「キレイの先生」の編集部です。
ニキビはどちらかというと、顔がオイリーなときに出来やすいイメージがありませんか?
ただそれだけではなく、乾燥肌もニキビの原因になるんです。「乾燥ニキビ」というものです。
自由が丘のエステサロン シュエットchouette の青木 紀子 先生の話をお聞きしても感じるのは、「ニキビはちょっと厄介な肌トラブルだな」ということです。改善するのも簡単ではありません。
今回、青木 先生には「乾燥ニキビ」について教えていただきました。
どうして乾燥肌が、ニキビの原因になるんでしょうか? そして、乾燥ニキビが出来てしまったときは、どう対策すればいいんでしょうか?
目次
乾燥ニキビ
・乾燥肌がニキビの原因に
・ニキビが出来る場所とその要因
乾燥ニキビの対策(スキンケア)
・化粧水での保湿
・ビタミンC誘導体
・洗顔
乾燥ニキビの対策(その他)
・生活習慣(睡眠)
・シェービング
ニキビとは
ニキビは、毛穴に皮脂*が詰まって起こるトラブルです。
毛穴がふさがったり、皮脂の分泌が増えたりすると、皮脂は毛穴の外に出られずに詰まってしまうことがあります。
お肌に白いブツブツが出たことはありませんか? それは、毛穴の中で詰まった皮脂が固まって、毛穴から少し顔を出している状態です。
これを、「白ニキビ」といいます。早期のニキビですね。この段階ではまだ、皮脂の固まりが毛穴の中に詰まっているだけなので、触っても痛みは感じないと思います。
毛穴には、アクネ菌という常在菌(健康な人の身体に日常的に存在する菌)がいます。このアクネ菌は、皮脂が好物です。
皮脂が毛穴に停滞すると、それを栄養にアクネ菌が増殖して炎症を起こします。
すると白ニキビが、「赤ニキビ」に発展してしまうのです。赤ニキビになると、触ると痛みを感じるようになります。
このようにニキビは、正しくケアをしないと、自己流のケアでは悪化させてしまうこともあります。
(ちなみにニキビには、これらの他にも、「黒ニキビ」や「黄ニキビ」といった種類があります)
* 編集部:皮脂は、毛穴の中の皮脂腺から分泌されている油分です。皮脂(油)は汗(水分)と混ざり合って、お肌を覆う膜(皮脂膜)を作ります。皮脂膜は、お肌の中の水分が蒸発するのを防いだり、外の刺激からお肌を守ったりするバリア機能があります。
乾燥ニキビ
ニキビの原因には、「外的な要因(刺激)」・「内的な要因」・「ストレス性の要因」などが挙げられます。
それも、「このニキビの原因はこれ」といったように簡単に特定できるものではなく、下記のような複数の要因が絡み合ってニキビになっていることがほとんどです。
例1) 加齢によって古い角質*が剥がれ落ちずに、お肌を硬くして毛穴をふさいでしまう。
例2) 生活習慣やホルモンバランスによって皮脂の過剰分泌につながる。
例3) 体内環境の乱れによって免疫力が低下する(それがアクネ菌の活動にも影響を与える)
そして、「乾燥肌」もニキビの原因になります。
* 編集部:人の皮膚は、内側で新しい肌細胞が生まれて、それが少しずつ表面に上がって、最後に古くなったものが垢になって剥がれ落ちます。こうして皮膚は、日々新しく生まれ変わっていて、この新陳代謝を「ターンオーバー」といいます。そして、皮膚の表面にある古い肌細胞のことを「角質」といいます。
乾燥肌がニキビの原因に
ニキビは、毛穴に皮脂が詰まって起こるトラブルです。
乾燥肌の方は、お肌の皮脂の分泌が少なく、天然のバリアである皮脂膜をしっかりと作ることができません。
それなのに皮脂が毛穴に詰まるとは、どういうことなのでしょうか?
バリアのない状態のお肌は、角質層*1の水分の蒸発を防ぐことができません。そして、水分のなくなった角質は硬化し、毛穴もだんだんと細くなってしまいます。
すると、ほんの少しの皮脂でも詰まりやすくなるため、乾燥肌でもニキビが出来てしまうのです。
また、人の身体は賢いものです。
お肌が乾燥していると、皮脂を出そうとする性質があります*2。天然バリアの皮脂膜を作って、肌の中の水分を保持しようとするのです。
それが皮脂の過剰分泌につながり、ニキビの原因になる場合もあります。
*1 編集部:皮膚は、「表皮」・「真皮」・「皮下組織」という3層構造になっています。表皮はさらに細かく、「角質層」・「顆粒(かりゅう)層」・「有棘(ゆうきょく)層」・「基底層」に分かれています。角質層は、そのもっとも表面側の層です。
* 2編集部:乾燥肌が皮脂の過剰分泌につながることは、「顔のテカリの原因は肌の乾燥でも?乾燥性脂性肌のスキンケア」でもご紹介しています。合わせてご覧になってみてください。
ニキビが出来る場所とその要因
先程お話したように、ニキビは複数の要因が重なって出来ることが多いです。
例えば、「乾燥肌がきっかけで、そこに他の要因が絡み合って、ニキビになった」ということもあります。
ニキビが出来る場所によって、その要因を推測することができるので、それをいくつか簡単にご紹介させていただきます。
■ (鼻から下の)口元や顎のニキビ
主に、ホルモンバランスの乱れが要因になっていると考えられます。年齢を重ねるとこの場所にニキビが出来ることが多いのですが、それは加齢によってホルモンバランスが崩れやすくなるためです。
■ おでこのニキビ
思春期の頃に多いです。また、シャンプーのすすぎ残しがあると、おでこにニキビが出来やすくなります。
■ 側頭部のニキビ
胃腸の不調による消化不良が、要因に考えられます。
■ 頬などに突然ポッと出来るニキビ
抗生物質の薬を飲んで、ニキビが出来ることもあります。
乾燥ニキビの対策(スキンケア)
化粧水での保湿
乾燥ニキビは、たっぷりと水分を補って、お肌が皮脂膜を作り出せる状態に整えてあげることが大切です。
保湿というと、クリームのイメージが強いかもしれません。
ただ、油分をつけてばかりいると逆に、自然に(皮脂を分泌して)皮脂膜を作る力を弱めてしまう可能性もあります。
水分と油分のバランスを取るために、まずはしっかりと化粧水で保湿しましょう。
このとき、お肌のお手入れを流れ作業にしないことです。
まず化粧水をお肌にたっぷりとつけたら、それから少し時間を置いてみてください。
「お肌がつっぱるな…」、「まだ水分が足りないな…」と感じるようでしたら、さらに化粧水をつけます。
それを繰り返して、「もういいな」、「水分は十分だな」と感じたら、ゲルやクリームで仕上げます。
これで、乾燥しやすい目の部分のカサカサもなくなると思います。
もし、化粧水を何回つけても「足りないな…」と感じるようでしたら、それは化粧水の有効成分が足りていないことも考えられます。
そのときは、お使いの化粧水を見直されても良いかもしれません。
「何回も化粧水をつけるのは少し面倒だな」という方は、ローションパックも良いでしょう。手で化粧水をつけるよりも、しっかり保湿できます。
ただ、ローションパックを長く顔に置いたままにしておくと、かえってお肌の乾燥の原因になります。
ローションパックの時間は、3~5分で十分です。もしくは、上からラップなどで包めば*、パックを長く顔に置いておいても大丈夫です。
* 編集部:ローションパックの上からラップをかける方法は、「化粧水は手よりもローションパック!5段階レベルアップ術」でもご紹介しています。合わせてご覧になってみてください。
ビタミンC誘導体
ニキビが紫外線を浴びたりすると、色素沈着してシミになりやすいです。
ニキビ跡がクレーター状になってしまうと、セルフケアで治すのはなかなか難しくなります。
そこで、ビタミンC誘導体の含まれた基礎化粧品がおすすめです。低刺激・高保湿・高浸透のタイプですと、さらに良いですね。
ビタミンCには、色素沈着を防ぐ作用があります。
これは、ニキビの改善という点では、即効性はあまり期待できないかもしれません。それよりも、ニキビ跡がシミにつながらないように防ぐことが目的といえます。
洗顔
洗顔は本来、泡を顔に乗せておくだけでも汚れを落とすことができます。洗顔するときは、指を地肌につける必要はありません。
特に小鼻のあたりは、指でゴシゴシと洗いがちな場所です。それによって毛穴が開きやすくなって、余計に毛穴が詰まる原因にもなります。
それが、ニキビにもつながる場合もあります。
洗顔は手ではなく、泡で洗うようにしましょう。
乾燥ニキビの対策(その他)
生活習慣(睡眠)
ニキビの根本的な原因になるのが、ホルモンバランスの乱れや体内環境といわれています。
これらを整えることで、少しずつニキビが出来にくく、出来ても悪化しないような身体にすることができます。
身体の内側からのニキビケアを目指し、まずは普段の生活習慣を見直しましょう。
例えば、睡眠です。
人は寝ている間に成長ホルモンが分泌されて、皮膚のターンオーバーが起こって、新しいお肌へと生まれ変わります。
睡眠不足が続くとホルモンバランスが乱れ、お肌の新陳代謝がうまくできなくなってしまい、肌荒れやニキビの原因となります。
忙しい毎日の中で、睡眠時間を十分に取ること難しい人もいると思いますが、意識して睡眠を取るように心がけてみましょう。
シェービング
シェービングは、産毛を剃り落としながら、古い角質も取っていきます。
それによって毛穴が詰まりづらくなるため、ニキビにも効果があります。そして、美容液などの浸透も良くなります。
サロンに以前、真っ赤なニキビが顔中に広がったお客様が、お越しになられました。その方は、真剣にニキビにお悩みになっていて、病院にも行って色々な方法をお試しになっても、なかなかうまくいかなかったそうです。そして、「シェービングがニキビに良い」とお聞きになられたといいます。
それから一ヶ月にいちどサロンにお越しいただきながら、生活習慣なども改善していきました。
それによって、ニキビを完全に治すことはできませんでしたが、ニキビは薄くなり、お客様からは「これまででいちばん良い」とおっしゃっていただきました。
ニキビを改善するのには、シェービングもおすすめです。
ニキビを対策するのに
ニキビは、奥の深いトラブルです。
乾燥肌が原因になることもありますし、内的な要因(胃腸の不調など)が原因になることもあります。
まずは、ご自分のニキビの原因がどこにあるのか、見直すことが大切です。
間違ったケアをしてニキビを悪化させる前に、専門家にご相談されることをおすすめします。
まとめ
「キレイの先生」編集部です。
青木 先生がおっしゃっていたのは、「ニキビのことを短時間ですべてを説明するのは、とても難しいんです」ということでした。
話をお聞きして、「ニキビ」という肌トラブルの厄介さと難しさがよく分かりました。
乾燥肌も、ニキビの原因になります。
乾燥ニキビの予防・改善には、スキンケアでの保湿が大切です。青木 先生に教えていただいた化粧水のつけ方などを、ご参考にしてみてください。
(取材・文:「キレイの先生」編集部)
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