今回のテーマは、「ホホバオイルの使い方」です。
アロマテラピーサロン&スクール アロマベーネ の川瀬 裕子 先生にインタビューさせていただきました。
ホホバオイルは、とても便利なキャリアオイル(植物オイル)です。
保湿力が高くて美容効果に優れていますし、どんな肌タイプにも使用できます。
スキンケアはもちろん、ヘアケアやボディケアに使用することもできます。
ホホバオイルの使い方について、川瀬先生に教えていただきました。
目次
ホホバオイルとは
・品質は低温圧搾で抽出されたホホバオイルが高い
・使いやすいのは無色透明の精製のホホバオイル
・ホホバオイルは「砂漠の宝物」と呼ばれている
ホホバオイルの効果・効能
・肌になじみやすくエイジングケア効果にも優れる
・べたつかずどんな肌タイプにも使用できる
ホホバオイルの使い方
・化粧水後に付けて保湿効果や美容液のブースター効果も
・クレンジングや毛穴掃除にも使用できる
・シャンプー後やオイル湯などでヘアケアにも
・ホホバオイルは手作り化粧品の材料にもおすすめ
・サロンケアにもホホバオイルは向いている
ホホバオイルとは
川瀬先生、よろしくお願いします。
今回のテーマは、「ホホバオイル」です。
ホホバオイルは、どんな植物から抽出されるオイルなんですか?
ホホバオイルは、ホホバ科の「ホホバ」という植物の実にある種子から抽出される植物オイルです。
ホホバは、乾燥した半砂漠地帯に生える高さ2mほどの常緑低木で、砂漠地帯の過酷な環境で自生する強い生命力があります。
そして乾燥した気候の中で、効率良く水分を蓄(たくわ)える性質があります。
そうするとホホバオイルにも、その強い生命力や保湿力が備わっていそうです(笑)。
はい、ちなみにホホバオイルは、厳密には油脂(ゆし)ではありません。
正確には、高級アルコールが主成分の「不飽和ロウエステル」です。
え、ホホバオイルはオイルじゃないんですか!?
正確にいうとですね(笑)。
ですのでホホバオイルは、常温では液体ですが、10~15℃以下になると固まって白濁(はくだく)して固形状になります。
品質は低温圧搾で抽出されたホホバオイルが高い
ホホバオイルは、ホホバの実からどのように抽出されるんですか?
ホホバオイルに限らずキャリアオイルの多くは、実や種を押しつぶして油を搾り出して抽出されます。
そうした抽出方法を、圧搾法(あっさくほう)といいます。
そうするとホホバオイルも、その実を圧搾して抽出されるんですね?
はい、そうです。
ちなみにキャリアオイルは、圧搾抽出する際の温度によって、「低温圧搾法」と「加熱圧搾法」にわけられます。
低温圧搾法は、「冷搾法(れいさくほう)」や「コールドプレス」とも呼ばれています。
それで抽出されたオイルは、栄養素を豊富に含み高品質です。
ただ、オイルを抽出できる量は少ないです。
それに対して加熱圧搾法のオイルは、熱で成分が変化したり劣化が早くなったりする可能性があります。
そうすると品質的には、低温圧搾法のオイルのほうが高いんですね。
そうですね、ただ加熱圧搾法のオイルのほうが抽出量は多いので、価格はお手頃のものが多いです。
他にも、溶剤を用いてオイルを抽出する方法もあります。
ただ溶剤抽出されたオイルは、溶剤が残留している可能性もあります。
ですのでスキンケアなどに使用するには、あまり適していません。
ホホバオイルについて
【抽出方法による品質の違い】
・低温圧搾法:栄養素を多く含んでいる
・高温圧搾法:熱によって栄養が変性や劣化しやすい
・溶剤抽出法:溶剤が残留している可能性があるためオイル美容には向かない
使いやすいのは無色透明の精製のホホバオイル
オイルの品質面では、「精製」か「未精製」かということも関係してきますよね。
そうですね、特に低温圧搾法で抽出されたホホバオイルは、未精製の状態では、燻製(くんせい)のような独特な香りがあります。
そうした未精製のホホバオイルは、黄色い色をしているので、「ゴールデンホホバオイル」とも呼ばれたりしますね。
それに対して精製のホホバオイルは、無色透明で匂いもほとんどありません。
そうすると、精製のホホバオイルのほうが使いやすそうです。
ただ、精製のオイルは栄養が損なわれるといいますから、品質的には未精製のほうがいいですもんね…。
たしかに一般的には、未精製のオイルのほうが栄養価も高いといわれています。
ただ実はそれも、研究者によって意見がわかれます。
それに、精製されたオイルは栄養が損なわれるといいますが、その精製方法によっても品質に差が出ます。
例えば当サロンで使用している「インカオイル」というブランドには、2種類のホホバオイルがあります。
どちらも、精製されたタイプのオイルです。
ただ、精製方法が異なります。
ひとつは、ゴールデンホホバオイルをフィルターでこして色素を取り除いたものです。
そしてもうひとつが、170度の熱を加えて蒸留して脱臭もしたものです。
フィルターでこして精製されたホホバオイルは、不純物は取り除かれていますが、栄養成分は多く残っています。
ですのでサロンでは、そちらのホホバオイルを使用しています。
精製と未精製のホホバオイルは、どちらがおすすめですか?
それは、お好みでどちらでも大丈夫ですよ(笑)。
ただ、使いやすさで考えてみるのもいいかもしれませんね。
未精製のホホバオイルは、不純物が残っている可能性もあります。
ですので精製されたものと比べると、劣化がやや早いです。
それに、ホホバオイルは刺激を起こしやすいオイルではありませんが、未精製のオイルは、敏感肌の方には刺激になる可能性もあります。
皮膚への刺激が少なくお肌のトラブルになる可能性が低いのは、精製されたホホバオイルでしょうか。
いまの話をお聞きすると、精製のホホバオイルのほうが使いやすそうですね。
そうですね、精油の香りをいかしたいアロマテラピーの基材や、色をいかした化粧品の基材としては、精製のホホバオイルのほうが適しているように思えます。
【編集部補足】未精製と精製オイルについて
未精製と精製のホホバオイルについて、特徴の違いをまとめます。
■ 未精製のゴールデンホホバオイル
[色]黄色
[香り]燻製のような独特な香りが残っている
[特徴](一般的には)ホホバオイルそのものの栄養が残っている
■ 精製のホホバオイル
[色]透明
[香り]ほとんどない
[特徴]オイル美容が初めての方にも使用しやすい
ホホバオイルは「砂漠の宝物」と呼ばれている
ちなみにホホバオイルは、どこが主な産地なんですか?
アメリカ南西部のアリゾナ州や、カリフォルニア州からメキシコ北部が、ホホバの原産地です。
ですので現在流通しているホホバオイルも、アメリカ・アルゼンチン・ペルーなどで栽培されているものが多いでしょうか。
ホホバオイルは、現地でも使われていたんですか?
はい、ネイティブアメリカンはホホバオイルのことを「砂漠の宝物」と呼んでいたといいます。
砂漠の宝物(笑)!! それだけでホホバオイルの魅力がわかる素敵な呼び名です(笑)。
はい(笑)、それで現地では昔から、傷の手当てやお肌や髪のお手入れにホホバオイルを使用していたそうです。
それから、強い日差しからお肌を守るのにも役立てていたといわれています。
ホホバオイルの効果・効能
肌になじみやすくエイジングケア効果にも優れる
ホホバオイルには、どんな栄養が含まれているんですか?
ホホバオイルの主な成分は、「エイコセン酸」が70~80%、「エルシン酸」が10~15%、それに「オレイン酸」などです。
「オレイン酸」は、人の皮脂(ひし・毛穴から分泌されている油分)にも約40%含まれています。
それもあって、ホホバオイルはお肌へのなじみがとてもいいです。
それに、お肌をやわらかく保って保湿する作用も高いです。
皮脂は年齢とともに減少していきますから、ホホバオイルをお肌に付けることで、それを補うことができます。
それからホホバオイルには、「ビタミンA」・「ビタミンE」・「ミネラル」・「アミノ酸」なども含まれています。
ビタミンAは、お肌のハリと弾力を保つ働きがあります。
ビタミンEは、抗酸化に優れていて、外部の刺激からお肌を保護したりコラーゲン形成を促進したりする働きがあります。
ですので、ホホバオイルはエイジングケア効果も期待できますよ。
ホホバオイルは、美容効果も優れているんですね。
さすが、砂漠の宝物です(笑)。
ホホバオイルの主成分
・エイコセン酸:70~80%
・エルシン酸:10~15%
・オレイン酸
・ビタミンA・ビタミンE・ミネラル・アミノ酸
など
べたつかずどんな肌タイプにも使用できる
オイル美容で、ホホバオイルはどんな効果を得られますか?
まずホホバオイルは、お肌への浸透性に優れています。
保湿作用は高いですが、あまり油膜(ゆまく)感を残しません。
あまりべたつきがないんですね。
はい、それもあってホホバオイルは、乾燥肌から脂性肌(しせいはだ)や混合肌まで、あらゆる肌タイプにお使いいただけます。
それにホホバオイルは、皮脂の多すぎる方でも少なすぎる方でも、ちょうどいい皮脂バランスを取ってくれるような作用もあります。
ですので、お肌のテカリやニキビが気になられている方にもお使いいただけます。
ホホバオイル、便利すぎます(笑)!
はい(笑)、それからホホバオイルは、抗炎症作用や皮膚の酸性度を改善するような作用も期待できます。
後は、ヘアケアに使用すれば、髪の毛のトリートメント作用などもありますよ。
合わせて読みたい!

ホホバオイルの使い方
化粧水後に付けて保湿効果や美容液のブースター効果も
ここまでの先生のお話で、ホホバオイルがさらに好きになりました(笑)。
セルフケアでは、ホホバオイルはどんな使い方ができますか?
まずは、お顔の保湿です。
スキンケアに使用するんですね。
はい、例えば化粧水でお肌をうるおした後、2~3滴のホホバオイルを水分の残った手によくなじませてからお顔全体に付けるのもいいですね。
お肌の乾燥が気になるときは、ホホバオイルを2度付けしてあげるのもおすすめです。
ホホバオイルは浸透がいいので、お肌が化粧水で濡れている状態でホホバオイルを付けると、お肌の上で水分と油分が混ざります。
それによって、天然のバリアと同じような効果を得られますよ。
ちなみに、化粧水後のお顔にホホバオイルをなじませると、美容液のブースター(導入)にもなります。
それによって、美容液の浸透も良くなりますよ。
【編集部補足】天然のバリアについて
毛穴から分泌された油分の皮脂は、肌表面で汗などの水分と混ざり合って天然の保護膜「皮脂膜」を作ります。
皮脂膜は、皮膚の水分の蒸発を防ぐ役割などがあります。
化粧水後にホホバオイルを付けることで、それと同じような効果を得られます
クレンジングや毛穴掃除にも使用できる
他に、ホホバオイルのスキンケアでの使用方法はありますか?
ホホバオイルは、クレンジングに使用することもできます。
え、ホホバオイル単体でクレンジングになるんですか!?
はい(笑)、もちろんメイクの質にもよりますが、ホホバオイルをクレンジングとして使用することもできますよ。
そのときは、乾いたお肌にホホバオイルをなじませて、メイク汚れと一緒にぬるま湯で洗い流してあげるといいですよ。
後は、ホホバオイルは「ディープクレンジング」にも使用できます。
ホホバオイルで毛穴ケアもできるんですか(笑)!?
はい、そのときは、メイクを落とした後に、お顔にホホバオイルをなじませます。
それで、そのまま入浴します。
そうすると、毛穴の奥の汚れが浮き出てきますよ。
もしくは、洗面器にお湯を張って、お顔にその蒸気を当てるような方法でも大丈夫です。
シャンプー後やオイル湯などでヘアケアにも
ホホバオイルは、ヘアケアやボディケアにも使えるんですよね?
はい、もちろん大丈夫ですよ。
例えばヘアケアとしては、シャンプー後に使用するのもおすすめです。
濡れた髪に、パール大ほどのホホバオイルを指先で少しずつ付けて全体になじませれば、リンス代わりにもなります。
それに髪が濡れた状態ですと、ホホバオイルがべたつかず全体に行き渡りやすいです。
それから、洗面器にお湯を張って、その中にホホバオイルを1~2滴たらし、そのお湯を髪全体にかけるのもいいですね。
そうすると、髪がしっとりとしてまとまりやすくなります。
それに、冷暖房による乾燥や紫外線のダメージから髪を保護してくれます。
後は、ホホバオイルを頭皮ケアに使用することもできます。
そのときは、まずはシャンプー前にホホバオイルを頭皮になじませて、マッサージを行います。
それで、そのまま湯船につかります。
そうすると、頭皮の毛穴汚れが浮いてきます。
それに頭皮の保湿にもなって、フケの予防にもなりますよ。
ホホバオイルは、ボディケアにはどんな使い方ができますか?
ホホバオイルをお風呂上りに全身に塗布してあげるだけでもいいですよ。
特に乾燥する季節にはおすすめです。
そのとき、ホホバオイルにお好みの精油を加えると、アロマの香りを楽しむこともできますね。
それからホホバオイルは、肌タイプを選ばず浸透がいいので、例えば老人ホームなどでのハンドトリートメントに使用するのにも向いています。
ホホバオイルは手作り化粧品の材料にもおすすめ
ホホバオイルは、たくさんの使い方ができるんですね(笑)。
はい、後は…。
すごい、まだ使い方があるんですか(笑)。
はい(笑)、ホホバオイル単体をオイル美容に使用するというわけではありませんが、手作り化粧品の材料としてもホホバオイルはおすすめです。
例えばホホバオイルとミツロウで、クリームを手作りすることもできます。
その手作りクリームは、酸化しづらく保存性にも優れています。
それをナイトクリームに使用すると、特に冬場の乾燥するシーズンは、翌朝のお肌がしっとりやわらかくなりますよ。
それに、リップクリームにすることもできまし、かかとの角質ケアにも使用できます。
それから、手作り化粧品の基材のジェル材にホホバオイルを混ぜれば、ヘアジェルを手作りすることができます。
そのときは、ホホバオイルを少しずつ加えながら、固さを調整するといいですよ。
後は、ホホバオイルとシアバターで、ヘアクリームを手作りすることもできますよ。
そうした手作り化粧品は、好みの精油を加えればアロマの香りを楽しむこともできます。
それに、ご自分に合った目的別の化粧品を作れるのも魅力ですね。
【編集部補足】ホホバオイルで手作り化粧品
川瀬先生には別の記事で、ホホバオイルを使った手作り化粧品の作り方を取材させていただきました。
そちらは、下の記事をご覧ください。
関連記事

サロンケアにもホホバオイルは向いている
ホホバオイルは、本当にいいオイルですね(笑)。
先生のサロンでも、ホホバオイルをお使いなんですよね?
はい、フェイシャルやボディのトリートメント(マッサージ)などに使用しています。
アロマサロンでは、マカダミアナッツオイルやスイートアーモンドオイルを使用しているお店も多いです。
例えばソフトタッチのトリートメントでしたら、すべりのいいスイートアーモンドオイルなども向いています。
それに対して、少し圧をかけるような手技では、ホホバオイルが使いやすいです。
オイルの摩擦が適度にあって、トリートメントですべりすぎることもありません。
それにホホバオイルは、夏場でもあまりべとつかないので一年を通じて使うことができます。
それから、中には、ナッツ類のアレルギーをお持ちの方もいらっしゃいます。
そうしたお客様には、マカダミアナッツオイルやスイートアーモンドオイルは使いづらいです。
ただ、ホホバオイルに対してアレルギーがあるという方はとても少ないです。
サロンケアにも、ホホバオイルは使いやすいんですね(笑)。
はい(笑)、特に当サロンは、精製のホホバオイルを使用していて、香りも癖もありません。
ですので、アロマトリートメントにもとても使いやすいです。
ホホバオイル好きにおすすめの化粧品
「キレイの先生」編集部です、ここまでが川瀬先生の取材記事です(先生、ありがとうございました!)。
ここからは、ホホバオイルにご興味の方におすすめの化粧品をご紹介します。
ナチュラルオーケストラ オーガニックホホバオイル
オイルの原料だけではなく製造工場・流通・ブランドなどすべての工程において、日本で唯一、エコサート・コスモスの2つの国際有機認証機関からオーガニック認定を受けたブランドです。
コールドプレスで圧搾されたオイルで、輝くような金色をしていてビタミンやミネラルなどが豊富に含まれています。
「お試しサイズ(34mL)」もあるので、まずは気軽にお試しいただけます。
●容量:34mL
●通常価格:税別2,778円
まとめ
ホホバオイルは、とにかく便利なキャリアオイルです。
保湿力が高くて美容効果に優れていて、どんな肌タイプにも使用できます。
スキンケアはもちろん、ヘアケアやボディケアに向いています
オイル美容を始める方にも、おすすめのオイルですよ。
* 2018年2月7日に公開した『ホホバオイルの使い方!肌に!髪に!セラピストも絶賛「砂漠の宝物」』を再編集しました。