前回の記事では、鍼が肌トラブルのケアにもなること、ご紹介させていただきました(詳細は「美容鍼とは? 肌トラブルのケアに「鍼」という選択肢もある」をご覧ください)。鍼は明治時代までは医療として行われていたくらいですので、お肌だけではなく、健康にも良い技術です。今回は、鍼が、お顔だけではなく、身体にどんな作用があるのか、美容に関わる内容を中心にみていきたいと思います。
鍼を刺すことによる作用
前回の記事でも見直しましたが、今回も、鍼の作用を復習することから始めます。
鍼の作用はいくつかありますが、下記の二つが代表的なものです。
A) ツボへの刺激
東洋医学では、体内の臓器につながっている「ツボ」があると考えられています。そのツボを鍼で刺すことによって、臓器の働きを活性化させます。
B) 免疫反応
体内に異物が入ると、身体を守ろうとします。血液には免疫機能が含まれているため、鍼の刺さっている場所に血液を流そうとして、血流が良くなります。
前回ご紹介した美容鍼は、B) の「免疫反応」をいかしたものが中心でしたが、今回は、A) の「ツボへの刺激」をいかしたものが中心となります。
「むくみ」のケア
これは、お顔のむくみのケアと同じです。鍼を打つことで、お顔と同様に、身体の「むくみ」のケアも行えます。
むくみは老廃物が体内にたまっている状態です。
鍼を打つと、B) の「免疫反応」によって、血流が良くなります。すると、老廃物も排出されやすくなるため、むくみの改善につながります。
腎臓を活性化させて老廃物の処理を促す
「ラ・ヴィクトワール」では、むくみをケアするときは、むくみが気に部分に多めの鍼を打ち、その上で「腎臓」のツボにも鍼を打つようにします。
腎臓は、体内でたまっていた老廃物が流れたときの出口です。
A) の「ツボへの刺激」で腎臓を活性化させることで、老廃物の処理がしっかり働くように促します。
そうすることで、むくみをしっかりとケアすることができます。
ホルモンバランスの乱れによる女性特有のお悩みに
ホルモンバランスが乱れてしまうと、女性ならではのお悩みの原因になります。例えば、生理不順や更年期といったお悩みです。また、産後の抜け毛なども、ホルモンバランスの乱れが原因の場合もあります。
鍼で、直接的にホルモンバランスを整えることはできません。
ただ、ホルモンの分泌は脳から指令を受けています。ホルモンバランスが乱れているということは、例えば強い緊張を感じたり、苛立ったりして(自律神経が乱れて)、脳が適切なホルモン分泌の指示を出せていない状態と考えられます。
自律神経のツボを刺激してリラックス
東洋医学では、自律神経とつながっているとされるツボがあります。そのツボに鍼を打って、心をリラックスさせるように促します。
そうすることで、間接的にホルモンバランスを整えるように働きかけるのです。
これもA) の「ツボへの刺激」をいかした技術ですね。
このように鍼は、身体だけではなく、「心」のケアにも利用することができるので、うつ病の方が施術をお受けになられることもあります。
不妊・便秘・ダイエットにも
その他にも、下記のようなお悩みをお持ちの方にも、鍼はお勧めです。
不妊
不妊の原因はいくつかありますが、そのひとつは、子宮が冷えて、固くなっていることが挙げられます。
鍼を打つと、B) の「免疫反応」で、血流が良くなり、身体も温かくなります。
不妊のお悩みには、鍼を打って血流を良くすることで、子宮を温めるように促すことで、ケアを行うことができます。
便秘・ダイエット
便秘は腸の働きが弱まっている状態です。
そこで、胃腸のツボに鍼を打つことで、胃腸を活性化させ、便秘の改善にも期待できます。
また、胃腸のツボを刺激することで、食欲を下げるように促す技術もあり、鍼でダイエットのサポートもできます。
鍼はプロにお願いする
鍼は、健康だけではなく、美容にも作用が期待できる技術です。
初心者でも鍼ができるような商品も、市販されています。ただ、テープに金属の小さな粒のついたような商品をイメージしてほしいのですが、金属の粒でお肌の上から刺激するタイプとなります。鍼を体内に刺すものではありません。
それは、鍼を打つためには、厚生労働省認定の国家資格が必要なためです。
市販されている商品でも、A) の「ツボへの刺激」はできますが、B) の異物(鍼)を体内に入れることによる「免疫反応」は、難しいといえるでしょう。
せっかく鍼を行うのであれば、鍼灸師にお悩みを相談し、体質に合わせた治療を行うのがベストです。お悩みに合った施術を行うことで、身体の変化が実感いただけるはずです。
そのため、鍼で身体のケアを行いたいときは、プロにお任せいただきたいと思います。「ヴィクトワール」でも大歓迎です。
(取材:「キレイの先生」編集部、文:美容鍼灸サロン ヴィクトワール 小林 まき 先生、「キレイの先生」編集部)