「キレイの先生」編集部です。
メラニンがシミの原因になることは、よく知られていると思います。
メラニンは厄介な存在ですよね…。
私はそう思っていました。
ただ、メラニンは決して悪者というわけではなかったんです。むしろ元々は、「良い子」ともいえるようなものだというのです。
意外ではありませんか? 一体それは、どういうことなんでしょうか?
今回は、アルファリラクゼーションスペース の相笠 美弥子 先生に話をお聞きかせいただきました。
どうして良い子のメラニンが、シミの原因になってしまうんでしょうか?
そこからみえてきたのは、シミがいちど出来ると消すのが難しいということ、そして予防の大切さでした。
相笠 先生に、シミのメカニズムについて教えていただきました。
目次
メラニンがシミの原因に
・メラニンがシミになるメカニズム
・シミを消すには
シミの予防 紫外線対策
・日焼け止め
・帽子・日傘・UVカット加工のされたメガネ
シミの予防 スキンケア・食べ物
・保水・保湿
・72時間以内のスキンケア
・食べ物
シミが出来たときの対策
・サロンでのシミ対策について
メラニンがシミの原因に
メラニンは元々、身体の中にある黒の色素です。作られる量は遺伝子によって決まっていて、それによって肌の色も決まります。
メラニンは、紫外線を浴びると、必要以上に大量に作られます。
その理由は、紫外線によって細胞内のDNAを破壊されないように、また皮膚がんを引き起こさないように、紫外線を遮断するためです。
例えば私たちも、天気の良い日は紫外線から肌を守るために日傘を差したり、浜辺ではパラソルを使用したりしますね。
それと同じようにメラニンは、お肌を守るために日傘と同じ役割をしてくれるのです。
* 紫外線の他に、ホルモンバランスの乱れなども、メラニンがたくさん作られる原因になります。
メラニンがシミになるメカニズム
お肌は28日の周期で、ターンオーバー*が働いています。
紫外線を浴びて大量に作られたメラニンは、ターンオーバーで垢になって剥がれ落ちていきます。
ただ、ターンオーバーの周期は、若いときは28日ですが、年を重ねるほど遅くなります。
メラニンが、ターンオーバーで剥がれ落ちずに蓄積されると、周囲の細胞が染まって、シミになるのです。
* 編集部:ターンオーバーは、皮膚の新陳代謝のことをいいます。皮膚の中で新しい肌細胞が生まれて、少しずつ表面に上がってきて、最後は古い肌細胞(角質)が垢になって剥がれ落ちます。こうして皮膚は、日々新しく生まれ変わっています。
シミを消すには
くすみは、通常量のメラニンがお肌の表面に、ターンオーバーの遅れで残っている状態です。
ターンオーバーを正常に近づけて不要な角質が剥がれ落ちることで、早く改善しやすいといえます。
しかしシミは、消すことが難しいです。深さによっても、消えるまでの時間が違います。
皮膚の表皮*は、0.1~0.3mmの厚さしかありません。
それでも、メラニンが表皮の奥の方に残ってシミになると、それを消すのには、ターンオーバーで垢になって剥がれ落ちるまで待つ必要があります。
そして、紫外線対策を怠っていると、さらに奥の真皮(1~3mm)に、シミが出来る場合があります。
真皮のターンオーバーは、若い人でも6~7年かかるといわれています。そのため、真皮にシミが出来ると、なかなか消すことはできません。
シミを消すのに、病院でのレーザー治療などもあります。ただ、レーザーでシミを消しても、しばらくしてから、同じ場所にシミがまたうっすらと浮き出てくるときがあります。
それは、レーザーで表面のシミを取っても、その奥にまだシミが隠れていたことが考えられます。
* 編集部:皮膚は、(表面にみえるところから)「表皮」・「真皮」・「皮下組織」の3層構造になっています。
シミの予防 紫外線対策
このようにシミは、出来てから治すのは、なかなか難しいものです。
それよりも、シミにならないように予防することが大切です。
それが、お肌をきれいに保つことにもつながります。
日焼け止め
シミを予防するのに、UVケアは欠かせません。
外出するときは、日焼け止めを忘れずに付けるようにしましょう。 通常の日常生活ではSPF20~30で十分です(SPF1が、「紫外線からお肌を20分守る」という値になります)。
女性は日焼け止めのクリームを付けて、最後にパウダーやファンデーションを塗布します。
サロンにお越しになられるお客様にも、UVカット効果のあるパウダーなどを重ね付けすることで、日焼け止めの効果がさらに高まると考えられている方もいらっしゃいます。
例)
・クリーム:SPF30
・パウダー:SPF20
→ 合計SPF50の効果になる
しかし、UVカット効果のある化粧品を重ね付けしても、基本的に効果は上積みされません。
お肌に塗布した製品の中で、UV効果のもっとも高い数値が、全体の数値になるとお考えになると良いと思います。
例)
・クリーム:SPF30
・パウダー:SPF20
→ SPF30の効果になる
ただし、日焼け止めは汗などで取れやすいので、こまめに塗り直すことは大切です。
帽子・日傘・UVカット加工のされたメガネ
外出するときは、日焼け止めを付けた上で、帽子や日傘を使用すると良いでしょう。
プラス、サングラスを使用することをおすすめします。
紫外線は、目からも入ってきます。脳は紫外線がどこから入ってきても、メラニンを生成するよう指令を出します。
そのため、特に紫外線の強くなる5~9月は、日傘や帽子に加え、UVカット加工のされたメガネ(やサングラス)を使用することでメラニン増加を防ぐことができます。
ただ、このようにあらゆる方法を用いても、紫外線を100%防御することは難しいです。
メラニンを大量に生成させないためには、ひとつの方法に頼るのではなく、色々な物を使用して、紫外線の遮断率を100%に近づけることが大切です。
シミの予防 スキンケア・食べ物
保水・保湿
お肌は、水分量が高いほうが日焼けしにくいといわれています。
面白い例えですが、焼き魚の料理を想像してみてください。生魚と干物では、どちらが早く焼けますか?
そうです、干物の方が、火が早く通りますよね。
それは干物が、魚を乾燥させて、水分がほとんど抜けているためです。
お肌の中もそれと同じで、水分量が少ないと、お肌のバリア機能が崩れて日焼けしやすくなるのです。
そのため、スキンケアでしっかり保水・保湿して、乾燥肌にさせないことも、シミの予防に効果があります。
72時間以内のスキンケア
お肌は、紫外線を浴びると、すぐにシミが出来るわけではありません。
メラニンは、紫外線に当たって72時間後から生成されます。
そのため、「紫外線を浴びてしまったな」と思ったら、72時間以内に、お肌に美白成分(例えば、ビタミンC誘導体やプラセンタなど)を入れることをおすすめします。
それによって、メラニンの生成を抑える効果が期待できます。
メラニンはいちど作られると、ターンオーバーで剥がし落とすしかありません。
紫外線を浴びてから72時間以内に美白成分を入れて、生成されるメラニンの量を少なくすることで、シミの予防になります。
食べ物
食べ物では、シミの予防に、下のような栄養素を摂ることがおすすめです。
■ ビタミンC
パプリカ、パセリ、ゴーヤーなどの野菜に多く含まれています。果物では、ゆず、レモン、キュウイ、イチゴなどに多いです。
■ ビタミンB2
レバー、のり、ハチミツ、大豆製品などに多いです。
■ L-システイン
ビタミンCと一緒に摂ると、効果が上がります。肉や青魚に含まれています。
■ リコピン
トマト、スイカ、人参、ローズヒップなどに含まれています。
■ アスタキサンチン
桜えび、サケ、イクラなどに含まれています。
■ エラグ酸
ポリフェノールの一種です。ザクロ、イチゴ、ベリー系に含まれています。
シミが出来たときの対策
シミは、レーザーで焼いて取る治療もありますが、レーザー治療は、お肌に負担がかかります。
できればシミは、ターンオーバーで自然に消すのが理想です。
ターンオーバーを促進するには、身体を冷やさずに温めることです。それには、運動やお風呂なども良いですね。
身体が温まると代謝が良くなり、ターンオーバーの促進にもつながります。
また、「ピーリング」も、ターンオーバーを促すひとつの方法です。
お顔の表皮の角質層*は、角質が10層ほど積み重なって出来ています。
編集部のコメント
表皮はいくつかの層に分かれていて、いちばん表面側が「角質層」です。
角質層は、レンガを積み上げた壁のように、細胞(角質)が積み重なって出来ています。
ピーリングは、(角質層の表面の)垢として剥がれ落ちなければいけない古い角質を取り除いてあげる方法です。
病院では、薬剤で余分な角質を溶かしたり、ダイヤモンドで削ったりして、行われています。
ご自宅で角質ケアをするときは、スクラブ*が良いと思います。軽いピーリングといえる方法です。
スクラブは毎日行うのではなく、多くても1週間から10日にいちどにしましょう。強くこすりすぎたり回数が多かったりすると、お肌に負担がかかってしまいます。
* 編集部:スクラブは、細かな粒子をお肌になじませて、余計な角質を取り除く方法のことをいいます。
サロンでのシミ対策について
サロンでは、ハーブ系やミネラル成分のパウダーを使用して、古い角質を取り除くピーリングを行っています。
マッサージしながら、パウダーを表皮から真皮まで吸収させる方法です。
人の身体は体内に異物が侵入すると、防御しようとする作用があるため、それによってターンオーバーの促進につなげます。
お肌は排泄機能ですが、パウダーの有効成分は、お肌から追い出される前に母細胞の栄養となり、新たな子細胞がたくさん生み出されます。
年齢を重ねるほど、ターンオーバーの周期は遅く傾向にあります。若々しいお肌を保つのに、正常なターンオーバーの28日に近づけるため、お客様は1ヶ月にいちどのペースで通われる方がほとんどです。
まとめ
「キレイの先生」編集部です。
紫外線を浴びるとメラニンが生成されるのは、皮膚のDNAなどを守ろうとしていたからなんですね。
身体には元々持っているものですから、悪者というわけではありません。紫外線を浴びて、たくさん作られたときに、厄介な存在になります。
相笠 先生の話をお聞きして、シミはいちど出来ると、消すのが難しいことがよく分かりました。真皮にできると、何年間も残る可能性があることは驚きました。
シミは消すのではなく、出来ないように予防することが、いちばんのシミ対策といえるのかもしれません。
日頃から紫外線対策をして、必要以上のメラニンが生成されないようにしていきたいですね。
(取材:「キレイの先生」編集部 文:アルファリラクゼーションスペース 相笠 美弥子 先生、「キレイの先生」編集部)
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