美容のスペシャリストが教えるキレイ

体に「鍼」を刺すのは痛そうだけど、どうして健康に良いの?

本日のキレイの先生

小林 まき 先生

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「ヴィクトワール」は、美容鍼を行っている女性専用のサロンです。美容鍼と聞いてもピンと来ない方もいらっしゃると思いますが、「鍼灸(鍼・お灸)」という技術の中のひとつに、美容鍼があるとお考えください。今回は、そもそも「鍼」とは何か、ということから簡単にご紹介したいと思います。

「鍼」は千年以上にわたる医療法だった

テレビや雑誌でご覧になったことがあると思いますが、「鍼」は、その名の通り、鍼(はり)を身体に刺し、健康に導く技術です。

古代中国で、東洋医学を元にした治療法として生まれました。

日本には、5~6世紀に中国から入ってきて、それから明治時代に近代医学が普及するまで、千年以上に渡って日本の医療の中心でもありました。

今でこそ、鍼は、健康法として知られていますが、もともとは医療法のひとつだったのです。

病院に行くほどではない、職業病、女性特有の症状とあきらめていた身体の不調(例えば、冷え性、肩こり、眼精疲労、生理痛)などが気になる方には、鍼はとてもお勧めです。

実際に、市川海老蔵さんや、道端アンジェリカさん、藤原紀香さんAKBやEXILEのメンバーなど、多くの芸能人が病気や不調を防ぐため、美をキープするため、頻繁に鍼灸治療を受けていることが知られています。

そして、「美容鍼」という、女性の美に特化した施術が広まったのは、ここ十数年の間です。鍼の長い歴史を考えると、つい最近確立されたといっても良いのかもしれません。

鍼を打つことによる身体への作用

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では、鍼を刺すと、身体がどんな反応を起こすのか、みていきましょう。

鍼による身体への作用は、いくつか挙げられます。今回はその中でも、大きなふたつの作用をご紹介します。

それが、「ツボへの刺激」と「免疫反応」です。

「ツボ」を刺激して臓器を活性化

東洋医学では、体内の臓器につながっている「ツボ」があると考えられています。例えば、大腸のツボは、手の指先にあるとされています。

そして、そのツボの点と点を結んで流れている脈(線)を「経絡」といい、人間の身体には、経絡が12本流れているといわれています。

ツボと経絡の関係は、路線図を想像いただくと、分かりやすいかもしれません。駅が「ツボ」で、駅と駅を結んでいる路線図が「経絡」、といったイメージです。

鍼は、ツボを刺して、そこにつながる臓器に刺激を与えることで活性化させることを、目的としています。例えば、大腸が不調なら大腸のツボに、腎臓が不調なら腎臓のツボに鍼を打ち、不調の改善に促します。

「免疫反応」によって血流改善

また、鍼を刺すということは、体内に金属の異物が入っている状態です(実際には、鍼は髪の毛より細く、体感では、ほとんど痛みや違和感、異物感もありません。また、完全に使い捨てなので、衛生面でも問題はありません)。

すると、人間の身体は、自分の身体を守ろうとします。

例えば、白血球は身体を守る働きがありますが、血液の中に含まれています。血液の中には、免疫機能を含んでいるとお考えください。

異物が体内に入る(鍼を刺す)ことで、身体はその部分に血液をより流そうとするのです。

つまり、鍼を刺すことによって、その部分の免疫力向上が期待できます。そして、血流の改善にもつながります。

例えば、肩こりの方には、肩に鍼を刺していきます。肩こりは、肩の筋肉がカチコチに固くなっている状態です。血流が良くないと、筋肉も固くなりますから、肩こりは、肩の血流が悪いと言えます。

そこで、肩に鍼を打つことで、その部分の血流を良くして、筋肉がほぐれるように促します。

このように、鍼では、あえて異物を体内に入れることによる「免疫反応」で、人間が本来持つ力を引き出しているのです。

まとめ

鍼灸は、薬などと違い、傷が消えたり、外科的に病気を取り除いたりするものではありません。

人間の持っている力を最大限に引き出すことを目的としています。

身体の根本から改善していって、身体を少しずつ良くしていくものとお考えください。

鍼を続けていくと、身体の確かな変化をご実感いただけると思います。

(取材:「キレイの先生」編集部 文:美容鍼灸サロン ヴィクトワール 小林 まき 先生、「キレイの先生」編集部)