今回のテーマは、「肌の赤み」です。
北海道旭川市 スキントリートメントサロン Amber Spaの木村 真奈美 先生にインタビューさせていただきました。
肌が赤いのは、主に敏感肌によって起こる症状のひとつです。
その赤みを改善するには、過剰なクレンジング・洗顔を避けて、スキンケアで丁寧に優しく保湿することが大切だそうです。
肌の赤みの原因や改善方法について、木村先生に教えていただきました。
目次
肌が赤い原因
・肌の赤みは主に敏感肌から起こる
・肌のバリア機能低下で肌が赤くなりやすい
・過剰なクレンジング・洗顔などが原因に
肌の赤みを改善する方法
・クレンジング・洗顔は洗いすぎないように優しく行う
・肌の赤みにはスキンケアでの保湿も大事
・薄化粧にして生活習慣を整えるなど
・肌の赤みにおすすめのサロンケアとは
肌が赤い原因
肌の赤みは主に敏感肌から起こる
木村先生、よろしくお願いします。
今回のテーマは、「お肌の赤み」です。
お肌が赤いのは、何から起こるんですか?
主には、敏感肌による症状のひとつです。
敏感肌は、皮膚のバリア機能が崩れて保護機能が低下し、外部の刺激を受けやすくなっている状態のことをいいます。
お肌のバリア機能は、外部の刺激から皮膚を守ったりする働きがあるんですよね。
そうですね、例えば、肌表面の「皮脂膜(ひしまく)」は、外的の刺激から皮膚を保護する役割があります。皮膚の表面を守っています。
皮脂膜について
毛穴から分泌される油分の皮脂(ひし)は、肌表面で汗などと混ざり合って天然の保護膜「皮脂膜」を作ります。
お肌は、皮脂膜によって弱酸性に保たれています。
それによって、細菌などからお肌を保護しています。
それに皮脂膜は、油の膜で科学的な刺激からも保護する働きもあります。
その皮脂膜が不足すると、バリア機能が崩れて外的な刺激がお肌の中に入ってしまい、敏感な症状を引き起こします。
後は、皮脂膜に加えて、「角質層(皮膚のいちばん表面の約0.02mmの薄い層)」も、バリア機能の役割を果たしているといいますよね。
はい、角質層にある保湿因子である「NMF・ナノモイスチャーファイジング」・「細胞間脂質(さいぼうかんししつ)」には、角質層の保湿機能があります。
例えば間違ったスキンケアで、それらを取りすぎると、角質層の水分が不足する原因になります。
そうすると、お肌は乾燥してバリア機能が働かなくなり、敏感傾向になります。
それに、湿度や気温などの環境的な要因によっても、角質層のバリア機能は崩れます。
敏感肌とは
・皮脂膜の不足による肌のバリア機能の低下
・角質層の保湿成分(NMF・細胞間脂質)の不足による肌のバリア機能の低下
肌のバリア機能低下で肌が赤くなりやすい
敏感肌によって、お肌が赤くなるのはどうしてですか?
敏感肌は、皮膚のバリア機能が崩れている状態です。
ですので、外的刺激を受けると毛細血管が反応して拡張して、お肌が赤くなったり熱を持ったりしやすくなります。
そうして、毛細血管が拡張した状態が続くと、赤ら顔の原因にもなります。
ちなみに、敏感肌によって、他に出やすい症状はあるんですか?
敏感肌の症状としては、かゆみ・ヒリヒリ・かさつき・つっぱり感などもあります。
お化粧品にもしみやすくなりますね。
それに、お肌の水分不足で肌代謝も働きづらくなります。
肌が赤い原因
1. 肌のバリア機能が低下する(敏感肌)
2. 外的刺激を受けて毛細血管が反応して拡張する
3. それによって肌が赤くなる
4. 毛細血管が拡張した状態が続くと、赤ら顔の原因にも
過剰なクレンジング・洗顔などが原因に
敏感肌は、生まれついての肌質なんでしょうか?
もちろん、遺伝的要因で生まれ持った方もいらっしゃいます。
ただ、間違ったスキンケアを長期的に行っていることやライフスタイルなどから、敏感肌を引き起こしているケースも多いです。
それは、どういうことですか?
間違ったスキンケアを長期的に行っていて、皮脂膜やお肌のうるおいを取りすぎたりしていると、敏感肌を引き起こしやすくなります。
それで、お肌のバリア機能も低下してしまうということですね。
ちなみにそれは、具体的にどんなことが原因になるんですか?
クレンジング・洗顔で、お肌の水分・油分を必要以上に取り除いていることが大きいです。
例えば、界面活性剤(水分と油分を混ぜ合わせるための材料)の多く入っているクレンジング料や、洗浄力の高い洗顔石鹸の使用などもそうですね。
それに加えて、クレンジング・洗顔で取り除いたお肌の水分・油分に対して、保湿が追いついていないことも、敏感肌の原因になります。
中には、さらさらした質感のスキンケア化粧品がお好きな方もいらっしゃるでしょう。
ただ、そうした保湿の足りていないお手入れを長期的に続けていると、お肌は水分・油分とも足りない状態になりやすいです。
それによって、お肌が乾燥して敏感傾向になる場合もあります。
間違ったスキンケアの他に、日々の生活習慣で敏感肌の原因になることはありますか?
ストレスは、内分泌や自律神経(人間の身体と心をコントロールしている神経)のバランスを崩します。
それによって、お肌が敏感傾向になって反応が出やすくなります。
それから、喫煙も、血管を収縮させる作用があります。
そうすると、お肌に栄養を届けること阻害するので、敏感肌の原因になるといえるでしょう。
後は、カフェインの摂りすぎも、お肌に赤みをもたらして敏感傾向に持って行きやすいです。
敏感肌の原因
・クレンジング・洗顔で肌の水分・油分を必要以上に取り除いている(例えば、洗浄力の高いクレンジング料・洗顔料の使用など)
・クレンジング・洗顔に対して保湿が追いついていない(例えば、さらさらした質感のスキンケア化粧品の使用など)
・ストレス(内分泌や自律神経の乱れに)
・喫煙(血管を収縮させて肌に栄養を届けるのを阻害する原因に)
・カフェインの摂りすぎ
など
【関連記事】敏感肌の原因については、別の記事でエステティシャンに取材させていただいていますので、こちらと合わせてご覧になってみてください。
肌の赤みを改善する方法
クレンジング・洗顔は洗いすぎないように優しく行う
お肌の赤みを改善するのに、クレンジング・洗顔で心がけたいことはありますか?
まずクレンジング料・洗顔料は、洗浄力の強すぎるものや人工的な香料の強いものは避けていただきたいです。
洗浄力の優しいものでクレンジング・洗顔をするということですね。
はい、それに、弱酸性で低刺激のものがおすすめです。
健康なお肌の皮脂膜は、弱酸性です。
肌表面が弱酸性であることは、健康な素肌を保つために大切なことです。
ちなみに、クレンジング料・洗顔料選びでのポイントはありますか?
商品によるところもありますが、例えばクレンジング料でしたら、クリームタイプなどもいいですね。
洗顔料は、泡洗顔ではなく、マイルドなジェルタイプなどもいいですよ。
泡立てないタイプの洗顔料ということですね。
はい、それから、特に洗顔は弱酸性のもので行うのがおすすめです。
たしか、石鹸成分がアルカリ性なんですよね。
はい、アルカリ性の洗顔料でお顔を洗うと、健康なお肌の方は弱酸性に戻れますが、敏感肌の方は弱酸性になかなか戻りづらいです。
そうしてお肌がアルカリ性に傾くと、かぶれを起こしたり湿疹が出来たり場合もありますし、さらに外部の刺激からお肌を守りにくくなります。
ですので洗顔は、最初から弱酸性のものを使ってあげるといいですよ。
クレンジング・洗顔の方法で、アドバイスはありますか?
ひとつは、絶対に圧をかけずにゴシゴシやらず優しく行うことです。
それから、サロンのお客様の話をお聞きしていると、クレンジングの時間が短くて、メイク汚れが残っている方もいらっしゃいます。
メイク汚れが残っているのは、お肌にマイナスですよね…。
はい、ですので、クレンジングは1分くらい行って、洗顔は20秒くらいで長くしすぎないことをおすすめします。
後は、熱いお湯でお顔を洗うと、お肌のうるおいを取りすぎてしまいやすいです。
ですので、洗顔はぬるま湯で行うようにしましょう。
肌の赤みの改善方法
(クレンジング・洗顔のポイント)
・クレンジング料・洗顔料は、洗浄力が優しく弱酸性で低刺激のものを使用する(特に洗顔料は弱酸性のものの使用がおすすめ)
・クレンジング・洗顔は、ゴシゴシとこすらずに優しく行う
・クレンジングを1分くらい行って、洗顔は20秒くらいで行って洗いすぎないようにする
・顔をすすぐときは、ぬるま湯で行う
など
【編集部Voice】クレンジング選びについて
クレンジング料は、タイプによって洗浄力が異なります。
木村先生のおっしゃったように、お肌のバリア機能が低下して敏感傾向にあるときは、洗浄力の優しいクレンジングクリームなどの使用がおすすめです。
クレンジング料の選び方については、別のエステティシャンさんに取材させていただき、下の記事にまとめていますので、合わせてご覧になってみてください。
合わせて読みたい!
肌の赤みにはスキンケアでの保湿も大事
お肌の赤みを改善するには、スキンケアでの保湿も大切なんですよね?
はい、もちろんです。
スキンケア方法でのアドバイスはありますか?
まずは、お肌が敏感なときは、化粧水は極力、エタノール・アルコールの入っていないものや弱酸性のものをお使いいただきたいです。
敏感肌には摩擦などの外的な刺激をお肌に与えたくありませんので、化粧水はコットンではなく、手に出してゆっくりとお肌全体になじませていくのがおすすめです。
それで、お肌の中に入れ込むようにプレスして、角質層になじませていきます。
クリームは、皮膚のバリア機能を強化してくれるような「セラミド」などが配合されているものもいいですね。
クリームは、お肌にポンポンと乗せて広げるのではなく、まずは手で伸ばしてから、お顔全体に付けていったほうが、摩擦は起きづらいです。
最後は、化粧水と同じように、プレスして角質層になじませていきましょう。
それから、お肌が敏感なときは、過剰なケアを行わないことも大事です。
「お肌が赤いから…」と色々なものを付けるのではなく、そういうときこそ、「汚れを落とす」・「保湿する」といったシンプルなお手入れを、ご自分に合ったお化粧品で行うことを意識していただくといいですよ。
肌の赤みの改善方法
(化粧水などのポイント)
・化粧水は、手で肌全体になじませ、プレスで角質層になじませる(化粧水は、エタノールの入っていないものや弱酸性のものなどがおすすめ)
・クリームは、手で伸ばしてから顔全体になじませる(クリームは、セラミド配合のものなどがおすすめ)
・過剰なケアを行わず、「汚れを落とす」・「保湿する」シンプルなお手入れを行う
など
乾燥知らずの保湿感を美容家が絶賛した洗顔後すぐのミルク!
キレイの先生 ブースターミルク
乾燥スポンジに水分が入るみたいに、肌奥までうるおいがギュッと!(サロン結香 矢澤 ともみ 先生)
キレイの先生 ブースターミルク
乾燥スポンジに水分が入るみたいに、肌奥までうるおいがギュッと!(サロン結香 矢澤 ともみ 先生)
薄化粧にして生活習慣を整えるなど
肌の赤みを改善するのに、生活習慣で心がけたいことはありますか?
まずは、お化粧を薄くするのも、ひとつの工夫です。
なるほど、そうすれば、洗浄力の強いクレンジング料を使う必要もなくなります。
たしかにそれも、肌の赤みの改善方法といえそうです(笑)。
はい(笑)。
それから、ストレスをためないことです。
ストレスは、お顔の赤みを引き起こす原因にもなります。
例えば、アロマなどでストレスケアするのもいいですね。
それに、睡眠をしっかりとることも大事ですし、喫煙やカフェインの摂りすぎにも注意していただきたいです。
後は、バランスの良い食事の上で、「ビタミンC」や「ビタミンA」をしっかりと摂取するのもいいですよ。
肌の赤みの改善方法
(生活習慣で心がけたいこと)
・お化粧を薄くする
・ストレスをためない
・生活習慣を整える(睡眠をしっかりとる、喫煙を控える、カフェインの摂りすぎに注意する、バランスの良い食事の上でビタミンC・ビタミンAをしっかり摂る、など)
など
【編集部Voice】敏感肌ケアについて
肌が赤いのは、主に敏感肌によって起こる症状のひとつです。
敏感肌のケアについては、別のエステティシャンさんに取材させていただき、下の記事でまとめていますので、合わせてご覧になってみてください。
合わせて読みたい!
肌の赤みにおすすめのサロンケアとは
ちなみに先生のサロンでは、お肌の赤みにはどんな施術・ケアを行っていますか?
お肌が敏感傾向のお客様には、お肌を活性するというよりも、まずは炎症を抑える「鎮静」をしっかりと行うようにしています。
例えば、お肌のバリア機能を強化する成分の入ったマスクなどがあります。
それにマッサージも、鎮静作用のあるアロマを使ったりします。
敏感肌の方には、まずは「鎮静」ということですね。
はい、そうしてお肌を元の状態まで戻した上で、通常のトリートメント(施術)に移行していくようにしています。
まとめ
今回のインタビューで挙がった、敏感肌でお肌が赤いときのケアの方法をまとめます。
1. クレンジング料・洗顔料は、洗浄力が優しく弱酸性で低刺激のものを使用する
2. クレンジング・洗顔は、ゴシゴシとこすらずに優しく行う
3. クレンジングを1分くらい行って、洗顔は20秒くらいで行って洗いすぎないようにする
4. 顔をすすぐときは、ぬるま湯で行う
5. 化粧水は、手で肌全体になじませ、プレスで角質層になじませる
6. クリームは、手で伸ばしてから顔全体になじませる
7. 過剰なケアを行わず、「汚れを落とす」・「保湿する」シンプルなお手入れを行う
8. お化粧を薄くする
9. ストレスをためない
10. 睡眠や食事などの生活習慣を整える
肌が赤いのは、主に敏感肌による症状のひとつです。
その赤みを改善するには、過剰なクレンジング・洗顔を避けて、スキンケアで丁寧に優しく保湿することが大切といえそうです。
肌の赤みが気になっている方は、木村先生のアドバスを参考にしてみてはいかがでしょうか?
* 2018年7月6日に公開した『肌が赤い?敏感肌は過度なケアはダメ!改善方法12個をプロに聞く!』を再編集しました。