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乳化剤を使った手作りフェイスクリームの作り方!7つの手順

本日のキレイの先生

大野 亜希 先生

乳化剤を使った手作りフェイスクリームの作り方!7つの手順

「キレイの先生」編集部です。

今回のテーマは、「手作りフェイスクリーム」です。

私も大好きな手作り化粧品の取材です。

アロマサロン RosaNahema の大野 亜希 先生に話をお聞きしました。

このサイトではこれまで、蜜蝋やシアバターを使ったクリームの作り方を取り上げたことがあります。

今回は、乳化剤を使って、ハーブウォーターからフェイスクリームを手作りします。

作るのは楽しく、使って美容効果のあるクリームです。

大野 先生に、手作りフェイスクリームの作り方を教えていただきました。

目次

手作りフェイスクリームについて

手作りフェイスクリームの材料
・1. ハーブウォーター
・2. 乳化剤
・3. キャリアオイル
・4. 精油

手作りフェイスクリームのレシピ
・作り方
・使い方

まとめ

本日のキレイの先生

アロマサロン RosaNahema

大野 亜希 先生

「キレイの先生」編集部

手作りフェイスクリームについて

大野 先生、よろしくお願いします。

今回のテーマは、「手作りフェイスクリーム」です。

先生は、手作り化粧品をお作りになることも多いとのことですが、普段はどんな化粧品を作られているのですか?

欠かさずに作るのは、「化粧水」、「乳液」や「クリーム」です。

他にも「クレンジングオイル」や「リップクリーム」、「ハンドクリーム」、「シャンプー」などを作ることもあります。

たまに、「口紅」や「リップグロス」を作ったりもします。

すごい…。

ほとんどの化粧品は、手作りできるものなのですね。

私も手作り化粧品は好きなのですが、先生はどんなところがお好きですか?

手作り化粧品は、そのときの気分や好みで、材料を変えることができます。

例えば、クリームでも、テクスチャーや香りを変えることができます。

お肌が弱っているときは、「これを入れよう」といったような材料の選び方もできます。

そうして「変更できる」ことが、手作り化粧品の魅力だと思います。

よく分かります。

「今回はこうして…」、「次はこうして…」、といったように、中身は「変更」していくことができるのは、楽しいですよね。

今回は、乳化剤を使ったフェイスクリームの作り方を教えていただこうと思います。

主な材料は、どんなものを使うのでしょうか?

ハーブウォーター」、「乳化剤」、「キャリアオイル」、「精油」です。

ハーブウォーターは、精製水でも大丈夫ですが、ハーブウォーターを使うことで、香りも良く、お肌に良い効果を得ることもできます。

手作りフェイスクリームの材料

1. ハーブウォーター

「ハーブウォーター」とは、何なのでしょうか?

植物を水蒸気蒸留して精油(エッセンシャルオイル)を抽出するときに出来る副産物で、香りの付いた水です。

精油の成分も、少し含んでいます。

「芳香蒸留水(ほうこうじょうりゅうすい)」や「ハイドロゾル」とも呼ばれます。

ハーブウォーターについて

ハーブウォーターについて、簡単に補足させていただきます。

ハーブウォーターは、下のように、水蒸気蒸留法によって抽出されます。

1. ハーブを専用の釜に入れて蒸気を当てる

2. ハーブの芳香成分が蒸気に含まれる

3 それを冷却して液体に戻す

4. 油分と水分に分かれて、油分が「精油」に、水分が「ハーブウォーター」になる

水と油は混ざり合わず、油は水よりも軽いため、(水蒸気蒸留した)蒸気を液体に戻すと、上が油分、下が水分に分かれます。

ハーブウォーターについては、下の記事でも取り上げています。

ハーブウォーターには、どんな種類があるのですか?

精油を水蒸気蒸留で採油するときに必ず一緒に出来上がるものでから、ハーブウォーターは、水蒸気蒸留で採れる精油の数だけあるといえます。

とはいえ、市場に出回っていないものも多いとは思います。

アロマショップなどでも手に入りやすいところでは、「ローズ」・「ラベンダー」・「ネロリ」などの花から抽出されたもの、「ローズマリー」・「ティートゥリー」・「ゼラニウム」などの葉から抽出されたものがあります。

他にも、あまり販売されていないですが、「フランキンセンスウォーター」などもあります。

「フランキンセンス」のハーブウォーターがあるのですか。

美肌に良さそうですね。

美肌の精油「フランキンセンス」

下の記事でも紹介していますが、フランキンセンスは「美肌の精油」として知られています。そのハーブウォーターも、美肌効果が高そうです。

ちなみに、先生は、どんなハーブウォーターがおすすめですか?

ラベンダーウォーター」や「ローズウォーター」、「ネロリウォーター」、「ローズマリーウォーター」、「ドクダミウォーター」などです。

ハーブウォーターの効果・効能

大野 先生には、主なハーブウォーターの効果・効能を、メモにまとめていただいていたので、紹介させていただきます。

■ ラベンダーウォーター
落ち着きのある甘い香りです。
保湿性が高く、あらゆる肌質タイプのスキンケアに適しています。
アトピーやかゆみ、日焼け後のお肌にも良いです。

■ ローズウォーター
そのまま香水としても使える、華やかで気品のあるローズの香りです。
皮膚の収れん作用があるため、脂性肌(オイリー肌)や、お肌の引締めに良いです。
乾燥肌や、疲れたお肌にも良く、シワ予防にもなります。
また、お肌の弾力を取り戻して、お肌をやわらかくする効果も期待できます。

■ ネロリウォーター
ローズウォーターと同じように、香水としても使える、フローラルグリーンの香りです。ストレスを感じるときに、心を落ち着かせてくれます。
皮膚の収れん作用があるため、脂性肌や、お肌の引締めに良いです。

■ ローズマリーウォーター
さっぱりとした清涼感のある香りです。
保湿効果が期待でき、脂性肌にも良く、さっぱりとした使い心地です。
抗菌作用もあり、老廃物を排出させて毛穴の詰まり対策にもなり、お肌をきれいにするのにも役立ちます。

■ ドクダミウォーター
ドクダミが苦手な人もいますが、ハーブウォーターになると、とても甘くてさわやかな良い香りになります。
炎症を抑え、お肌を優しくケアします。
ドクダミは、漢方や民間医療で使用されてきたように、お肌の腫れやかゆみ、湿疹かぶれなどにも良いです。

2. 乳化剤

「乳化剤」は、水分と油分を混ぜ合わせるための材料です。

手作り化粧品に使える乳化剤は、いくつかの種類があり、大野 先生には、ひとつひとつ詳しく教えていただきました。

そのお話が面白かったので、「乳化剤」については、別の記事でまとめさせていただきます。

手作り化粧品には、植物性乳化ワックスの「エミュルシファイングワックス(パーム乳化ワックス)」や「オリーブ乳化ワックス」などが、おすすめとのことです。

3. キャリアオイル

キャリアオイルで、おすすめのものはありますか?

ホホバオイル」や「アルガンオイル」、「米油」なども、良いですね。

他にも、「バオバブオイル」や、酸化しやすいですが「ローズヒップオイル」も良いです。

ローズヒップオイルは、酸化しづらいホホバオイルなどと合わせて使うのも良いかもしれませんね。

おすすめのキャリアオイル

ここで名前の挙がったキャリアオイルは、このサイトで取り上げたことがあります。どれも、美容効果の高いオイルです。「バオバブオイル」は、大野 先生にお話しいただきました。

4. 精油

手作りフェイスクリームには、精油も入れられるのですよね?

はい、全体の量の1%くらいを目安に、精油を加えます。

例えば、オイルと水分を足した容量が50mLであれば、精油は10滴、オイルと水分の容量が30mLであれば、精油は6滴です。

先生に今回教えていただくのは、スキンケアに使うフェイスクリームです。

美肌効果の高い精油は、どんなものがありますか?

イランイラン」、「ラベンダー」、「フランキンセンス」、「ネロリ」、「ゼラニウム」、「パチュリー」、「ローズオットー」、「パルマローザ」などです。

美肌効果の高い精油

大野 先生には、美肌効果の高い精油の特徴を、メモにまとめていただいていたので、紹介させていただきます。

■ イランイラン
華やかな甘い香りです。
乾燥肌やアンチエイジングに良いです。

■ ラベンダー
あらゆる肌質タイプに適していて、ダメージを受けたお肌の回復に良いです。炎症やかゆみを抑える作用があるため、日焼け後のケアにも向いています。

■ フランキンセンス
精神を落ち着かせる穏やかな香りです。
乾燥や、肌荒れ、小じわや、シミ、ストレスから来る炎症などに良いです。

■ ネロリ
清潔さを感じる花の香りです。
お肌を引き締め、肌再生を促す作用があります。敏感肌や、シミ、シワなどに良いです。

■ ゼラニウム
お肌を引き締めたり、皮脂(ひし・毛穴から分泌される油分)を整えたりする作用があります。

■ パチュリー
エキゾチックで墨のような深い香りです。
乾燥や、肌の老化が気になる人に良いです。お肌を引き締め、血行促進や、炎症を鎮める作用も期待できます。

■ ローズオットー
あらゆる肌質タイプに適しています。炎症や吹き出物、老化、くすみ、たるみに良いです。

■ パルマローザ
ローズに似た香りです(パルマローザは、草から採れる精油です)。
肌を引き締め、肌再生を促す作用があり炎症やシワなどに良いです。

手作りフェイスクリームのレシピ

では、手作りフェイスクリームの作り方を教えていただきたいと思います。

まずは、材料の分量を教えてください。

キャリアオイルが10mL、乳化剤が3g、ハーブウォーターが20mL、天然の防腐剤が3~4滴、精油が6です。

ハーブウォーターは、精製水でも大丈夫です。

フェイスクリームの材料まとめ

・キャリアオイル 10mL

・乳化剤(エミュルシファイングワックス) 3g

・ハーブウォーター 20mL

・天然の防腐剤 3~4滴

・精油 6滴

この分量で、50mlのクリーム容器に十分納まるほどのクリームが出来上がります。

出来上がり量が少ないと感じる場合は、材料を倍量にしてください。

ただ、作りすぎると、使う期間が長くなりますので、質の劣化につながります。

2週間程度で使い切れるほどの量を作り、新たに作り直すのがより良いと思います。

防腐剤も入れるのですね?

手作り化粧品は、水を入れると腐敗しやすくなるため、冷蔵庫で保管するのですが、防腐剤を入れて安定性を高めるのも、ひとつの方法だと思います。

例えば、「GSE(グレープフルーツシードエクストラクト)」は、グレープフルーツの種から抽出した天然の防腐剤です。

雑菌の繁殖を防ぎ、水分の腐敗を防止することで、品質の安定につながります。

作り方

手作りフェイスクリームの作り方を教えていただけますか?

最初に、手を清潔にして、使う容器を熱湯やアルコールで消毒するようにしましょう。

まずは、ビーカーに、「水分系の材料」のハーブウォーターとGSE(グレープフルーツエクストラクト)防腐剤を入れます。

そして、大きめのビーカーに、「油分系の材料」のキャリアオイルと乳化剤を入れて混ぜます。

ふたつのビーカーを湯煎します。

湯煎とは

湯煎とは、下の写真のように、火に直接かけるのではなく、お湯の中に容器を入れて間接的に温める方法をいいます。

湯煎とは

乳化剤は、60~70度で溶けます。

乳化剤が溶けたら、ビーカーを両方ともお湯から出して、オイルの方に水分を入れていきます。

水分は、一気に入れるのではなく2~3回に分け、クリーマーで少しずつ混ぜながら入れていきます。

少しずつ混ぜることが、乳化させるために大切です。

クリーマーは、泡立て器のことですよね。

はい、そうです。

100円均一にも、電動のクリーマーがあると思います。

クリーマーには、「泡立て器タイプ」や「カプチーノタイプ」などがあります。

ここで、空気を含ませるようにして混ぜると、ふわふわのクリームになります。

最後に、精油を加えて混ぜて、清潔なヘラですくって、容器に入れれば出来上がりです。

もし、混ぜているときに水分と油分が分離しそうになったら、少量の水分を加えると、収まりやすいと思います。

フェイスクリームの作り方まとめ

1. ビーカーに、ハーブウォーターとGSE防腐剤を入れる。 (※水分ベース)

2. 大きめのビーカーに、キャリアオイルと乳化剤を入れて混ぜる。 (※オイルベース)

3. 両方を湯煎する。

4. 乳化剤が溶けたら、両方を湯煎から出す。

5. オイルの方(2.のオイルベース)に、水分(1.の水分ベース)を、2~3回に分けて入れ、クリーマーで混ぜる。空気を含ませるようにして混ぜると、ふわふわのクリームになる。

6. クリームに精油を加えて混ぜる

7. 清潔なヘラですくって、容器に入れる。

使い方

手作りしたフェイスクリームを使うときのポイントはありますか?

素手でクリームを取ると、雑菌が繁殖する原因になります。

そのため、スパチュラですくってから、手に取ることをおすすめします。

スパチュラがないときは、スーパーでもらえるプラスチックのスプーンをお使いになるのも良いと思います。

そのときは、一回使うごとに洗って、清潔な状態を保つようにしましょう。

スパチュラの代わりに…

スーパーでアイスクリームを買うと、プラスチックのスプーンが付いてくると思います。それを、スパチュラ代わりにすることもできるそうです。

手作りしたクリームは、ハンドクリームや、ボディクリーム、ヘアクリーム、日焼け止めなどに応用することも可能です。

また、材料の水分の量を増やすと、乳液になってなめらかに仕上がります。

まとめ

今回の取材で、ネロリウォーターをベースにした手作りフェイスクリームを手に取らせていただきました。

ネロリのさっぱりとした香りが心地良く、暑いシーズンに気持ちが良さそうです。

大野 先生もおっしゃっていましたが、手作り化粧品は、シーズンや好みで香りを変えることもできますし、効能で材料を選ぶこともできます。

それが、手作り化粧品の魅力ですよね。

手作り化粧品は、作って使って楽しいものなので、今回のフェイスクリームもお試しいただきたい内容です。

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