーム」ともいい、アラビア語では、「熱い空気」や「湯の施(ほど)される場」といった意味があります。
葉っぱ・リーフの形をしたベッドに、ゆっくりと横になっていただいて…ベッドの下がボックスになっているんですが、そこでハーブを焚いて…ハーブのスチーム・蒸気を全身に浴びます。
ハーブを蒸した蒸気を(身体に)浴びるという点では、よもぎの蒸気で下半身をダイレクトに温める韓国の「よもぎ蒸し」などもありますし、タイのテント式の「ハーブテント」などもあります。
ベッドで横になって(ハーブの蒸気を浴びる)というのはトルコ式で、ちなみに、インドの方でもそういった形です。
つまり、ハマム浴は、トルコ式のハーブスチームのことをいうんですね。
はい、ハマム浴は、イスラムの伝統的なトルコ式のスチームバスのことをいいます。
イスラムの教えでは、心とともに身体をいつも清潔に保つことが重んじられていて、浴場の教えもあったようで、それが(ハマム浴の)スタートにもなっているのではないかと思います。
スチームバスも、元々は現在のようなベッド(の形式)ではなく、『テルマエ・ロマエ』という映画がありましたが、あの中に出てくる浴場のようなイメージです。
そうすると、(スチームバスは)最初はサウナのような感じだったんですか?
そうですね、「サウナ」というと少しニュアンスが違ってきますが、イメージとしては近いです。
スチーム風呂は、イスラム社会で8世紀の頃からスタートして、17世紀半ばには、かなりの数の浴場があったといわれています。
その後、(ハマム浴の)ベッドが出てきました。
現代の日本では、(ハマム浴は)リラクゼーションサロンやエステサロンなどで取り入れられていますね。
先生のサロンはアーユルヴェーダサロンですが、アーユルヴェーダでもスチームバスは行われているんですか?
はい、アーユルヴェーダは、約5,000年前からあるインドの伝承医学で…すべての医学の基本となっているともいわれていて…その治療の一環として最後に行う「発汗法」があります。
身体の中の毒素などを汗で出して浄化・デトックスします。
そこで、ハーブスチームが用いられたりしています。
スチームベッドについて
ハマム浴に使うベッドは、葉っぱの形をしたベッドとのことでしたが、普通のベッドとは違うんですよね?
ハマムのスチームベッドは、頭と足の方が少し上がっていて、中心部が少し反っているような感じで、寝心地のいい設計になっていて、「ラタン」で編み込んで作られています。
…ラタン、ですか…。
木の種類か何かでしょうか…?
はい、リゾート地で、竹のようなもので編み込んでいる椅子などがありませんか?
はい、あります!
あの素材が、ラタンなんですね。
はい、そうです。
(編み込んだ)ラタンの編み目から、スチームが上がってきます。
それから、ラタンは程よくしなります。
例えば(ラタン製の)椅子に座ると体重でしなると思いますが、(ハマムの)ベッドの上に30~40分横になっていても、程よくしなって、身体に負担があまりかかりません。
ちなみに、インドやスリランカでは、神聖な樹木を使ってベッドが作られたりするんですが、そういったものは横になるとちょっと堅い感じです。
よもぎ蒸しについて
ハマム浴ではどんなハーブを使う?
ハマム浴では、どんなハーブを使うんですか?
サロンでは、状況に応じて内容が変わってくるんですが、例えば、「月桃(げっとう)の葉」などです。
月桃は、赤ワインの34倍ものポリフェノールが含まれていて、抗酸化作用が高く、防虫・防カビ・抗菌にいいといわれています。
後は、「月桃の実」、「グアバの実」、「マンゴスチンの実」、「パパイアの葉」、「桃の葉」、「ぼたんぼんゆうの葉」、「シナモンスティック」、「クローブ」などです。
これらの多くは、抗酸化作用があり、ビタミンC・ミネラル・ポリフェノールの含有量が多いです。
サロンでは、それらを主体に、メディカルハーブの専門家の方に独自で(ハーブを)ブレンドしてもらっています。
ハマム浴の効果
ハマム浴は、どんな効果を期待できるんですか?
(ハマム浴で身体が温まって)汗をかくことで、体内の有害物質や老廃物が、汗とともに排泄され、デトックス効果が期待できます。
それから、身体を一定の温度で20分以上温めると、ヒートショックタンパク質(ダメージを受けた細胞を修復する作用のあるタンパク質)が生まれ、体温が39度以上になると、眠っていた免疫細胞が目を覚ますといわれています。
それによって、自己免疫力がアップして、元気で健康的な身体を維持できるようになるとされています。
それは、美容にも良さそうです。
はい、身体が健康であれば肌ツヤも良くなりますし、内面(の健康)から輝く美しさにつながっていきますよね。
ハマム浴で、身体はどんな変化を感じられますか?
(ハマム浴は)仰向けになって休むので、背面にハーブの蒸気熱が当たります。
その温熱が身体を循環して、身体の芯から温まります。
それによって、副交感神経(交感神経のひとつでリラックスの神経)が優位になってリラックスできますし、身体がゆるみ軽くなってすっきりします。
美容面でも、お肌に透明感が出て美肌効果があります。
それから、髪にもハーブ(の蒸気)がまとわりつくので、頭皮ケアの効果も期待できますよ。
ハマム浴のやり方
ハマム浴は、(スチームベッドに)横になってからハーブを焚くんですか?
いいえ、(お客様がお越しになられる前に)先に仕込んでおきます。
(お客様がハーブスチームをされる)30~40分くらい前から、お鍋にハーブとお水を入れて、沸騰させた状態にしておきます。
スチームベッドの内部に蒸気がたまって、ラタンの編み目から出るような状態になったら、上からタオルを2枚かぶせてセッティングしておきます。
その状態で、お客様を誘導してベッドに(直接)仰向けになっていただき、上からタオルをかけます。
ハマム浴は、どのくらいの時間やれるのですか?
季節にもよりますし、個人差もありますが、平均で30分くらいです。
冬場や身体の冷えのある方は40分くらいで、夏場だともうちょっと短くて20分くらいです。
(ハマム浴は)結構長くやれるんですね…。
ハマム浴を終えた後、必要になるケアはありますか?
特別ありませんが…水分をしっかり補給していただき、ハーブの残り香をお楽しみになりながらゆっくりとくつろいでいただきたいです。
後は、施術の内容にもよりますが、基本は、(ハマム浴の後は)シャワーで洗い流さない方がいいですね。
まとめ
ハマム浴は、スチームベッドに仰向けになって、全身でハーブの蒸気を浴びられます。
身体の芯から温まることができますし、蒸気からハーブの効能を得ることができます。
身体が軽くなってすっきりしますし、美容面での効果も期待できます。
「疲れがたまっているな…」、「リラックスしたいな…」というときには、ハマム浴もおすすめですよ。