ホリスティックアロマサロン aroma mio

中坂 光　先生

「キレイの先生」編集部

中坂先生、よろしくお願いします。

今回のテーマは、アロマの「サンダルウッド」です。

まずは、サンダルウッドがどんな植物なのかを教えていただけますか？

サンダルウッドは、ビャクダン科の寄生根の植物で…寄生根というのは、共生相手の植物の根に寄生して水分や養分を得て生長する植物のことです…それで、標高600～1,000m前後の乾燥地で育ち、高さは18m程になります。

サンダルウッドには、数多くの変種があるのですが、アロマでは主に、「サンダルウッド・インド」…学名は”Santalum album”といい、「白檀（びゃくだん）」のことです…それと、「サンダルウッド・オーストラリア」…学名はSantalum spicatum”…その二つが挙げられます。

たしか、（アロマの）ラベンダーも種類がいくつかあったと思いますが、サンダルウッドもそれと同じなんですか？

はい、そうです。

一般的にもっとも活用されてきたのは、白檀のサンダルウッド・インドですが、現在は絶滅危惧種で、例えば南インドのマイソール地方では、どの土地に生息している樹も国の管理下にあって、樹齢30年以下の木の若い木は伐採禁止になっています。

ですので、現在流通している（アロマの）サンダルウッドは、サンダルウッド・オーストラリアのものが多いと思います。

サンダルウッドは、昔から使われてきた樹なんですか？

はい、サンダルウッドは、約4,000年前に砂漠のキャラバンによって、インドからエジプト・ギリシャ・ローマに渡り、古代ギリシャ・ローマでは瞑想などの宗教儀式に用いられた他、エジプトでは死体の防腐処理として活用されていました。

サンダルウッドには、そんな古い歴史があったんですね。

はい、（サンダルウッドは）儀式などで、人々を浄化するという大切な役割を担っていたんですね。

それから、（インドの伝統医学の）アーユルヴェーダ医学でもサンダルウッドは重要なもので、中医学では「一切の熱悩を除く」とされています。

後は、日本では、奈良時代の皇后が蒸し風呂に白檀を入れて、薬品のような扱いもされていたようです。

他にも、楊貴妃が住んでいた沈香亭に、最高級といわれる（南インドの）マイソール地方の白檀の木が贅沢に使われていたといわれます。　

サンダルウッドの精油は、樹のどこの部分から抽出されるんですか？

「心材（しんざい）」や根の部分から、水蒸気蒸留法で抽出されます。

心材…ですか？

はい、（心材は）樹木を割って真ん中の芯の部分ですね。

現在では、家具などを作った際に出る（サンダルウッドの）木くずや細かく砕いたものを蒸留することも多いそうですよ。

サンダルウッドは、アロマの中では定番の精油に入るんですか？

はい、定番だと思いますよ。

（サンダルウッドは）価格的には、どのくらいの精油になりますか？

例えば、ラベンダーは定番でお手頃の精油だと思いますが、それと比べるといかがですか？

（ブランドや品質によって）価格はピンキリですが、ラベンダーと比べると高めの精油です。

例えば、容量も、他のアロマが10mLで売られているとしたら、サンダルウッドは3～5mLで少なめだったりします。

そうして手に取りやすい価格に抑えていることもあることもあると思います。

サンダルウッドは、どんな香りのアロマですか？

甘くウッディーな香りです。

お香や寺院で嗅いだことのある香りといえば、何となく想像できるかと思います。

想像できます（笑）。

（サンダルウッドは）どこか懐かしさの感じられる香りですよね。

そうですね、記憶の中に潜在的に存在している香りともいえるかもしれませんね。

サンダルウッド（の精油）は、どんな効果・効能を期待できますか？

強心強壮作用・抗感染作用・充血除去作用・収斂（しゅうれん）作用・鎮静作用・鎮痙（ちんけい）作用・性的強心作用・保湿作用・利尿作用などです。

すごい、たくさんありますね（笑）。

その中で、（サンダルウッドの）特徴的な作用は何でしょうか？

鎮静作用や鎮痙作用でしょうか。

それから、サンダルウッドの特徴的な成分に、「サンタロール」という成分があります。

サンタロールは、表皮の8～9割を形成する「ケラチノサイト」を活性化するといわれていて、お肌が荒れた状態を鎮静したり修復したりするのにもいいです。

サンダルウッドは、精神面では、どんな効果・効能が期待できますか？

サンダルウッドは、昔から瞑想に使われるだけに、リラックスにいいです。

それに、鎮静や強壮の両作用を持ち合わせていますので、リラクゼーションと共に、幸福感や満ち足りた気持ちにも導いてくれます。

（サンダルウッドは）健康面では、どんな効果・効能を期待できますか？

膀胱や尿路系などの不調に役立ちますので、例えば、アロマトリートメント（マッサージ）での背後からのトリートメントでは、腎臓系疾患の浄化作用が期待できます。

それから、抗感染作用もあり、呼吸器系の疾患の予防にもつながります。

（サンダルウッドは）美容面では、どんな効果・効能を期待できますか？

お肌に関していうと、（サンダルウッドは）柔軟作用・抗老化作用がありますので、スキンケアにもよく使われます。

乾燥性の湿疹や脱水肌にもいいですし、アンチエイジングにもつながります。

それから、抗菌作用があるので、ニキビ肌にも効果を期待できます。

アロマは、どんな香りが「いいな…」と感じるかで、そのときの身体や精神の状態が分かるといいます。

サンダルウッドの香りが「いいな…」と感じるときは、身体・精神はどんな状態と考えられますか？

日本人でしたら、お香の香りを嗅いだときに、ホッとしたり、守られているような感情になったりすると思います。

ですので、（サンダルウッドの香りが心地良いと感じるときは）気持ちの浄化を欲していたり、深い悩みや気落ちしていたりするような状態といえると思います。

サンダルウッドは、どんな人におすすめですか？

落ち込んでいる方や、深い悲しみにある方、ストレスが多い方、それに、神経性の疲労のある方などにはいいと思います。

それから、なにかの想念が取り付いて離れないとき…例えば、ずっとそのことを考えていて、それに縛られているような状態ですね…そういったときにも（サンダルウッドは）役立つといわれています。

サンダルウッド（の精油）は、どんな使い方ができますか？

例えば、寝る前の落ち着きたいときに、寝室をディフューザーで芳香浴したりするのもいいと思いますよ。

（サンダルウッドには）抗菌作用もあるので、インフルエンザの流行する時期は、家族感染の予防にもなりますよね。

それから、例えば、お手持ちの扇子やうちわなどの目立たない場所にサンダルウッドの精油を垂らして、芳香浴されるのもいいと思います。

私自身、精油ではないんですが、父が昔使っていた白檀の扇子を譲り受けて、それは、落ち着いた白檀の香りがします。

（サンダルウッドは）傷を癒すような作用もあるので、例えば身体に傷があるときは、オイルに希釈して（濃度を薄めて）トリートメントするのに使っていただくのもいいと思います。

フェイシャルでは、（オイルトリートメントで）保湿にもなりますし、老年期の疲れたお肌にもいいです。

フェイシャルに使うときは、（鼻の）嗅覚に近いので、サンダルウッドの精油の量はちょっとでも大丈夫ですよ。

個人的には、アロマ香水を作るとき、サンダルウッドをよく入れます。

サンダルウッドは、時間が経つほど香りが贅沢になるんですね。

ただ、サンダルウッドを入れすぎると（香りが）甘ったるくなるので、あまり香りがしつこくならないように、使う量は少量です。