「キレイの先生」編集部です。
今回は、取材前からワクワクしていました。
テーマは、「ローズウォーター(バラ水)」です。
私も大好きなものです(宣伝になってしまい申し訳ないのですが、本当にローズウォーターが好きで、当社では、水を一滴も加えずに、ローズウォーターに置き換えたオールインワン化粧品を出しています)。
ローズウォーターは、人工的なバラの甘い香りというよりも、生の植物のバラの香りがします。この香りがまた良いのです。
このままでは、いつまでも前書きが続いてしまいそうなので、取材させていただいた先生をご紹介します。
アロマテラピースクール&サロン irodori の山野 笑子 先生です。
山野 先生の記事は、前後編に分けて、この前編ではローズウォーターの効果・効能を中心にまとめます。
ローズウォーターとは、何なのでしょうか?
どんな効果・効能が期待できるのでしょうか?
山野 先生の後編の記事はこちら
目次
ローズウォーター(ローズ水)とは
・ローズウォーターの作り方
・ダマスクローズ
ローズウォーター(ローズ水)の効果・効能
・美容面での効果
・心への効果
本日のキレイの先生
アロマテラピースクール&サロン irodori
山野 笑子 先生
「キレイの先生」編集部
ローズウォーター(ローズ水)とは
山野 先生、よろしくお願いします。
今回のテーマは、「ローズウォーター」です。
ローズウォーターの作り方
ローズウォーターは、私も大好きなのですが、まずは、ローズウォーターがどんなものか教えていただけますか?
ローズウォーターは、「ロサ・ダマスケナ(Rosa damascena)」を「水蒸気蒸留法(すいじょうきじょうりゅうほう)」したときに得られる、ローズの芳香成分を含む水のことをいいます。
いくつか気になるキーワードが出てきました。
まずは、「水蒸気蒸留法」についてお聞きしたいと思います。
水蒸気蒸留法とは、何なのでしょうか?
アロマテラピーでは、精油を使います。
その精油を植物から抽出する方法のひとつで、もっとも歴史が古くて、ポピュラーなものです。
ローズを水蒸気蒸留法すると、ローズの精油とローズウォーターの両方が得られます。
水蒸気蒸留法は、具体的には、どんなことを行うのでしょうか?
言葉で説明するのは、なかなか難しいですで…。図があると良いのですが(笑)。
すいません(笑)。
まずは、ハーブを蒸留釜に入れて、蒸気を当てます。
すると、植物に含まれる香りの成分が揮発(きはつ)します。
それを冷却して液体に戻すと、油分と水分に分かれます。
油分には油溶性(油に溶ける)の成分が、水分には水溶性(水に溶ける)の成分が溶け込んでいます。
油分が「精油」に、水分が「ハーブウォーター」になります。
ハーブウォーターは、水に精油を溶かしたりハーブを浸したりしたものではなく、水蒸気蒸留法でしか抽出できないものです。
水蒸気蒸留法とは
水蒸気蒸留法の流れをまとめてみたいと思います。
1. ハーブを専用の釜に入れて蒸気を当てる
2. ハーブの芳香成分が蒸気に含まれる
3 それを冷却して液体に戻す
4. 油分と水分に分かれて、油分が「精油」に、水分が「ハーブウォーター」になる
水と油は、混ざり合いません。そして、油は水よりも軽いためです。
そのため、(水蒸気蒸留した)蒸気を液体に戻すと、上が油分、下が水分に分かれます。アスキーアートで表すと、下のようなイメージです。
■■■ ← 油分
□□□ ← 水分
□□□
上の油分の部分が「精油」に、下の水分の部分が「ハーブウォーター」になります。
ローズウォーターは、ハーブウォーターのひとつということですね。
ちなみに、他にはどのようなハーブウォーターがあるのですか?
ラベンダーや、ローズマリー、ネロリ、ゼラニウム、カモミールローマ、カモミールジャーマン、ペパーミントなどがあります。
ハーブウォーターについて
山野 先生のおっしゃったように、ハーブウォーターは、ローズ以外にも、ラベンダーなどもあります。下の記事では、ローズウォーター以外のハーブウォーターを、いくつかご紹介しています。
ハーブウォーターには、色々な種類があるのですね。
ただ、私は「ハーブウォーターといえば、ローズウォーター」というようなイメージがあります。
そうですね。
「ハーブウォーターの歴史は、ローズウォーターの歴史」ということもできると思います。
え? どういうことでしょうか?
水蒸気蒸留法の歴史は古く、10世紀の頃、イブン・シーナというペルシャ人の医師によって開発・確立されました。
ただ、それ以前の古代の時代からも、植物を蒸留していたのではないかといわれています。
その医師の人が、水蒸気蒸留法を体系化したということですね。
それは、ローズウォーターを抽出するためだったそうです。
え? 精油を抽出するために生まれたのではないのですか!?
ローズの精油を抽出するには、たくさんの花びらが必要になります。
当時は、バラの生産が本格化されていなかったので、ローズウォーターを薬用に利用するため、水蒸気蒸留法が抽出するために開発されたといいます。
私は、水蒸気蒸留法が、精油を抽出するために生まれたと思っていました。
ただ、スタートは、ローズウォーターだったのですね。
先生が、「ハーブウォーターの歴史は、ローズウォーターの歴史」とおっしゃった意味が分かりました。
ダマスクローズ
先程、ローズウォーターには、「ロサ・ダマスケナ(Rosa damascena)」というバラを使うとおっしゃっていました。
それは、どのようなバラなのですか?
バラには、色々な種類がありますが、お花屋さんにある赤いバラを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?
そうですね。
「バラ」といわれて、パッと思い浮かぶのは、真っ赤なバラです。
お花屋さんのバラは、品種改良された、目で楽しむための「観賞用」のものです。
それに対して、ローズウォーターのバラは、「香料用」のものを使います。
これは、ピンク色をしたバラです。
香料用のバラが、「ロサ・ダマスケナ」という品種になるのですね。
はい、そうです。
ダマスクローズ
ロサ・ダマスケナは、「ダマスクローズ」とも呼ばれます。
ローズウォーターの産地は、どんな場所がありますか?
トルコやブルガリアがよく知られています。
先生のスクールでは、どこのローズウォーターをお使いになっているのですか?
私は、国産のローズウォーターを使用しています。
無農薬の農場で育てられたダマスクバラから抽出されたものです。
ちなみに、ローズウォーターは、自分でも作ることができるのでしょうか?
簡易的なハーブウォーターメーカー(蒸留装置)は、市販されているので、原料があれば作れないことはありません。
ただ、生のダマスクローズを手に入れるのは、少し難しいかもしれません。
ローズウォーター(ローズ水)の効果・効能
美容面での効果
この後のお話にも出てくると思うのですが、ローズウォーターは化粧水として使うことができると思います。
ローズウォーターは、どのような効果・効能が期待できるのでしょうか?
ハーブウォーターは精油と比べて研究が進んでいるわけではないので、経験や伝承的に伝わるものをお伝えします。
ローズウォーターは、数百年の使用の歴史があります。
化粧水として優れていて、どんな肌タイプの人も使うことができます。
特に、年齢を重ねた人や、乾燥肌の人に良いです。
どんな肌タイプでも使えるということは、敏感肌でも使えるのですね。
はい。
スクールの生徒さんで、敏感肌の人に案内したところ、「(ローズウォーターを使うようになって)お肌が落ち着いた」とおっしゃっていました。
また、ローズウォーターは、収れん作用があり、お肌をひきしめる効果も期待でき、たるみなどにも良いです。
抗炎症作用もあるため、日焼け後のケアにもお使いいただけます。
心への効果
ローズウォーターには、どのような成分が含まれているのですか?
代表的なのは、「フェニルエチルアルコール」という芳香成分です。
これは、ローズの精油ではなく、ローズウォーターの方に溶け込みます。
水溶性(水に溶ける)の成分ということですね。
ローズウォーターならではの成分といえそうです。
はい。
フェニルエチルアルコールは、ローズそのものの香りの成分です。
そのため、ローズの精油よりも、ローズウォーターの方が、「あ、バラの香りだな…」とお感じいただけると思います。
フェニルエチルアルコールは、ローズの芳香成分とのことですが、たしか、その香りにも、効果・効能があるのですよね。
はい、心にも作用があります。
気持ちのバランスを整えたり、不安を抑えたりするのに良いといわれています。
バラの香りは、女性ホルモンのバランスを整えるのにも良い、という話も聞いたことがあります。
自律神経が整うことによって、ホルモンバランスが整うことにもつながりますね。
自律神経とは
自律神経は、人の心と体をコントロールしている神経です。「交感神経(緊張の神経・昼に優位になる)」と「副交感神経(リラックスの神経・夜に優位になる)」が交互に入れ替わっていてバランスを取っています。そのバランスが崩れると、心身に大きな影響があります。
ローズウォーターの魅力がとてもよく分かるお話でした。
これから、ローズウォーターの使い方についてお話しいただこうと思っていますが、そちらもとても楽しみです。
まずは、ここまでありがとうございました。
ローズウォーターの効果・効能
最後に、ローズウォーターで期待できる効果・効能をまとめてみます。
■ 美容面
1. 化粧水として優れている
2. どんな肌タイプでも使える(特に、年齢肌や乾燥肌におすすめ)
3. 収れん作用でお肌を引き締める
4. 抗炎症作用で日焼け後のケアに使える
■ 心
5. 気持ちのバランスを整える
6. 不安を抑える
バラの良い香りがするだけではなく、美容効果が高いのも、嬉しいですね。
まとめ
「キレイの先生」編集部です。
「ハーブウォーターの歴史は、ローズウォーターの歴史」というお話には驚きました。
水蒸気蒸留法は、精油ではなく、ローズウォーター(ローズ水)を作るために開発されたといわれているのですね。
ローズウォーターは、自然なバラの香りが凝縮されているだけではなく、美容の効果も高いです。
山野 先生も、ローズウォーターを化粧水としてお使いになっているといいます。
その内容は、後編の記事でまとめますので、是非合わせてお読みください。
こちらも、とても面白い内容ですよ。
山野 先生の後編の記事はこちら