「キレイの先生」編集部です。
今回のテーマは、「ギー」です。
ヨーガ&アーユルヴェーダ OMA の尾股 あき子 先生に取材させていただきました。
私は今回の取材でギーを初めて知ったのですが、皆さまはご存知でしたか?
ギーは、インドなどで一般的に用いられるバターオイルのことをいうそうで、健康や美容への効果・効能が期待でき、自宅で手作りすることもできるといいます。
ギーとは、何なのでしょうか?
どんな効果・効能が期待でき、どんな使い方ができるのでしょうか?
尾股 先生には、自宅でのギーの作り方も教えていただきました。
目次
ギーの作り方
・材料・道具
・作り方
・保存方法
本日のキレイの先生
ヨーガ&アーユルヴェーダ OMA
尾股 あき子 先生
「キレイの先生」編集部
ギーとは?
尾股 先生、よろしくお願いします。
今回のテーマは、「ギー」です。
まずは、ギーとは何かを教えていただけますか?
ギーは、油です。
バターを煮詰めて、余分な不純物やタンパク質などを取り除いたものになります。
油ということは、液体になるのですか?
私の勝手なイメージなのですが、(ギーは)バターのような固形物のイメージがありました。
(ギーは)バターと同じですが、バターと違って冷蔵庫で保存しないので、気温によって液体になったり固形になったりします。
(固形のときも)カチコチになるまでは固くなりませんが。
たしか、ギーは、インドのものなのですよね?
先生は数年間インドにお住まいだったとのことですが、インドでは、ギーはよく使われているのですか?
はい、インドでは、(ギーは)とても一般的です。
ギーのない家はない、といえます。
インドでは、(ギーは)それほど一般的なものなのですね。
はい、インドの人は大抵、朝夕の2回は必ずチャイを飲むのですがが、チャイに牛乳は欠かせず、朝に牛乳を沸騰させて殺菌することから一日が始まり、そのときに分離してできた乳脂肪分(生クリーム)を取って、そのクリームからギーを作ります。
(インドでは)ギーは、料理に使われることが多いのですか?
そうですね、一般のご家庭でも、キッチンに常備されていて、インドの家庭料理には欠かせません。
カレーや炒め物、お菓子作りにもよく使われていますよ。
後は、料理の最後に、スパイスを入れて加熱したギー「タルカ」をひと回しかけて使ったりもします。
オリーブオイルのような使い方です!
はい、そういった使い方もできます(笑)。
他にも、パンやナン、チャパティー(インドなどにおけるパンのひとつ)に、バターと同じ使い方で、ギーを塗って使ったりもします。
アーユルヴェーダとギー
アーユルヴェーダ(インドの伝統医学)でも、ギーが使われると聞いたことがあります。
はい、アーユルヴェーダでは、ギーは、「究極の最高のオイル」とされています。
最高のオイルですか!?
はい、アーユルヴェーダの古典書『チャラカ・サンヒター』にも、五千年前からの知恵として、ギーのことは記されています。
(アーユルヴェーダでは)ギーは治療や薬として用いられ、例えば、マッサージに使ったり、目に入れたり、飲んだりするような施術があります。
ギーの使い方について
尾股 先生もおっしゃっていましたが、日本では、ギーを目に入れるような療法は、医療行為に当たるため行うことができません。インドでは、アーユルヴェーダが医学として確立されていて、治療の一環として、ギーがそのような使い方もされているとのことでした。
ギーはココナッツオイルの次に来る?
日本でも最近、ギーの名前を聞くことが増えてきました。
そうですね、日本でも、ようやく(ギーが)認知されつつあると思います。
これまでは、「ギーがいいな」と思っても手に入れづらく、手作りするのも少しハードルが高いので、なかなか広まっていきませんでした。
私も、日本ではなかなか(ギーが)手に入らなかったので、インドに行ったときに買って帰っていました。
ただ、最近では、少し大きなスーパーや、おしゃれなスーパーでは、ギーの取り扱いを見かけるようになりましたね。
ギーは、「ココナッツオイルの次に来るオイル」としても注目されているのですよ。
「ココナッツオイルの次に来るオイル」ですか!?
それを聞いて、ますますギーのことを知りたくなりました(笑)。
ギーの効果・効能
ギーは、どんな効果・効能を期待できるのですか?
たくさんあります(笑)。
油には色々な種類がありますが、ギーは、他の油と比べると、「オメガ3」や「オメガ6」などの含有率が高く、体内で作り出すことが不可能な「共役リノール酸」なども含まれていて、脳を活性化したり、免疫力を上げたりする効果・効能が期待できます。
また、他の油にはあまり含まれていない「ビタミンA」や「ビタミンE」も、(ギーには)多く含まれています。
ビタミンAとビタミンEは活性酸素を除去する抗酸化作用があるため、ギーは「酸化しづらい油」として長期保存が可能です。
老化防止やアンチエイジングにも良いです。
油は酸化が天敵ですから、「酸化に強い油」というのはとても魅力的です。
はい、インドでは、100年前のギーが見つかって、まだ食べられる状態だったという話もあります。
すごい! ギーの抗酸化作用はそれほど高いのですか…。
それは、アンチエイジング効果が高そうです。
はい、ギーは、栄養面からいっても、ほぼパーフェクトな油です(笑)。
後は、ギーは「完全燃焼する油」で、燃やすと青い炎が上がって、すすが出ずにきれいに燃えます。
そのため、身体の中に入っても、きれいに燃焼しやすく(油分ですが)太りにくいといわれます。
すると、(ギーは)ダイエットにも良さそうですね。
そうですね、ギーは、ココナッツオイルにも多く含まれる「中鎖脂肪酸(ちゅうさしぼうさん)」が豊富で、共役リノール酸は体内で脂肪として残らずエネルギーに変換してくれるので、ダイエットにとても良いと思います。
とはいっても、ギーは油ですので、摂り過ぎには注意ですよ(笑)。
他にも、美容面では、ギーをお肌に塗ってマッサージしたりすると、翌日は、赤ちゃんのようなお肌になったりしますよ。
ギーはほのかに乳製品のような香りがするので、日本では、そうした使い方をされることは少ないですが。
ギーの作り方
ギーは、自宅でも簡単に手作りできるといいます。
尾股 先生に作り方を教えていただいたので、ご紹介させていただきます。
材料・道具
■ 無塩バター 450g
バターはある程度の量が必要で、量が少ないと(ギーを作る過程で)焦げやすくなってしまうそうです。
無塩バターは、「グラスフェッドバター」がおすすめとのことです。
■ 不織布(ふしょくふ)のキッチンペーパー
コーヒーのフィルターや、油こし紙でも代用できるとのことです。
■ 鍋
アルミ製のものは避け、ステンレス製やホウロウ鍋を使うのがおすすめとのことです。
■ 木べら・スプーン
作り方
1. 無塩バターを鍋に入れて火にかけます。中火で焦がさないように気を付けます。
2. バターが溶けて表面に白い泡が出てきたら、火を弱くして加熱し続けます。白い泡は、余分な不純物やタンパク質です。基本的に、白い泡を取ったりかき混ぜたりせず、触らないようにします。
3. 20分くらい火をかけると、バターの色が透き通って黄金色になって、鍋の底に茶色のカスのようなものが出てきます。ギーの良い香りがしてきたら、火を止めます。
4. そして、熱い内に、キッチンペーパーで漉(こ)します。
白い泡や(鍋の底に出る)茶色のカスなどの余分な不純物・タンパク質を取り除くことで、純粋な油(ギー)を取ることができるのですね。
ちなみに、インドの一般家庭では、牛乳から分離した生クリームを取って、そこからギーを手作りしているとのことでした。
ただ、日本では、そのような作り方をするのは難しく、無塩バターからギーを手作りするそうです。
保存方法
手作りしたギーは、冷暗所で保存します。
冷蔵庫に入れると、出し入れしたときに水滴が付いて、そこからカビが生えたりする場合があるので、冷蔵庫には入れない方が良いとのことでした。
では最後に、尾股 先生にはギーの使い方もお話しいただいたので、そのインタビューをご覧ください。
ギーの使い方
ギーは、どんな使い方ができるのですか?
本場のインドの一般家庭では、料理によく用いられるとおっしゃっていました。
はい、(ギーの使い方としては)料理で、バターの代わりに使うのが便利だと思います。
例えば、バターで炒め物をするとき、(バターを熱すると)ジュワッと泡が出て焦げることがあると思います。
そのため、料理によっては、バターを(調理の)最後に入れたりすることがありますね。
それに対して、ギーは焦げませんので最初から使えます。
そうなのですか!?
はい、ギーは(不純物などを取り除いた)油ですので。
たしかに、サラダオイルやオリーブオイルは、(調理で)熱しても焦げません。
ギーも、それと同じということですね…。
はい、(ギーは)油としても使うことができます。
炒め物でバターを使うと、料理にバターの風味が出ると思います。
ギーにも、同じような風味があるのですか?
はい、ただ、(ギーの風味は)バターほど、こってりはしていません。
ほんのりとキャラメルのような風味があります。
ですので、バターで炒め物をしたときの「バター臭いな…」といった感じは、あまりないと思います。
(ギーの使い方としては)後は、バターの代わりにパンに塗ったり、スープの上から回してかけたり、料理の上に少し垂らしたり、ホットミルクに入れたりすることもできます。
他にも、(ギーを)コーヒーに入れるような使い方もされているようです。
市販されているギー
日本でも最近では、少し大きなスーパーや、おしゃれなスーパーでは、お取り扱いしているとのことでした。
市販で手に入るギーで、おすすめのものはありますか?
私は、ギーを手作りしているので、市販のものはあまり手にしないのですよね…。
ただ、インドに住んでいたときは、「Amul(アムール)」というブランドのものは手に取ったことがあり、それは日本のスーパーでも見かけたことがありますよ。
まとめ
取材中、「ギーは最高の油ですよ」という言葉がありました。
ギーは栄養が豊富で、酸化しづらいとのことでした。
油にとって酸化は天敵ですので、その抗酸化作用はとても魅力的です。
健康・美容への高い効果も期待できますね。
ギーは、無塩バターから手作りでき作り方も簡単です。
「ココナッツオイルの次は、ギーが来る!」といわれているほど、おすすめのアイテムなので、チェックしてみてはいかがでしょうか?(皆さまがこの記事をご覧になる頃にはブームになっているかもしれませんね)。