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乾燥肌からも敏感肌になる?乾燥性敏感肌の対策とスキンケア

本日のキレイの先生

山田 陽子 先生

乾燥肌からも敏感肌になる?乾燥性敏感肌の対策とスキンケア

「キレイの先生」編集部です。

エステサロンの先生方に取材するようになって、分かったことがひとつあります。

それは、お肌の乾燥がとにかく良くないということ。「何を今更…」と笑われてしまうかもしれませんが、本当にそうなんです。

乾燥肌はしわにつながりますし、ニキビにもなります。また、顔のテカリの原因にもなると知ったときは*、驚きました。

そしてお肌の乾燥は、敏感肌の原因にもなります。それが、「乾燥性敏感肌」です。

では、どうして乾燥肌から敏感肌に進んでしまうのでしょうか?

今回は、Salon de Loge の山田 陽子 先生に、乾燥性敏感肌について話をお聞きしました。敏感肌のスキンケアのアドバイスも、いただいています。

「私は敏感肌じゃないから大丈夫」という方にも、予防を兼ねて、ご覧いただきたい内容です。

* お肌の乾燥とテカリの関係については、「顔のテカリの原因は肌の乾燥でも?乾燥性脂性肌のスキンケア」も合わせてご覧になってみてください。

目次

乾燥性敏感肌とは
・敏感肌の症状

乾燥性敏感肌の原因(クレンジング・洗顔)
・オーガニッククレンジングについて

その他の敏感肌の原因
・美顔器
・食事

乾燥性敏感肌の対策1. クレンジング・洗顔
・クレンジング
・洗顔
・すすぎの水

乾燥性敏感肌の対策2. スキンケア
・セラミド
・ヒト幹細胞培養液

乾燥性敏感肌の対策3. スキンケアの工程

まとめ

乾燥性敏感肌とは

乾燥性敏感肌とは

皮膚は何層かに分かれていて、もっとも表面にある層を「角質層」といいます。

角質層にはお肌の細胞が並んでいて、「セラミド(細胞間脂質)」がその隙間をくっつけている役割があります。

編集部のコメント

角質層は「レンガで積み立てられた壁」でよく例えられます。

ひとつひとつのレンガが「肌細胞」で、レンガをくっつけているセメントが「セラミド」です。

この肌細胞がきれいに積み上がっているのが、角質層が整っている状態です。

角質層はお肌のバリアゾーンになっていて、外的の悪いものや化粧品の刺激が内部に入らないようになっています。

また、お肌の水分を保つ役割もあり、セラミドはお肌のうるおいには欠かせません。

このセラミドは体内で作られているものですが、年齢とともに生産量は減少します。また、生活習慣によっても減少しています。

セラミドが減ると、お肌の水分保持力が低下するため、お肌は乾燥しやすくなります。

そして、角質層の細胞と細胞をつないでいるのがセラミドですから、それが減ると、細胞間の隙間が大きくなってしまいます。

それによって、本来は内部に入らなくて良い成分まで入るようになると、お肌が刺激を受けて症状が出てしまいます。

それが、「乾燥性敏感肌」です。

つまり、セラミドの減少によって、お肌が乾燥しやすくなり、バリア機能の低下によって刺激も受けやすくなっている状態といえます。

敏感肌の症状

敏感肌の症状には、下記のようなことがあります。

・かゆみ
・赤み
・皮がむける
・ニキビ・吹き出物
など

これらの症状を繰り返していると、「酒さ」という皮膚の病気につながることもあります。

これは「大人アトピー」ともいわれ、皮膚が真っ赤になって、小さな刺激にもとても弱くなってしまいます。

そのため、敏感肌の症状が出たときは、早めにケアすることが大切です。

乾燥性敏感肌の原因(クレンジング・洗顔)

乾燥性敏感肌の原因(クレンジング・洗顔)

日本人は洗うのが大好きといわれています。

例えば、洗顔フォームの中には、初心者でも簡単に泡立てることのできる、泡立ちの良いタイプがあります。

それらには、「界面活性剤*」・「発泡剤」という原料が多く入っていると考えられます。

界面活性剤は、本来は混ざらない水分と油分を混ぜ合わせる効果があり、それによってお肌への成分の浸透も良くなります。

ただ、この界面活性剤は、角質層のバリア機能を低下させてしまいます。

クレンジング料・洗顔フォームには基本的に、界面活性剤や発泡剤が入っています。

そのため、それらの量を多く使ったり、使っている時間が長かったりすると、角質層のバリア機能が低下し、乾燥性敏感肌の原因になります。

乾燥性敏感肌の原因は、このクレンジング・洗顔がいちばんではないでしょうか?

* 編集部:界面活性剤については、「クレンジングの種類と選び方!合成界面活性剤には注意しよう」でもご紹介いただきました。合わせてご覧になってみてください。

オーガニッククレンジングについて

化粧品の中には、「オーガニック化粧品」と呼ばれているものがあると思います。

これらは本来、無農薬の植物の原料から作られた化粧品のことをいいます。

ただ日本では、化学物質の中にその原料がひとつだけしか入っていなくても、「オーガニック」と言っている化粧品もあるようです。

また、「100%オーガニック」のものでも、植物から抽出した成分で、植物由来の界面活性剤を使っています。

それは天然の成分かもしれませんが、結局は界面活性剤と同じ役割をします。そして、それらは合成界面活性剤と比べて、効き目が強いわけではありません。

そのため、製造時に合成のものよりも大量に配合されているケースも多くみられます。また、「植物性だから安心」とダブル洗顔をしたりしてその使用量を増やすと、今までよりもお肌に刺激を与えてしまう場合もあります。

オーガニックのクレンジング料・洗顔フォームでも、「量を使いすぎない」、「時間をかけすぎない」といったことは同じです。

その他の敏感肌の原因

その他の敏感肌の原因

美顔器

スチーマー・イオン導入機・ポレーション・キャビテーションなど、ホームケア用の美顔器も価格が下がり、一般的になってきました。

例えばポレーションは、特殊な電気周波数でお肌の細胞間の隙間を広げて、そこから美容成分をお肌の内部にまで浸透させる*ためのものです。

すると、「使えば使うほど、美容成分をたくさんお肌の内部に入れられる」ようなイメージを持たれるかもしれません。

ただそれは、お肌のバリアゾーンを一時的に広げ、本来は必要のない成分まで肌細胞に届けてしまいます。

例えば、「ナノ化」を売りにした化粧品がありますがそれは、有効成分はナノ化されていますが、それ以外の防腐剤・安定剤・界面活性剤などは通常、お肌の内部にまでは浸透しません。

しかし、美顔器などをお使いになると、それらの成分までお肌の内部に浸透してしまう場合があります。すると、細胞にいたずらをして刺激を与え、それが敏感肌の原因にもなります。

美顔器の説明書には、推奨の使用時間の記載があると思います。美顔器をそれよりも長い時間お使いになると逆効果になることもありますので、説明書の使用時間を守るようにしましょう。

* 編集部:基本的に化粧品が浸透するのは、角質層までです。

食事

現代社会は、合成添加物の入った食べ物が多く出ています。

出来れば毎日、台所で手をかけた食事を作れれば良いですね。ただ、お子さまをお持ちのママでも、働いていたりすると忙しくて、インスタントな食べ物を子どもにも食べさせることもあるのではないでしょうか?

成長期にそういった食生活が続くと、30代以降になったとき、それまでは肌トラブルもあまりなかったのが、吹き出物が出たり、皮がむけたりして敏感肌(やトラブル肌)になりやすくなります。

子どものときからの食生活も、敏感肌の原因になります。

乾燥性敏感肌の対策1. クレンジング・洗顔

乾燥性敏感肌の対策1. クレンジング・洗顔

乾燥性敏感肌になるのには、クレンジング・洗顔が大きな原因です。

そのため、敏感肌の症状が出たときは、まずはクレンジング・洗顔を見直してみましょう。

クレンジング

メイクをしていない日は、外出した時間が多く「排気ガスがたくさんついているかな?」と気になるときでも、その夜はクレンジングをしなくても大丈夫です。

クレンジングは、メイクを落とすためのものです。

メイクはお肌の上に乗っていて、クレンジングでそれを浮かし取ります。

そのため、クレンジングは少量で短時間でも、メイクを落とすことができます。

また、しっかりお化粧をしたときでも、クレンジングはオイルタイプよりも、例えばジェルタイプやミルクタイプの方がおすすめです。オイルタイプは、お肌に必要な油分まで取りすぎてしまうことがあります。

ただジェルタイプ・ミルクタイプでも、界面活性剤がかなり多く入っているクレンジングもありますので注意しましょう。

洗顔

乾燥性敏感肌の対策 洗顔

先程もお話ししましたが、泡立ちの良い洗顔フォームには、界面活性剤や発泡剤が多く入っていると考えられます。

そういったタイプよりも、自分で一生懸命に泡立てなければいけないような洗顔フォームや固形石鹸がおすすめです。

また泡立てるときは、手に油分が多いと泡立ちにくいです。まずは手を石鹸で洗ってから泡立てるようにすると、泡立ちも良くなると思います。

すすぎの水

顔をすすぐときの水は、人肌くらいのぬるま湯が基本です。

ただ、お肌の調子が良いときは週に1~2回、42度以上のお湯ですすぐ方法(ヒートショックプロテイン活性法)もあります。または、42度以上のホットタオルを使うのも良いですね。

それによって細胞に活を入れて、生まれ変わりを促してあげるイメージです。

敏感肌で傷ついた細胞が、元気な細胞として生まれ変われば、敏感肌の改善にもなります。

乾燥性敏感肌の対策2. スキンケア

乾燥性敏感肌の対策2. スキンケア

セラミド

乾燥性敏感肌は、角質層のセラミドが加齢などにより減少して、バリア機能が低下している状態です。

セラミドは体内で作られていますが、乾燥肌から来ている敏感肌のときは、不足しているセラミドを化粧水で補ってあげることもおすすめです。

特におすすめなのは、エステサロンなどで使われる業務用の化粧水です。これらには、セラミドが高濃度で配合されている化粧水が多くあります。

市販の化粧水は、セラミドの配合量がわずかでも「セラミド配合」とうたわれていて、高濃度に配合されているものは多くない印象があります。

もし行きつけのエステサロンがあれば、業務用の化粧水を分けていただけないか、先生に相談されるのも良いと思います。

ヒト幹細胞培養液

また乾燥性敏感肌には、細胞を元気にするような成分も良いですね。

おすすめなのが、「幹細胞培養液」です。これは、昨今のエステ業界で注目を集めている成分です。

幹細胞培養液には植物性のものもありますが 、細胞を元気にさせる作用では、「ヒト幹細胞培養液」がおすすめです。

ヒト幹細胞培養液は私のサロン(Salon de Loge)でも取り扱っています。幹細胞培養液は美容業界で取扱いができますが、幹細胞は医師のみの取扱いです。

ご興味のある方は、きちんと理論を学んだ美容家のアドバイスを受ける受ける方が、より効果的にお使いいただけると思います。

乾燥性敏感肌の対策3. スキンケアの工程

乾燥性敏感肌の対策3. スキンケアの工程

お客様と話していると、「私は乾燥肌なので…」と、洗顔後すぐに化粧水・クリームをおつけになるような方が多いようです。

私はお客様に、「洗顔後に化粧水をつけて、クリームをつけるまで10分待ってみましょう」とお話しすることがあります。

出来ればそれを、一週間お試しになってほしいと思います。

お肌は、皮脂と水分が混ざりあった「天然クリーム」を作り出します*。これは、皮脂と水分のバランスが大切で、それが崩れると乾燥肌にもつながります。

洗顔後すぐに化粧水、クリームをおつけになっていると、お肌が自分で皮脂を分泌する力が弱くなる原因になります。

すると、皮脂と水分のバランスが崩れて、お肌は乾燥しやすくなってしまいます。

そこでおすすめしているのが、上の方法です。

洗顔後に化粧水をつけてから、クリームをつけるのをしばらく待つことで、お肌が「皮脂を分泌しなければ」と促されて、皮脂を出すトレーニングを始めます。

これによって最初は、お肌のツッパリを感じるかもしれません。ただ、それを繰り返すことで、ツッパリ感も次第に落ち着いてくると思います。

ツッパリ感が「我慢できない」という方も、(化粧水からクリームをつけるまでの間を)最初は5分、次は10分、最終的には15分といったように、様子を見ながら少しずつ伸ばしていくのも良いでしょう。

お肌が自分で皮脂を分泌できるようになると、お肌の中からうるおって、小じわの軽減にも効果があります。

そして、仕上げのクリーム(や乳液)は、薄くつけて「ふた」をしてあげれば大丈夫です。

* 編集部:皮脂は毛穴から分泌され、汗などの水分と混ざり合って保護膜(皮脂膜)を作ります。これが、天然クリームといわれるものです。

まとめ

「キレイの先生」編集部です。

乾燥性敏感肌は、角質層のバリア機能が低下した状態だったんですね。

セラミドが減少すれば、お肌は乾燥しやすくなりますし、刺激にも弱くなります。

やっぱり乾燥は、お肌にとっていちばんの大敵といえますね。

クレンジング・洗顔がそのいちばんの原因になることは、他の先生方にも教えたいただきました。

山田 先生の「オーガニック系のクレンジングはメイクの溶けが弱いと、量を使いがち」というお話は、「たしかに」とうなずけました。オーガニックでも、量を使いすぎてしまっては逆効果です。

乾燥肌が原因で敏感肌になってしまった方も、そうではない方も、山田 先生の教えていただいた対策方法はお肌にプラスですので、ご参考にしてみてください。

(取材:「キレイの先生」編集部 文:Salon de Loge 山田 陽子 先生、「キレイの先生」編集部)

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