「キレイの先生」編集部です。
ビューティー&ヒーリングサロン アンリュミエール の保戸塚 優美 先生の「フェイスラインのたるみ」についての取材の後編です。
前編では、咀嚼するときに使う咀嚼筋の「咬筋(こうきん)」をほぐす方法をご紹介しました*。こちらは、エラ張りや咬筋肥大症(片側だけエラが張るような状態)に良い方法です。
この後編は、「リンパ」を中心にまとめたいと思います。リンパが滞ると、二重顎の原因にもなるといいます。
ただ、フェイスラインのたるみを引き締めるには、「筋肉にだけ」「リンパにだけ」アプローチするのでは不十分といえます。総合的に対応することが大切です。
保戸塚 先生には、顔の筋肉をほぐして、リンパを流すフェイスマッサージを教えていただいたので、そちらもご紹介させていただきます。
* 保戸塚 先生の記事の前編は、「エラ張り解消!ニーディングマッサージ2段階で咬筋をほぐす」からご覧いただけます。
目次
顔のリンパが滞る原因
・顔の筋肉のコリ
・姿勢
フェイスラインを引き締める方法
・手順1 鎖骨のリンパ節を流す
・手順2 耳の下のリンパ節を流す
・手順3 フェイスラインのリンパを流す
・手順4 顔の筋肉のコリをほぐす
・手順5 顔のリンパを流す
・手順6 耳の下のリンパ節を流す
・手順7 鎖骨のリンパ節を流す
リンパについて
リンパは、老廃物を流す「身体の下水道」といえます。
そしてリンパには、リンパの集まる「リンパ節」があります。
例えば、顎下には「顎下(がっか)リンパ節」があり、そこの流れが悪くなると、老廃物がたまって二重顎などの原因になって、フェイスラインのたるみにつながります。
編集部のコメント
リンパは、美容には欠かせないキーワードなのではないでしょうか。ご存知の方も多いとは思いますが、簡単に補足させていただきます。
リンパは、血管と同じように、全身に張り巡らされています。血液が酸素や栄養を全身に運ぶのに対して、リンパは体内の老廃物を回収する役割があります。
そのためリンパが滞ると、老廃物がたまってしまい、むくみやくすなります。
例えば、太もものむくみなども、リンパの滞りで老廃物がたまっているのが、ひとつの原因といえます。
そして、リンパには「リンパ節」という器官があります。これは、リンパがいったん集約される場所で、老廃物を濾過するフィルターの役割をしています。
その関係性は、リンパを「高速道路」、リンパ節を「料金所」に例えると分かりやすいかもしれません。
高速道路は、料金所が出口です。そこが混雑すると、高速道路も渋滞してしまいます。
リンパにも、同じことがいえます。リンパ節(リンパの出口)が滞ると、リンパの流れ自体も悪くなってしまうのです。
そのため、リンパの流れを良くするには、まずはリンパ節を流すことが大切です。
顔のリンパが滞る原因
顔の筋肉のコリ
リンパは、筋肉が凝り固まると、流れが悪くなります。
そのため、顔の筋肉が凝り固まると、リンパの流れも悪くなって、老廃物がたまってフェイスラインのたるみにもつながります。
編集部のコメント
筋肉のコリが、リンパの流れにも影響する理由を、簡単に補足させていただきます。
リンパ(や血液)は、筋肉の合間を通っています。そのため、筋肉が凝り固まると、リンパを圧迫してしまい、流れが悪くなる原因になります。
顔の筋肉では、咀嚼筋の「咬筋(こうきん)」などが凝り固まりやすいといえます(そのことは、保戸塚 先生の前編の記事でまとめています)。
咬筋は、顎を動かす筋肉で、頬からフェイスラインあたりに位置しています。
食いしばりや歯ぎしりの癖で、凝り固まりやすいです。
それによって、直接的にはエラ張りなどにつながる他、顔のリンパが滞る原因にもなります。
* 保戸塚 先生の記事の前編は、「エラ張り解消!ニーディングマッサージ2段階で咬筋をほぐす」からご覧いただけます。
姿勢
姿勢の悪さも、顔のリンパの流れが悪くなる原因になります。
鎖骨にもリンパ節があり、スマホなどで肩が内に入った(内巻きの)姿勢では、そこが引き締められるようになって、リンパの流れが悪くなります。
それによって、顔のリンパの流れまで悪くなってしまいます。
編集部のコメント
先程お話したように、リンパ節は「リンパの出口」といえます。そして、高速道路の料金所のように、全身にいくつもあります。
そして、その最後の出口が、鎖骨のリンパになります。高速道路でいうと、最終出口の料金所というのでしょうか。
つまり、鎖骨のリンパ節は、全身のリンパのゴールです。
顔のリンパも、耳の下のリンパ(耳下腺リンパ節*)を通り、鎖骨のリンパ節へと流れていきます。
そのため、鎖骨のリンパ節が滞ると、全身のリンパの流れにも影響があります。顔のリンパの流れも滞り、フェイスラインのたるみにもつながります。
鎖骨のリンパ節については、「鎖骨のリンパの流し方!毎日5分マッサージでキレイになろう」でも取り上げています。合わせてご覧になってみてください。
* 耳下腺(じかせん)リンパ節については、「むくみに効く顔のリンパマッサージのやり方|耳の下のリンパ【まとめ】」でもご紹介しています。合わせてご覧になってみてください。
フェイスラインを引き締める方法
リンパは、筋肉と比べると、浅いところを流れています。そのため、リンパを流すには、さするくらいの力で大丈夫です。
ただ、リンパマッサージだけでは、(深いところの)筋肉をほぐすことはできません。
そこで、リンパを流しつつ筋肉をほぐして、フェイスラインを引き締めるマッサージの手順をご紹介します。
編集部のコメント
保戸塚 先生もおっしゃっていたことですが、フェイスラインのたるみを引き締めるには、リンパ「だけ」を流しても不十分といえます。
そもそも、筋肉のコリがリンパの滞りにつながりますから、筋肉をほぐさなければ、根本的な改善にはつながりません。
フェイスラインを引き締めるには、「リンパを流すこと」と「筋肉をほぐすこと」をセットでお考えになると良いかもしれません。
手順1 鎖骨のリンパ節を流す
まずは、鎖骨のリンパ節を流していきます。
鎖骨に手を置いて、ポンプを押し出すようなイメージで「ポンピング」します(優しく押したり、手を離したりします)。
これは、鎖骨のリンパを最初に開いてあげる「プレマッサージ」といえます。
手順2 耳の下のリンパ節を流す
顔のリンパは、耳下腺リンパ節から、首(胸鎖乳突筋・きょうさにゅうとつきん)を通って、鎖骨へと流れます。
そこ(耳の後ろから、鎖骨のくぼみまで)を、手の平でさするようにして流していきます。
これは、片方ずつ行っても大丈夫です。
編集部のコメント
まずは、リンパのゴール(鎖骨のリンパ節)から逆順に流していることが、お分かりになるでしょうか?
例えば、顔のリンパを流しても、ゴールが滞っていれば、リンパもまた滞ってしまいます(高速道路でいうと、料金所が詰まっている状態ですね)。
つまり、顔のリンパを流すのにも、まずはゴールから流すということです。
そのため、ここまでが「プレマッサージ」といえるのではないでしょうか。
手順3 フェイスラインのリンパを流す
フェイスラインのリンパは、手の平でさすって引き上げるようにして流します。
このさするようなマッサージを、「エフルラージュ(軽擦法・けいさつほう)」といいます。
手順4 顔の筋肉のコリをほぐす
そして、顔の筋肉の凝り固まった場所をほぐしていきます。
手をグーにして第2関節で、顔全体をニーディングします(こねるようにマッサージします)。
(顔全体を触って)筋肉が凝り固まっている場所があれば、そこを片手で持ち上げるようにして、もう片方の手でほぐしていきます。
筋肉はリンパよりも深い場所にあるため、リンパマッサージと比べると、圧を入れて筋肉をほぐしてあげましょう。
編集部のコメント
こちらのマッサージは、保戸塚 先生の前編の記事*でご紹介しました。
例えば、朝のスキンケアの前に、このニーディングマッサージだけを行うのも良いそうです。
* 保戸塚 先生の記事の前編は、「エラ張り解消!ニーディングマッサージ2段階で咬筋をほぐす」からご覧いただけます。
手順5 顔のリンパを流す
例えばバンテージは、きつめに巻いた後にゆるめると、リンパを流すことができます。
それと同じイメージで、「頬を両手で押さえ開く」ことを繰り返すのも、リンパを流す方法のひとつです。
手順6 耳の下のリンパ節を流す
顔のリンパを流し終えたら、耳の後ろから鎖骨のくぼみまでを、手の平でさすってもういちど流します。
手順7 鎖骨のリンパ節を流す
最後は、最初の手順に戻って、鎖骨をポンピングし、鎖骨のリンパ節を流して終わりです。
編集部のコメント
保戸塚 先生に教えていただいた方法では、最初と最後に、同じ場所(リンパ)の出口を流しています。
最初に出口を開いて、最後に出口へと流すのを促す、といったイメージですね。
下のような順番を押さえておくだけでも、フェイスラインを引き締めるのには良さそうです。
■ リンパの出口を流す
1. 鎖骨のリンパ節を流す
2. 耳の下のリンパ節を流す
■ 顔の筋肉をほぐしてリンパを流す
3. フェイスラインのリンパを流す
4. 顔の筋肉のコリをほぐす
5. 顔のリンパを流す
■ リンパの出口を流す
6. 耳の下のリンパ節を流す
7. 鎖骨のリンパ節を流す
まとめ
「キレイの先生」編集部です。
今回、フェイスラインのたるみを引き締めるマッサージを教えていただいて、私が感じたポイントがふたつあります。
まずは、マッサージの手順。顔のリンパの出口(鎖骨・耳の下)を、最初と最後に流す。
リンパを高速道路にも例えましたが、出口が詰まっては、リンパも滞ってしまいますね。
そして、リンパを流すときは優しく、筋肉をほぐすときは少し強めに圧をかける。
リンパと筋肉では、深さが違います。
保戸塚 先生は、セルフマッサージのワークショップも開催されていらっしゃいます。
今回のマッサージは、そのほんの一部の内容で、すぐ始められる簡単なものを選んでいただきました。
フェイスラインのたるみが気になっている方は、お試しになってみてはいかがでしょうか?
* 保戸塚 先生の前編の記事は、下からご覧ください。
(取材・文:「キレイの先生」編集部)