「キレイの先生」編集部です。
今回のテーマは、「顔のツボ」です。
ツボは一般的に、中国発祥の「東洋医学」から来ている考え方です。
ただ、インド発祥の伝統医学「アーユルヴェーダ」にも、「マルマ」というツボの考え方があります。
今回は、そのマルマをベースにして、話をお聞きします。
取材させていただいたのは、Relaxation Salon & School yam の諏訪 みなこ 先生です。
yam さんには、マルマに働きかけていくトリートメント(施術・マッサージ)があります。
アーユルヴェーダのツボ「マルマ」とは、何なのでしょうか?
どうして、そこを押すことで効果を得られるのでしょうか?
そして、顔にはどんなマルマ(ツボ)があるのでしょうか?
諏訪 先生に教えていただきました。
目次
顔のツボ
・顔のツボの場所
・ツボの押し方
本日のキレイの先生
Relaxation Salon & School yam
諏訪 みなこ 先生
「キレイの先生」編集部
マルマとは
諏訪 先生、よろしくお願いします。
「顔のツボ」をテーマに、話をお聞きしたいのですが、今回は、「アーユルヴェーダ」のマルマという考え方が元になるとのことです。
まずは、アーユルヴェーダについて教えてください。
アーユルヴェーダは、簡単にいうと、インドの伝統医療です。
身体と心をトータルケアします。
食べ物や生活スタイルなど、その人にとって何が合っているのか、ひとりの人間を深くみていきます。
アーユルは「生命」、ヴェーダは「科学・知恵」といった意味があり、アーユルヴェーダは、「生命科学」や「生命の知恵」ということもできます。
「生命の知恵」というと、イメージがわきやすいです。
「人が生まれてから死ぬまでをトータルでみましょう」ということですね。
「マルマ」は、アーユルヴェーダの考え方にあるものです。
マルマとは、何なのでしょうか?
マルマは、肉体と精神が交差するポイントです。
見えるものと、見えないものが交じり合う場所ともいえます。
ヨガをしている方はよく使う言葉だと思うのですが、インドでは、人の身体には、「ナーディ」というエネルギーラインが72,000本あるといわれています。
そこには、「プラーナ」が流れていいます。
これは「気」のことをいい、大きなくくりでいうと、血管やリンパなども入ります。
つまり、ナーディは、循環しているエネルギーラインといえます。
そして、ナーディを「線路」に例えると、マルマが「駅」です。
例えば、新宿駅は、JR・地下鉄・小田急線・京王線などが通っていて、乗り換えすることができます。
人の身体でも同じように、エネルギーはマルマを介して流れていきます。
マルマは、「急所」といえるような場所で、そこを押して、身体の循環を良くすることで、健康や美容などにも効果が期待できます。
先生の話をお聞きしていると、マルマは「ツボ」と近い印象があります。
ツボも、経絡(けいらく)上にあるポイントです。
編集部のコメント
ツボは、中国の「東洋医学」の考え方から来ています。
人の身体には、「気(き)」・「血(けつ)」・「水(すい)」の要素が流れていて、その通り道が「経絡」です。
そして、経絡が表面に出ているポイントが「ツボ」で、このふたつも、線路と駅に例えることができます。
・経絡:線路
・ツボ:駅
ツボについては、「手の甲に美肌のツボが?肌荒れにいい「合谷」の場所と押し方」などでも取り上げています。
マルマは、ツボとは違うのですか?
たしかに、マルマはツボと概念が近く、重なっている場所も少なくありません。
ただ、まったく同じではありません。
アーユルヴェーダは、インドから中国に渡り、東洋医学にも影響しているという説もあります。
そういったことも、関係しているのかもしれません。
マルマは、どのように活かされているのでしょうか?
ツボ押しのようなイメージですか?
日本では、セラピーとして、オイルを使ったマッサージが多いです。
サロンでは、マルマのある場所を、7つの強さの段階に分けて、優しくマッサージをしています。
インドでは、武術や、怪我の治療などでも用いられているようです。
顔のツボ
取材前にお電話でお話しさせていただいとき、「顔にもマルマがある」とおっしゃっていました。
アーユルヴェーダには、「5大元素」という考え方があります。
宇宙や地球が「大宇宙」で、地球や人間は「小宇宙」と考えられます。
そして、顔も「小宇宙」と考えることができます。
例えば、足裏には全身につながるツボがあり、一部にすべてが詰まっています。
顔にも同じように、全身につながるマルマがあり、すべてにアプローチすることができるのです。
「リフレクソロジー」のようなものですね。
はい、考え方は近いです。
編集部のコメント
リフレクソロジーは、全身の部位や臓器とつながる「反射区」が、足裏にあるという考え方です。
この画像をご覧いただくとお分かりになりますが、足裏を刺激するだけで、全身をケアすることができます。
一部分ですべてにアプローチできるということです。
アーユルヴェーダでは、これと同じように、顔に、全身につながるマルマ(ツボ)があると考えられています。
リフレクソロジーについては、「ぽっこりお腹を引き締めたい!足裏リフレクソロジーのやり方」などでも取り上げています。
顔のツボの場所
顔には、どんなマルマがあるのですか?
もっとも代表的なのは、頭のてっぺんにある「アディパティ」です。
これは、ツボの「百会(ひゃくえ)」と同じ場所です。
アディパティは、すべてのマルマを統率する「マルマの王様」とも呼ばれたりします。
マルマのマッサージを行うときは、ここをいちばん最初に触って、全身のマルマを目覚めさせて循環を良くします。
それによって、その後のマッサージの効果も高まります。
眉の真ん中あたりにあるのが、「アヴァルタ」です・
脳と視覚をはっきりさせるのに良いです。
こめかみには、「シャンカ」というマルマがあります。
ストレスを鎮静させる作用があるため、深い睡眠をとるのに良いです。
小鼻の横あたりには、「パナ」というマルマがあり、鼻詰まりや、呼吸法を整えるのに良いです。
アーユルヴェーダは、ヨガと密接な関係があるのですが、呼吸法をとても大切にしていて、鼻呼吸が基本です。
それによって、身体も活性化します。
編集部のコメント
鼻呼吸は、鼻で息を吸って、口で息を吐く呼吸法です。
ヨガは、鼻呼吸をしながら行います。
鼻呼吸については、「ヨガの自律神経を整える呼吸法!椅子に座り簡単ヨガの紹介付」などでも取り上げています。
口元にあるマルマが、「シュリンガタカ」です。
アーユルヴェーダには、エネルギーのひとつに「オージャス」というものがあります。
漢字では「活力素」と表れ、活力の素(もと)になるエネルギーです。
シュリンガタカをマッサージすることで、オージャスが、エネルギーラインの「プラーナ」と心に栄養を与えることができます。
ツボの押し方
ツボは、指圧して刺激を与えます。
マルマも同じように指圧するのでしょうか?
マルマは、ツボよりも範囲が広いです。
そのため、ピンポイントに押すというよりも、マルマのあるあたりを触るだけでも大丈夫です。
指2本くらいを使って、クルクルと円を描くようにして温めてあげ、マッサージで緊張をほぐすイメージです。
強さは、弱すぎず強すぎず、くらいです。
時間は5分くらい行うのが理想ですが、それよりも短くても大丈夫です。
ツボの場合は、ピンポイントで指圧する必要がありますが、マルマは、「そのあたり」をマッサージするだけで良いのですね。
これなら、初心者でも簡単そうです。
マッサージは、何かを付けて行った方が良いですか?
ごま油*を温めてお使いになるのが、おすすめです。
顔にごま油を使って刺激になる方は、ホホバオイル・ココナッツオイル・スイートアーモンドオイルなどでも良いでしょう。
* ごま油(セサミオイル)は、アーユルヴェーダの代表的なオイルです。セサミオイルについては、「セサミオイルの効果とは?スキンケアやうがいなどでの使い方」などでも取り上げています。
まとめ
中医学の「ツボ」は、場所がピンポイントになるため、指圧で刺激します。
それに対して、アーユルヴェーダの「マルマ」は、ツボよりも範囲が広いため、クルクルとマッサージするような形で大丈夫です。
初心者には、マルマの方が優しいかもしれませんね。
記事の中でもご紹介しましたが、リフレクソロジーは、足裏に全身の反射区があります。
それと同じように、アーユルヴェーダでは、顔に、全身につながるマルマがあるといいます。
フェイスマッサージをするだけでも、マルマを刺激でき、全身のケアにもなりそうです。
諏訪 先生には、顔にある代表的なツボ(マルマ)をいくつか教えていただきました。
後編の記事では、自律神経や胃腸に良いツボの場所を取り上げますので、合わせてご覧ください。
諏訪 先生の後編の記事