「キレイの先生」編集部です。
「ファスティング? 断食のことですね。ダイエットに効果的なんですよね」
そんな風に思っていました。Salon Theresia 桜宮 美奈 先生に話をお聞きするまでは。
話題のファスティング。皆さまも、ダイエットのイメージが強いのではないかと思います。
ファスティングには、たしかにダイエット効果もあります。ただ、それはファスティングの効果のごく一部でしかありません。
皆さま、どのくらいファスティングのことを正しくご理解されていますか? 「単純に食事を抜けばいいんでしょ」そう思われていませんか?
今回取材させていただいた桜宮 先生は、ファスティングマイスターの資格をお持ちで、ワークショップなどで講師をされています。
ファスティングとは何か、どんな効果があるのか、教えていただきました。
目次
ファスティングとは
・ファスティングと空腹
ファスティングの効果1 酵素
・酵素の働き
・ファスティングによる酵素のバランスの変化
・デットクス効果
・リセット効果
・体内の添加物のリセット効果も
ファスティングの効果2 成長ホルモンなど
・若返りホルモン「グレリン」
・長寿遺伝子「サーチュイン遺伝子」
ファスティングの基本的な方法
・1. 準備食
・2. 酵素ドリンク
・3. 回復食
・ファスティングの期間
一食置き換えのファスティングの方法
・お腹が空の時間を長く作る
・サーチュイン遺伝子の働き
ファスティングとは
ファスティングは、断食を英語にすると「fasting」といいますが、厳密な定義があるわけではありません。例えば、ダイエット食のようなものが、ファスティングと呼ばれることもあります。
断食は基本的に、お坊さんの修行で行われるものです。期間中は、食事は食べずに、水や塩だけを口にする(人参ジュースの場所もあるそうです)といったように、ストイックな内容が多いです。
ファスティングと呼ばれているものの中には、このような断食に近い方法もあるようです。
ただ、私の考えるファスティングとは、
・栄養は取るが
・固形物は食べない
方法です。
ファスティングと空腹
人は栄養が不足していると、空腹を感じます。
そのため、たくさんの量を食べていても、栄養のバランスが取れていないと、例えば「ビタミンが足りていないよ!」と身体がサインを出し、空腹感を抱きます。
ファスティング中は、固形物は取りません。ただ、栄養はきちんと摂ります。そのため、正しい方法でファスティングを行うと、期間中も特に、空腹感を抱かない人も少なくありません。
ファスティングの効果1 酵素
酵素の働き
ファスティングには、「酵素」という栄養素の働きが深く関係しています。
酵素は体内で作られていますが、その量には限界があります。私たちの身体は、それを「消化酵素」と「代謝酵素」に分けて使っています。
消化酵素とは、食べたものの消化の働きをする酵素です。体内に食べたものがあると、使われます。
そして代謝酵素が、代謝の働きをする酵素です。下記のように、人の身体をリセットする働きがあるお考えください。
・細胞の入れ替わり
・血液の入れ替わり
・新陳代謝
・脂肪燃焼
・解毒
など
ファスティングによる酵素のバランスの変化
体内に食べたものあると、それを分解して消化するために、消化酵素が使われます。酵素は量に限りがありますから、その分、代謝酵素に使える量は減ってしまいます。
ファスティングは、そのバランスを整えます。
ファスティングは固形物を食べません。栄養は摂るのは酵素ドリンクなどで、消化する必要はありません。消化酵素を使わずに済みます。
その分の酵素を代謝酵素に回せ、身体のリセットに向けることができるのです。
ダイエットで、一日一食をダイエット食にして、夜を酵素ドリンクにする、といった方法を行う方もいらっしゃいます。
摂取するカロリー量が減りますから、効果はあるでしょう。
ただ、ダイエット食とはいえ、お腹の中に食べたものがあり、それを消化しなければなりません。当然、消化酵素を使います。
そのため、消化しないことによるファスティングの効果は、それでは十分に得られないといえます。
デトックス効果
ファスティングによる効果は、大きく「デトックス」と「リセット」に分けられます。
デトックス効果では、下記のようなことが期待できます。
・有害物質を出す
・脂肪燃焼
・腸内環境のリセット
・内臓機能の回復
など
ファスティングがダイエットに効果的といわれるのは、代謝を上げることで、脂肪燃焼が促されるためです。
リセット効果
そして、リセット効果では、下記のようなことが期待できます。
・胃腸が休める(*1)
・五感の感度アップ(*2)
・免疫力アップ
・お肌がきれいになる
など
*1 お米と肉を一緒に食べると、それを消化するのに最大で24時間かかるといわれています。それだけ胃腸は休めるタイミングがなかなかありません。そのため、ファスティングで固形物をお腹に入れない時間を作ることで、胃腸を休ませてあげることも大切です。
*2 特に敏感になるのが、嗅覚と味覚です。お客様の方には、ファスティング後にコンビニ食を食べられなくなった、という方もいらっしゃいました。また、期間中は集中力が増して仕事がはかどる、といった感想もよくいただきます。
体内の添加物のリセット効果も
デトックス・リセット効果にもつながっているのですが、ファスティングは体内に蓄積された添加物をリセットする効果もあります。
代謝には、
・酵素
・ミネラル
・ビタミン
の3点セットが必要です。
下の画像のように、3つの椅子があり、「血を作るよ」と呼びかけたら、必要なこの3つの栄養素がやってきて、それぞれの場所に座るようなイメージしてください。
ところが、呼びかけたときに、添加物が先にその椅子に座ることがあります。すると、必要な栄養素がそろわずに、代謝がうまく働かなくなってしまいます。
そういったことが実は、身体のあちこちで起きているのです。
現在の食料品にはほとんど、添加物が入っています。また、日本は技術力が優れているためか、添加物も豊富で、4桁の種類があるとされています。ちなみに、海外では、その種類は多い国でも3桁です。日本には、どれだけたくさんの添加物があるか、お分かりになるのではないかと思います。
添加物は悪いだけのものではありません。食材の賞味期限が伸びたりするなど、私たちはその恩恵を受けています。
ただ、体内に蓄積した添加物をリセットしてあげることは大切です。代謝の向上にもつながります。
そして、ファスティングにはその効果もあります。
ファスティングの効果2 成長ホルモンなど
若返りホルモン「グレリン」
胃の中の消化が終わると、胃と腸が会話をします。腸が「食べ物を全部出した? もうない? こっちは受け付けられるよ」と話しかけている感じでしょうか? 空腹時にお腹が鳴るのは、そうやって胃と腸の会話の表れです。
そして、そのときに分泌されるホルモンがあります。それが、「グレリン」という成長ホルモンです。若返りホルモンとも呼ばれています。
ファスティングを行うことで、胃が空になりますから、グレリンが分泌されます。それが、アンチエイジングにもつながります。
長寿遺伝子「サーチュイン遺伝子」
ファスティングはその他にも、「サーチュイン遺伝子」という遺伝子の働きも期待できます。これは、長寿遺伝子とも呼ばれ、最後の消化を始めてから約12時間以降になると働き始めるといわれています。
サーチュイン遺伝子は、細胞をスキャンして、元気がなかったり傷ついたりしている細胞の修復作用があるとされ、これも身体のリセットに効果的です。
ファスティングの基本的な方法
1. 準備食
ファスティングはいきなり始めるのではなく、2~3日前から健康的な準備食にし、身体を落ち着かせてから行うのが基本です。
甘いものや糖分を摂って血糖値が上がると、攻撃的なホルモンが分泌されます。そして、その後に、落ち着かせるホルモンが分泌され、調子が乱高下しがちです。
それをファスティングに入る前に、準備食でおだやかな調子に落ち着かせます。
準備食としておすすめなのは、昔から言われている「孫は優しい(まごわやさしい)」食べ物です。皆さま、お聞きになったことはありますか?
これは、下記のように、頭文字を取った食べ物を表しています。
・ま → 豆類
・ご → ゴマ
・わ → ワカメなど海藻類
・ヤ → 野菜
・サ → さかな
・シ → しいたけなどキノコ類
・イ → いも類
最近では、これに「酢」を加え、「孫は優しいっす」と言うこともあるそうです。
準備食では、動物性たんぱく質を摂らず、油も控えめにして、これらの食材をメインにすると良いでしょう。
2. 酵素ドリンク
ファスティングの期間中は、固形物を食べずに、酵素ドリンクなどで栄養を摂ります。
このとき大切なのが、身体に必要な栄養をバランス良く摂ることです。栄養が不足していたり、バランスが崩れていたりすると、身体には本来の目的とは違った反応が表れてしまい危険です。
ファスティングで食事に置き換えるのは、酵素ドリンクが多いです。
私のワークショップの生徒さんたちには、ファスティング用に開発した専用の酵素ドリンクを飲んでもらうようにしています。
ただ、酵素ドリンクといっても、色々な種類があります。中には、水やジュースで薄めたものもあるようです。
もし、それに必要な栄養素が不足していれば、ファスティングに逆効果になってしまいます。この酵素ドリンク選びはとても大切です。
選ぶときには、エビデンスが発表されていたり、工場見学を開催していたり、農薬検査をしていたりするものが良いでしょう。メーカーにお電話して、ドリンクの内容をお聞きするのも良いと思います。信頼できる酵素ドリンクであれば、メーカーの方もしっかりとお答えいただけるはずです。
3. 回復食
先程ご紹介しましたが、ファスティングには腸内環境をリセットする働きもあります。
ファスティング後の腸内は、善玉菌と悪玉菌もリセットされ、赤ちゃんのようなデリケートな状態です。
そのため、急に通常の食事に戻したり、負担のかかる食べ物を食べたりするのではなく、まずは回復食から始めるようにしましょう。
ファスティングの期間
私がおすすめしているファスティングの期間は、3日間です。
それは、ファスティングを始めてから約48時間以降になると、血管が大掃除され、内臓脂肪の燃焼も始まるといわれているためです。
3日間のファスティングを行ったお客様の感想では、
・初日 けだるさを感じる
・2日目 好転反応を感じ始める
・3日目 身体がクリーンになる
といった声をいただくことが多いです*。
* 感じ方には個人差があり、中には準備食の段階から好転反応を感じる方もいらっしゃいます。
一食置き換えのファスティングの方法
ファスティングは、三食の内、一食だけを酵素ドリンクに置き換えて行うこともできます。
もし一食置き換えで行うときは、夕食は固形物を食べずに、酵素ドリンクに置き換えることがおすすめです。その理由は、2つあります。
お腹が空の時間を長く作る
ファスティングは消化酵素を使わないようする健康美容法です。夕食を抜くことで、お腹に食べ物が入っていない状態をもっとも長く作ることができます。
また本来、夜は身体の修復の時間です。しかし、そのときに食べたものがお腹の中に残っていては、酵素を消化に使わなければならず、しっかりと代謝に向けられません。
その点でも、夕食に固形物を食べないのは効果的ですね。
サーチュイン遺伝子の働き
そして、2つ目の理由が、先程ご紹介した「サーチュイン遺伝子」の働きです。
長寿遺伝子と呼ばれるそれは、最後の消化を始めてから約12時間以降になると、働き始めるといわれています。
昼食を食べ終わるのは遅くても、14:00頃だと思います。
夕食を酵素ドリンクに置き換えたとして、サーチュイン遺伝子が働き始めるのは、それから約12時間後以降ですから、翌02:00頃になりますね。
仮に、翌朝の朝食を8:00頃に食べるとすると、約6時間はサーチュイン遺伝子が働けることになります。
もちろん、一食置き換えするなら夕食でなければならない、ということはありません。朝昼食でも大丈夫です。
ただ、一食置き換えのファスティングは、3日間のそれと比べるとやはり、得られる効果には限界があります。効果を実感いただくには、一ヶ月や二ヶ月、ある程度の期間を続けていただく必要があります。
まとめ
「キレイの先生」編集部です。
私も桜宮 先生の話をお聞きするまで、ファスティングというと、ダイエットのイメージでした。
でもそれも、身体がリセットされるという、ファスティング効果の一部でしかないんですね。むしろ、それ以外の効果の方が、本来の目的なのかもしれません。美容法としても魅力的ですね。
ただ、期間中も栄養をしっかり摂らなければ、逆効果になる危険性もあるとのこと。そのあたりが、お坊さんの行うストイックな断食との違いでしょうか。正しい方法でファスティングを行うことの大切さが、よく分かりました。
効果あるファスティングを行うには、まず正しい方法をきちんと知ることです。
桜宮 先生はファスティングマイスターの資格をお持ちで、ワークショップも開催されていらっしゃいます。今回ご紹介いただいた内容以外にも、細かいところまでご指導されています。
ファスティングにご興味がある方は、まずは話をお聞きになってみてはいかがでしょうか?
(取材:「キレイの先生」編集部 文:Salon Theresia 桜宮 美奈 先生、「キレイの先生」編集部)
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