「キレイの先生」編集部です。
今回は、Body alignment lab. の松沼 愛 先生に取材させていただきました。
松沼 先生は、ピラティスのインストラクターなどをされていらっしゃいます。
ピラティスは産後の体型を戻すのにもおすすめで、先生のサロンにも、産後のママさんが多くいらっしゃるといいます。
そこで今回は、産後の体型を戻すのに、自宅でもできるピラティスのやり方を教えていただきました。
松沼 先生の記事は前後編に分けてお届けし、この前編では「骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)を鍛えるのにおすすめのピラティス」を取り上げます。
産後の体型を戻すのに、骨盤底筋群はポイントとなる筋肉だそうです。
ピラティスでは、どのように骨盤底筋群を鍛えることができるのでしょうか?
松沼 先生に教えていただきました。
目次
本日のキレイの先生
Body alignment lab.
松沼 愛 先生
「キレイの先生」編集部
産後のリハビリにピラティスはおすすめ?
松沼 先生、よろしくお願いします。
先生のピラティスのサロンでは、産後の方が多くいらっしゃるそうですね。
はい、お客様の80~90%はママさんで、産後1ヶ月の方もいらっしゃれば、高校生・大学生・成人されたお子様をお持ちの方もいらっしゃいます。
産後の体型を戻すには、ピラティスもおすすめなのですよね?
はい、おすすめですよ。
ピラティスは、何なのでしょうか? 何となくイメージは付くのですが…。
エクササイズなのですか?
ピラティスは、元々ドイツで、負傷した兵士の体力を最短で取り戻すためのリハビリのトレーニングから始まりました。
ピラティスは元々、トレーニングだったのですか!?
はい(笑)。
その後、時代が変わった後も、(ピラティスは)負傷したダンサーのリハビリなどで用いられ、現代に至ります。
ちなみに、ピラティスは、ヨガとはどんな違いがあるのでしょうか?
私は、(どちらも)似たようなイメージがあるのですが…。
大きくは、呼吸法が違っています。
ピラティスが「胸式(きょうしき)呼吸」で、ヨガが「腹式(ふくしき)呼吸」です。
ピラティスの呼吸法の記事
(ピラティスとヨガは)呼吸法が違うことによって、自律神経への働きも違います。
ピラティスの胸式呼吸は、交感神経が優位になって、リフレッシュ効果があり、爽快感が出ます。
それに対して、ヨガの腹式呼吸は、副交感神経が優位になって、リラックス効果があり、心を休めたいときにおすすめです。
(ピラティスとヨガでは)目的も効果も違うのですね。
自律神経について
自律神経は、心と身体をコントロールしている神経で、「交感神経(緊張の神経・昼に優位になる)」と「副交感神経(リラックスの神経・夜に優位になる)」が交互に入れ替わって、バランスを取っています。そのバランスが乱れると、心身に大きな影響がでます。
産後は骨盤底筋群が…
先生のサロンは、ママさんのお客様が多いとのことでしたが、産後、「妊娠前の身体に戻らない…」という方は多いですか?
とても多いです。
元々細かったのに、妊娠を機に20kg以上太ってしまったという方もいらっしゃいます。
子育てに追われて、自分に時間もお金もかけられないという方も多いです。
産後、妊娠前の身体に戻すのが大変なのは、どうしてなのでしょうか?
ひとつは、年と共に基礎代謝が落ちるためです。
昔は、「ちょっと動けば痩せていた」という方も、30代を超ええてくると基礎代謝が落ち、「燃えていた身体」が「燃えない身体」になって、何もしないままでは痩せづらくなっています。
また、子育てでは、猫背で子どもを世話することが多く、深層筋(奥深くになる筋肉)の使い方がワンパターンになってきて、身体が固まってくることによっても、代謝は落ちてきます。
たしかに、子どもの世話をするときは、背を曲げた姿勢でいることが多いですね。
(産後、妊娠前に戻すのが大変なのは)後は、「骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)」や「腹筋」などの骨盤周りの筋肉も関係しています。
骨盤底筋群、ですか…?
はい、骨盤底筋群は、骨盤の下をハンモック状に支えている筋肉群のことをいいます。
(骨盤底筋群は)子宮や臓器などを支える大切な役割をしています。
例えば、細身の方でも下っ腹がぽっこり出ている方がいらっしゃいますが、それは、骨盤底筋群のゆるみから来ていることが考えられます。
昔の人は、生活の中で、掃除で雑巾がけをしたり(部屋の)上の方をはたいたりして、骨盤周りを使い、自然と深層筋のトレーニングが出来ていました。
ただ、現代は、掃除をするにしても掃除機があります。
便利になった分、(日常生活で)深層筋を使うことも減り、(骨盤底筋群などの衰えから)それによる現代病も出てきています。
骨盤底筋群が衰えてくると、身体にはどんな影響があるのですか?
産後の尿もれや内臓下垂(ないぞうかすい)の原因になる他、子宮が(膣から)出てくる「子宮脱(しきゅうだつ)」といった症状にもなりかねません。
産後は、骨盤底筋群が衰えた状態なのですか?
というよりも、劣化したようなゴムのような状態です。
どういうことでしょうか?
妊娠中、骨盤底筋群は、大きくなった子宮を支えるため、グーッと伸びます。
骨盤底筋群は子宮を支える役割があるとのことでしたから、大きくなる胎児を、骨盤底筋群が伸びて支えるイメージですね。
はい、子宮一個分から胎児が成長する過程で、骨盤底筋群も(伸びて)大きくなります。
それが、出産すると、(骨盤底筋群が)それまで支えていたものが、急になくなってしまいます。
ただ、その後も、何もしていなければ、骨盤底筋群は伸びたままの状態です。
そのため、産後の骨盤底筋群は、「劣化したゴム」と例えられることがあります。
ゴムを伸ばしたまま放置しておくと、カピカピになります…。
はい、しなやかなゴムは柔軟性があって、キュッと締まります。
それに対して、劣化したゴムは、伸びや締まりが悪くなります。
そのため、産後は、骨盤底筋群を引き締めることも大切になります。
ちなみに、日本では、産後のリハビリはまだメジャーではなく、あまり浸透していません。
例えばアメリカなどでは、「(妊娠中に)衰えたものを回復させましょう」と産後リハビリに力を入れられているといいます。
ただ、日本では、まだその認識が深まっていないように思えます。
骨盤底筋を鍛えて引き締めるには?
産後、劣化したゴムのような状態の骨盤底筋群を引き締めるのに、自宅でもできるピラティスはありますか?
とても簡単で、あぐらをかいて呼吸するだけでも良いです。
え!? それだけで良いのですか?
はい(笑)
(やり方には)いくつかポイントがあって、あぐらをかいて、息を鼻から吸いながら、骨盤底筋を少しゆるめてあげます。
そして、息を口から吐きながら、骨盤底筋群をゆっくりとエレベーターで上がるように、おへそ側に引き上げていきます。
(骨盤底筋群を)おへその方に、ということは、前面の斜め上に引き上げるイメージですね。
はい、(骨盤底筋群を)真上ではなく、ちょっと前の方に引き上げるようなイメージです。
そして、また息を鼻から吸いながら、骨盤底筋群をゆるめます。
それを、何回か繰り返します。
(骨盤底筋群を鍛える方法として)少し難しいピラティスを想像していましたが、とても簡単ですね!
はい、これでしたら、テレビをみながらでも、椅子に座りながらでも、だれにでもできる産後のリハビリだと思います。
まとめ
産後の骨盤底筋群の状態を、「劣化したゴム」と考えると、イメージが付きやすいですね。
妊娠中、骨盤底筋群は大きくなった子宮を支えるために伸びて、出産後も、特に何もしていなければその状態が続いてしまいます。
産後のリハビリとして、骨盤底筋群を引き締めて、「しなやかなゴム」に戻してあげることも大切なのですね。
今回、松沼 先生に教えていただいた骨盤底筋群を引き締める方法は、ただあぐらをかいて呼吸するだけの簡単な方法です。
ちょっとした空き時間に、どこでも行うことができるので、おすすめですよ。
松沼 先生には、産後の腹筋を鍛えるピラティスの方法も教えていただきました。
それは、別の記事でまとめさせていただきます。
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