「キレイの先生」編集部です。
エステサロンの先生方に取材していて、少し前からよく耳にするようになったのが、「幹細胞コスメ」です。
私は幹細胞コスメが「細胞を元気にする化粧品」といったことは知っていましたが、具体的にどんなものかは分かっていませんでした。
名前に「幹細胞」と付くだけに、化学的な感じは強いですよね。
今回は、脱毛と光フェイシャルのMuse Labo の仁村 千恵美 先生に、幹細胞コスメについて話をお聞きしました。
Muse Labo さんでは、フェイシャルのメニューで、幹細胞コスメを取り入れているといいます。
幹細胞コスメとは、何なのでしょうか? そして、どんな効果が期待できるのでしょうか?
仁村 先生に教えていただきました。
*こちらは、仁村 先生の記事の後編となります。前編の「肌老化が自然現象とあきらめる前に!老化を予防する食生活等」では、肌老化について取り上げました。幹細胞コスメとも関係している内容ですので、是非合わせてご覧ください。
目次
幹細胞とは
・幹細胞の特徴
幹細胞コスメについて
・ヒト幹細胞コスメがおすすめ
幹細胞とは
人は、もともとひとつの受精卵が、遺伝子情報を元に細胞分裂を繰り返し、最終的には髪・肌・骨・血・筋肉などに分かれて、37兆の細胞になります。
そして、髪(になった細胞)は髪、血(になった細胞)は血としてしか、再生されなくなっていきます。
しかし、細胞の中には、どんなものにでも成り代わる細胞があります。
それが、「幹細胞」です。
幹細胞の特徴
人の身体は、怪我などによって、ある細胞が傷つくと傷を治す力が働きます。
幹細胞は、そのときに活躍します。幹細胞が、怪我をして傷ついた場所の組織に成り代わるイメージです。
野球チームで例えると、幹細胞は、ピッチャー・野手・外野手、どのポジションでも活躍できる強力な助っ人です。
人の身体の中にも、常にそういった助っ人細胞が存在しているのです。
近年では、再生医療で、患者の一部の幹細胞を採取して培養し、軟骨など傷ついた組織を再生し移植できるようになってきました。
編集部のコメント
私は野球が好きなので、仁村 先生の例えがよく分かりました。
どの団体スポーツでもいえることですが、どんなポジションでも出来る選手は、とても有り難いですよね。
そんな「何でも屋さん」が、幹細胞といえそうです。
ニュースで、「細胞を培養させて新しい臓器を作り、移植することに成功した」といった内容を聞くことがあります。
それは、この幹細胞を培養させた、ということだったのですね。
幹細胞コスメについて
化粧品では、(幹細胞で)再生した組織を使用するわけにはいきません。
ただ、幹細胞を培養する際に細胞が分泌する培養液「幹細胞培養液」が、大きな働きをすることが解ってきて、それを化粧品に生かすことができるようになりました。
幹細胞培養液には、弱った細胞を元気にさせる500種類以上ものタンパク質が含まれています。
そのタンパク質のひとつでよく知られているのが、ノーベル賞も受賞した「EGF」という成分です。
これは、グロスファクター(成長因子)と呼ばれるもので、細胞再生を助ける作用があるとされています。
その他にも、幹細胞培養液の中には、プラセンタなどの多様なグロスファクターが含まれています。
ヒト幹細胞コスメがおすすめ
幹細胞コスメには、植物由来のものもあります。
おすすめしたいのはヒト由来のものです。
植物由来とヒト由来の幹細胞培養液ではまったく働きが異なります。
それは、グロスファクターが細胞分裂に関わっているためです。
細胞の核の中にあるDNAには、細胞の設計図があります。
細胞分裂で「新しい細胞を作るために分裂しなさい!」という指令を出すときには、細胞の設計図をノックして呼び出さなければなりません。
そして、それには、ヒト由来のグロスファクターである必要があります。植物由来では、ノックできません。
(さらに付け加えると、皮膚の再生にはヒト由来の「脂肪幹細胞」が良いといわれています)
編集部のコメント
仁村 先生の話をお聞きして、私なりに理解したことをまとめてみたいと思います。
こちらは、あくまでもイメージで、科学的な内容に基づいているわけではないこと、あらかじめご了承ください。
細胞分裂の際には、細胞の「扉」を開けて、中の設計図を取り出す必要があります(新しく作る細胞の設計を知るために)。
扉には、鍵穴が付いています。
そして、その鍵穴を開ける「鍵」こそがグロスファクターで、それによって扉を開けることができるようです(この鍵を「リガンド」、鍵穴を「レセプター」といいます)。
ただ、植物由来の幹細胞には、その鍵(リガンド)そのものが存在しないため、扉を開けることはできないそうです。
幹細胞の作用を考えたときに、ヒト由来のものがおすすめというのは、ここに理由があるといいます。
ヒト幹細胞コスメは、「ヒト由来」であるため、簡単には作ることはできません。
また、安全性を高めるために、他の美容成分と比較するとやや高価といえます。
幹細胞コスメの効果
このように、幹細胞コスメのいちばんの特徴は、お肌に栄養を与えるのではなく、人の細胞が本来持っている機能を呼び覚ますことが期待できることです(ただし、その機能を実感するまでには時間がかかりますので、一緒に配合されている美容成分で栄養を与えることができます。その成分はメーカーにより多種多様です)。
お肌の老化は、細胞の不活性化が原因ですが、それを活性化するようなイメージです。
編集部のコメント
仁村 先生の前編の記事では、「肌老化」について取り上げました*1。
肌の老化とは、どんなことをいうのでしょうか?
それをここで簡単にまとめさえていただきます。
年をとると、細胞の機能が衰えて弱まってきます。
例えば、皮膚の弾力成分であるコラーゲンは、量が減少したり細くなったりして、皮膚はハリが低下して、たるみ(ほうれい線)などが出やすくなります。
また、ターンオーバーの周期も遅くなります*2。
ターンオーバーの周期は28日が理想といわれていますが、それは20代前半の周期で、それ以降は一年に1日伸びるといいます。
ターンオーバーが乱れると、皮膚は固く乾燥しやすくなり、肌トラブルの原因になります。
他にも、表皮(ひょうひ)の基底層(きていそう)*3が、波状からフラットなっていくことも、老化の原因になるそうです。
*1 仁村 先生の前編の記事は、「肌老化が自然現象とあきらめる前に!老化を予防する食生活等」からご覧いただけます。
*2 皮膚は、内側で新しい肌細胞が生まれて、少しずつ表面に上がってきて、最後は古くなったもの(角質)が垢になって剥がれ落ち、日々新しく生まれ変わっています。それを「ターンオーバー」といいます。
*3 皮膚は、「表皮」・「真皮(しんぴ)」・「皮下組織(ひかそしき)」の3層構造になっています。そのもっとも表面に当たる表皮は、0.02mmの厚さしかありませんが、さらに「角質層(かくしつそう)」・「顆粒層(かりゅうそう)」・「有棘層(ゆうきょくそう)」・「基底層」の4層に分かれています。
幹細胞コスメは、細胞の不活性を解消して、肌細胞の本来の働きを取り戻す効果が期待できます。
私自身、ヒト幹細胞を3ヶ月間使用してみると、フェイスラインや目の下のたるみ、お肌の質感が改善され、透明感が出て白くなったことを実感しました。また、フェイスラインが若々しくシャープになって、気分も明るくなりました。
これらは、今までの高機能化粧品でも感じられなかったことです。
現在も、何人かのお客様に集中ケアをおすすめしておりますが、いままでのケアで改善しなかった表情ジワやたるみに効果を実感していただいています。
ただ、効果はすぐ体感いただけるわけではありません。それは、細胞の活性化や入れ替わりには、時間が必要なためです。
まとめ
「キレイの先生」編集部です。
化粧品は、お肌に足りていない成分を与えるもの。
私は化粧品に、そんなイメージがありました。
そのため、幹細胞コスメの「細胞を元気にする」という考え方は、とても興味深いものでした。
幹細胞コスメは、雑誌でも特集で取り上げられたりしています。
私自身、取材先でも、ヒト幹細胞コスメを取り入れられているエステサロンが増えてきている印象があります。
幹細胞コスメは、最近のトレンドのひとつといえるのではないかと思います。皆さまもチェックしておいては、いかがでしょうか?
* 仁村 先生の前編の記事は、下からご覧ください。
(取材:「キレイの先生」編集部 文:脱毛と光フェイシャルのMuse Labo 仁村 千恵美 先生、「キレイの先生」編集部)