「キレイの先生」編集部です。
今回のテーマは、「ヨガの呼吸法」です。
ヨーガ&アーユルヴェーダ OMA の尾股 あき子 先生に取材させていただきました。
ヨガは、ただポーズを取るのではなく、呼吸をとても大切にするといいます。
ヨガの呼吸法は、「腹式呼吸」で、しっかり息を深く吸い込むことができます。
私も口呼吸が多く、どちらかといえば浅い呼吸の方なので、このテーマは私からリクエストさせていただきました。
ヨガの呼吸法である腹式呼吸は、どんな呼吸なのでしょうか?
腹式呼吸は、どのように行うと良いのでしょうか?
尾股 先生に教えていただきました。
目次
腹式呼吸について
・効果
本日のキレイの先生
ヨーガ&アーユルヴェーダ OMA
尾股 あき子 先生
「キレイの先生」編集部
ヨガの呼吸法
尾股 先生、よろしくお願いします。
今回のテーマは、「ヨガの呼吸法」です。
ヨガについて
ヨガは、サンスクリット語では「ヨーガ」といい、尾股 先生も普段はそのように呼んでいるといいます(先生のスタジオ名も「ヨーガ」ですね)。ただ、この記事では、一般的な呼び方の「ヨガ」で統一させていただきます。
ヨガでは、呼吸をとても大切にするとお聞きしたことがあります。
はい、ヨガは、「呼吸」と「身体」と「意識」を連動させることが大切とされていて、他のスポーツと違い、動きと呼吸を合わせ、身体の動きを内観、客観視してひたすら自分と向き合います。
例えば、(ヨガの)素敵なポーズができていても、呼吸が伴っていなければ、それはヨガではありません。
私は正直、「(ヨガの)ポーズを取る」=「ヨガ」といったイメージがあるのですが、そうではないのですね?
はい、身体と心がどんな状態なのかを観察しながら、自分と向き合うのがヨガです。
ヨガの呼吸法について、もう少し教えていただけますか?
呼吸は、「吸う」と「吐く」の繰り返しです。
息を吸うと交感神径(の働き)によって緊張し、息を吐くと副交感神経(の働き)によって弛緩(しかん)します。
交感神経と副交感神経
交換神経と副交感神経は、人の身体と心をコントロールしている「自律神経」です。
・交感神経:緊張の神経・昼に優位になる
・副交感神経:リラックスの神経:夜に優位になる
自律神経は、このふたつが交互に入れ替わってバランスを取っています。そのバランスが崩れると、心身に大きな影響を及ぼします
(呼吸で)息を吸ったり吐いたりすることで、身体も、緊張したり弛緩したりを繰り返していて、「呼吸」と「身体」は、意識するしないに関わらず連動しています。
例えば、身体を伸ばして上の物を取るときは息を吸いながら、下に落ちているものを拾うときは、息を吐きながらです。
息を吐きながらでは、身体を伸ばしにくいですね。
(試しに身体を伸ばしてみて)本当だ…、息を吐きながら、伸びはできません。
(身体を伸ばすときは)必ず息を吸います。
その(呼吸と動きの)連動を意識して、バランスを取っていくのが、ヨガの行法(ぎょうほう)です。
腹式呼吸について
たしか、ヨガの呼吸法は、「腹式呼吸(ふくしきこきゅう)」というのですよね。
はい、そうです。
通常の呼吸は、(息を)胸に吸い入れる「胸式呼吸(きょうしきこきゅう)」ですが、ヨガでは腹式呼吸を使います。
ちなみに、ヨガとピラティスは同じように見えるかもしれませんが、ピラティスは「胸式呼吸」で、ヨガとは身体の動きとの連動も違います。
ピラティスの呼吸法
腹式呼吸とは、どんな呼吸法をいうのでしょうか?
(腹式呼吸は)息を吸い入れるときは、胸とお腹の間の横隔膜に(空気を)入れるように意識して(お腹を)膨らませ、腹圧をかけながらお腹を凹ますようにして息を吐きます。
そして、(息を吸うのも吐くのも)どちらも、鼻から行います。
腹式呼吸は、鼻から息を吸って、鼻から息を吐くのですね。
はい、そうです。
ヨガでは、息を吸って交感神経が緊張するときにピタッとポーズを決めて、息を吐いて副交感神経が弛緩するときに筋肉をゆるめ全体的にリラックスします。
それが、ヨガの大きなやり方のひとつです。
「呼吸が浅い」という言い方がありますが、腹式呼吸は、深い呼吸のできる呼吸法なのですか?
そうですね、「腹式呼吸」=「深い呼吸ができている」、といえると思いますよ。
効果
ヨガの呼吸法である腹式呼吸は、どんな効果が期待できるのでしょうか?
(腹式呼吸によって)浮足立った自分が落ち着いた状態になり、「忙しい自分・こうしなければならない自分・こうならなければいけない自分」から離れ、自分の内面をみつめることができます。
(スタジオの)会員さんにも説明するのですが、例えば、焦ったり怒ったりしているときは、肩で呼吸しているような「胸式呼吸」の緊張の状態です。
それに対して、お風呂につかっているときは、「はぁ…」とゆるんで、ゆっくりと呼吸ができてリラックスの状態になっていると思います。
呼吸に意識を向けることで、忙しさから離れて穏やかな心と身体を作ることができます。
たしかに、苛々しているときに大きく深呼吸すると、心が落ち着きます。
そして、(腹式呼吸で)酸素をたくさん取り入れられると、血流が活発になり、身体が温まって、冷え性の改善にも役立ちます。
また、代謝も上がるので、老廃物が排出されやすくなり、デトックスする身体を作れて、痩せ体質にもなります。
後は、(腹式呼吸で)お腹を意識するので、腹筋が鍛えられ、ぽっこりお腹の解消にも良いです。
腹式呼吸はダイエットにも良いのですか!
どうすれば腹式呼吸ができるようになるのか、早速教えてください(笑)。
腹式呼吸のやり方
息を吐くときに、お腹を凹ませるようにイメージすると、腹式呼吸が身に付いていきます。
そのとき、(お腹を凹ませて息を吐こうとすると)首や肩に力が入りやすいのですが、身体をリラックスさせましょう。
そして、お腹をしぼりながら長く長く息を吐いていくことも大切です。
え? それだけですか?
息を吐くときにお腹を凹ませるようにイメージするだけで、腹式呼吸ができるようになるのでしょうか?
はい(笑)。
息を吐くときを意識した方が、腹式呼吸を作りやすいです。
例えば、息を吐き切ったら、自然に息を吸い入れますよね。
はい。
人間の身体は、息を吐き切ることで、新しい息を取り込むシステムが出来ているのですね。
それは、アーユルヴェーダ(インドの伝統医学)の考え方にも通じる部分です。
アーユルヴェーダでは、(体内の毒素を)出すこと、つまりデトックスがとても大切にされています。
(体内の毒素を)出さないと、いくら良いものでも(身体に)入っていきません。
ですので、呼吸法も、吐くことから始めます。
なるほど、呼吸も、息をしっかり吐くことで、新しい空気を吸い入れられるようになるのですね。
お腹を凹ますイメージで息を長く吐くだけでしたら、ちょっとした空き時間にもできそうです。
はい、普段は、意識していないと胸で呼吸している(胸式呼吸の)状態ですので、日常の色々なシーンで腹式呼吸をしていただけると良いと思います。
例えば、朝起きたときや、夜寝る前、信号待ちをしているとき、電車に乗っているときなど、ふとしたときに呼吸を意識するだけでも良いです。
それも、日常生活にヨガを取り入れるということになります。
また、長く息を吐くことで、心にたまっていたモヤモヤも出ていって、心のデトックスにもなり、リラックスした濁りのない自分を作ることができます。
呼吸と身体はつながっていて、(身体が)勝手に酸素を取り入れているのではなく、すべてリンクしています。
呼吸がおだやかになれば、心がおだやかになることを気付いていただき、呼吸に意識を向ける時間を大切にしていただきたいと思います。
まとめ
尾股 先生のお話で印象的だったのが、ヨガはポーズをとることではなく、呼吸をとても大切にするということです。
ヨガの呼吸法は、腹式呼吸です。
ちょっとしたときに腹式呼吸を行うことで、生活にヨガの一部を取り入れることができます。
私も取材以降、電車の待ち時間などに、お腹を凹ませるように長く息を吐くようにしています。
心をひと休みすることができ、頭のリフレッシュにもなって、おすすめですよ(しかも、ダイエットに良いのですから嬉しいですよね!)。