「キレイの先生」編集部です。
エステサロンの先生方に取材するようになって、いま、じぶんの身体に何が起こっているのか、考える機会が増えました。
体調不良は、何が原因なのか?
夜寝付けないときは、何が原因なのか?
お肌の調子がいまいちのときは、何が原因なのか?
女性の身体の状態に深く関係しているのが、「女性ホルモン」です。
女性ホルモンのバランスが乱れると、心身の不調や、肌荒れにつながります。
今回のテーマは、そんな「ホルモンバランス」についてです。
アロマサロン&スクール アロマキュート の井 玲子 先生に、話をお聞きしました。
女性ホルモンは、どんな働きがあるのでしょうか?
そして、ホルモンバランスは、どんなことが原因で乱れてしまうのでしょうか?
井 先生に教えていただきました。
目次
女性ホルモンとは
・エストロゲンとは
・プロゲステロンとは
本日のキレイの先生
アロマサロン&スクール アロマキュート
井 玲子 先生
「キレイの先生」編集部
女性ホルモンとは
井 先生、よろしくお願いします。
今回のテーマは、「ホルモンバランス」です。
ここでいうホルモンバランスの「ホルモン」は、「女性ホルモン」のことで良いのですよね?
はい、そうですね。
ホルモンは、身体の細胞の働きを調節する物質で、身体・お肌・心などに色々な影響を与えます。
現在では、100種類以上のホルモンが確認されています。
その中で、女性ホルモンは、女性の身体に深く関係しているものです。
女性ホルモンには、「エストロゲン」と「プロゲステロン」があります。
ここでいう「ホルモンバランス」は、このふたつのバランスのことです。
エストロゲンとプロゲステロンは、どんなホルモンなのでしょうか?
エストロゲンとは
エストロゲンは、「卵胞(らんぽう)ホルモン」とも呼ばれています。
自律神経の安定に関係していたり、血管を強くしたり、骨量(こつりょう)を調整したりする働きがあります。
他にも、古くなったものを新しく生まれ変わらせる「新陳代謝」を促す作用があります。
妊娠と関係しているところでは、子宮内膜を厚くします。
そして、エストロゲンは、女性らしい身体を作る働きがあります。
コラーゲンの産生を促したりする作用があって、お肌をツヤツヤにしたり、皮下脂肪を蓄えて弾力のあるお肌を作ったり、髪の毛のツヤを出したりします。
また、コレステロールの増加を抑える働きもあります。
ご年配の方が太りやすいのは、エストロゲンの分泌量が減少することも、関係しています。
プロゲステロンとは
プロゲステロンは、妊娠の成立に関わる女性ホルモンで、女性の身体が妊娠しやすいように、子宮内の環境を整えます。
基礎体温を上げたり、身体に水分をためこんだりする働きがあります。
そのため、プロゲステロンが優位に立つ生理前などの時期は、身体はむくみやすくなります。
また、乳腺を発達させる働きなどもあります。
ホルモンバランスの乱れ
女性ホルモンの話をお聞きすると、美容に良いエストロゲンに、つい目が行きがちです。
「だったら、エストロゲンを増やして、プロゲステロンを減らせばいいじゃん」とも思ったりします。
ただ、プロゲステロンも、身体の働きに欠かせない女性ホルモンなのですよね。
はい、そのとおりです。
女性ホルモンには、エストロゲンの分泌が優位な時期と、プロゲステロンの分泌な優位な時期があります。
月経周期によって、ふたつの女性ホルモンの分泌が増えたり減ったりして、バランスが変化しています。
編集部のコメント
井 先生がおっしゃったように、女性ホルモンの分泌量は、月経周期とリンクしています。
下のグラフは、過去の記事で、ご紹介したものです。
月経周期と合わせて、エストロゲンとプロゲステロンの分泌量の増減を表しています。
これは、とても簡単に表したもので、実際はもう少し複雑になるのですが、女性ホルモンのバランスがイメージだけもつかめるのではないかと思います。
女性ホルモンは、一生でティースプーン1杯分しか分泌されない物質です。
それが、少しずつ少しずつ、絶妙な匙(さじ)加減で分泌されていて、些細なことでもそのバランスが乱れてしまいます。
女性ホルモンは、脳の「視床下部(ししょうかぶ)」から「下垂体(かすいたい)」へと指令が出され、その分泌が調整されています。
ホルモンバランスの乱れは、指示を出す「脳」と、指示を受け取る「細胞」の連携が、うまく取れていない状態といえると思います。
ホルモンバランスが乱れると、身体にはどんな影響がありますか?
PMS・月経過多・月経過少・生理痛などの月経トラブルにつながりやすいです。
用語解説
PMSは、「月経前症候群」のことをいいます。生理前に、精神的にイライラしたり、身体が不調になったり、肌荒れが出たりする症状のことです。
月経過多は生理の出血量が非常に多い状態、月経過少はその逆の状態のことをいいます。
ホルモンバランスが乱れると、気持ちの変動が大きくなって、イライラしたり、鬱々(うつうつ)したりすることにもつながります。
また、倦怠感も抱きやすいです。
お肌は敏感な状態になって、ちょっとのことでも刺激になる方も多く、肌荒れが出やすくなります。
また、皮脂(ひし)の分泌が過剰になる場合もあります。
用語解説
皮脂は、毛穴から分泌されている油分です。
お肌の潤いを保つ働きもありますが、皮脂が過剰に分泌されると、べたつきの原因になったり、ニキビが出来やすくなったりもします。
これらのことは、プロゲステロンの分泌が増える生理前に、起こりやすいです。
生理が始まる1~2週間前から、トラブルが表れる方もいらっしゃいます。
ホルモンバランスが乱れる原因
ホルモンバランスが乱れるのは、どんなことが原因になるのでしょうか?
いちばん大きいのは、ストレスです。
女性ホルモンの分泌は、脳の視床下部で指示を出しています。
視床下部は、小さなストレスでも影響を受けやすく、それが、女性ホルモンの乱れの原因にもなります。
また、ホルモンバランスが乱れて月経トラブルが出ている人は、自覚のあるなしに関わらず、大抵、身体の冷えがみられます。
それは、自律神経のバランスの乱れによる血行不良から来ます。
用語解説
自律神経は、人の心と身体をコントロールしている神経です。「交感神経(緊張の神経・昼に優位になる)」と「副交感神経(リラックスの神経・夜に優位になる)」が交互に入れ替わって、バランスを取っています。
これらの神経のバランスが乱れると、心身に様々な影響があります。
自律神経は、女性ホルモンとも関係していて、心身がリラックスできていないと、ホルモンバランスの乱れにもつながります。
また、生活習慣が乱れていると、視床下部の働きが弱くなり、ホルモンバランスが乱れる原因になります。
例えば、睡眠不足などもそうですし、食生活も大きいです。
現代は、多種多様な食べ物があります。
昔よりも、食品添加物の入った食べ物も増えました。
そのことも、ホルモンバランスに影響があるのではないかといわれています。
他には、スマホやPCなどの電気の光も、ホルモンバランスが乱れやすいです。
スマホやPCの光は、自律神経にも影響があると聞いたことがあります。
はい、それも関係しているのでしょうね。
そして、卵巣の病気や、加齢、疲労も、ホルモンバランスの乱れにつながります。
編集部のコメント
ここで、ホルモンバランスの乱れにつながる原因をまとめてみます。
1. ストレス
2. 体の冷え
3. 自律神経の乱れ
4. 睡眠不足
5. 食生活の乱れ
6. スマホやPCなどの光
7. 卵巣の病気
8. 加齢
9. 疲労
井 先生がおっしゃっていたことですが、これらは、ホルモンバランスを乱す原因の一部に過ぎません。
総じて、「身体に良くないこと」が、ホルモンバランスを乱しやすいといえそうです。
まとめ
ホルモンは、身体・心・お肌に色々な影響を与える。
まさに、その通りですね。
ホルモンバランスが乱れると、心身にたくさんの悪影響があります。
女性ホルモンは、一生でティースプーン1杯分しか分泌されません。
日々分泌されているのは、本当にごくわずかの量です。
その分泌がちょっとでも乱れると、心身に大きな影響があるわけですから、とても繊細なものであることが分かりますね。
そこで気になるのは、「どうすれば、ホルモンバランスを整えられるのか」ということでしょう。
そのことも、井 先生にきちんとお聞きしています。
それは、後編の記事でまとめますので、是非合わせてご覧ください。
井 先生の後編の記事はこちら