女性のお肌や身体は、女性ホルモンの影響を受け、その周期によって状態がまったく異なります。お肌が元気なときもあれば、不調が出やすい時期もあります。前回の記事では、お肌にとても良い時期「卵胞期」についてご紹介しました。今回、ご紹介するのは、生理の前後の「黄体期」と「月経期」についてです。これらの時期は、お肌の状態があまり良い時期とはいえません。
月経周期のおさらい
まずは、「黄体期」と「月経期」がどの時期に当たるのか、月経周期について、簡単におさらいしましょう。
上記のグラフのように、月経前の約12日間が「黄体期」、月経が始まってからの約5日間が「月経期」です。
(詳細は「生理のこと理解できている?月経周期の基本を簡潔に解説する」をご覧ください)
黄体期のお肌は「敏感肌」
黄体期は、女性ホルモンのひとつ「プロゲステロン」の分泌量が増えます。一方で、「エストロゲン」の分泌量が減少します。
プロゲステロンの影響で敏感肌に
卵胞期の記事でもご紹介しましたが、エストロゲンは「美のホルモン」といわれ、女性らしさをつくります。卵胞期がお肌にとても良い時期なのは、このエストロゲンの働きが大きいです(詳細は「生理後の「卵胞期」のお肌と身体はとても元気!」をご覧ください)。
プロゲステロンは「ママのホルモン」といわれています。妊娠を維持する作用のほかに、エストロゲンの作用を抑制し、体温を上昇させます。
プロゲステロンの分泌量が増えると、皮脂分泌が増えます。血流も良く皮膚温が高いため、化粧品などからの成分の吸収率は上がっています。しかし、皮脂分泌が多いため、コラーゲンやエラスチンの低下によって、肌内部のバランスが乱れてしまい、成分をうまく受け取ることや、維持ができにくい「敏感肌」となります。
ニキビ・乾燥・シミが表れやすい
そして、皮脂の分泌が増えるため、「ニキビ」も出やすくなります。
また、黄体期には、潤い成分のセラミドも減少するため、「乾燥」が気になったり、メラニンを刺激するホルモンが分泌されるため、シミが出やすかったりします。
このように、黄体期は、さまざまな肌トラブルが表れやすく、お肌にあまり良い時期とはいえません。
身体と気持ちも不調に
不調になるのは、お肌だけではありません。
プロゲステロンは、腸のぜん動運動を抑制する働きがあるため、便秘になりやすいです。また、水分を溜め込むため作用があるため、むくみやすくなります。
気持ちも情緒不安定になったり、イライラしたりなど、影響を受けます。
黄体期は、お肌にも、身体にも、気持ちにも、不調が表れやすい時期なのです。
黄体期のスキンケア
敏感肌を刺激しない
黄体期は、お肌が敏感な時期ですから、スキンケアにも気を配っていただきたいです。
例えば、メイク落としは刺激の少ないものを使ったり、化粧水はコットンでつけるのではなく、手でつけてあげたりして、お肌にできるだけ刺激を与えないように注意してみてください。
また、この時期は、化粧水プラス、クリーム のシンプルケアとするのも良いと思います。
高温期ならではのお肌のケア
また、黄体期は「高温期」ともいうように、基礎体温が高い時期です。
それは、血流が良いということです。
黄体期では、もともと血流は悪くないため、お顔のツボを押したりして、老廃物を流してあげる排出ケアでむくみ対策をしてあげると良いと思います。
ハッピーホルモンを増やす
また、スキンケアではありませんが、情緒不安定になりがちなこの時期には、ハッピーホルモンの分泌を増やすことを心がけると良いでしょう。ハッピーホルモンが増えると気持ちが安定します。
下記のようなことがお勧めです。
・ウォーキングなどの有酸素運動をする
・朝日を浴びる
・ふわふわしたぬいぐるみやペットをさわる
月経期のお肌は「乾燥肌」
月経期のお肌は、乾燥しやすいのが特徴です。
エストロゲンの低下によって、潤い成分のセラミドも、減少します。
血流もあまり良くないため、酸素も少なく、皮膚温は最も低くなっています。
黄体期からエストロゲンとセラミドが減少
エストロゲンは黄体期から分泌量が減少し、それは月経期まで続きます。それとリンクし、セラミドの生成量も、黄体期から減少が続くとお考えください。
そのため、月経期は、「乾燥肌」になりやすいです。
また、月経期には、生理痛や腰痛などが表れやすく、イライラしたり倦怠感があったりするなど、黄体期から引き続き、身体も気持ちも良い時期とはいえません。
月経期のスキンケアは「保湿」
月経期のお肌は乾燥しがちですので、しっかりと保湿していただきたいと思います。例えば、セラミドの分泌量が減少するため、セラミド配合の化粧品をお使いになるのも良いと思います。
また、スキンケアで、ひとつひとつのアイテムの後に、ハンドプレスをしてあげるのも良いでしょう。月経期は皮膚温が低いため、ハンドプレスでお肌を温めて、美容成分をお肌にしっかり与えてあげます。
その他、特に乾燥が気になるところに、クリームを重ねづけしたり、お手入れの最後にオイルをプラスしてあげたりするのもお勧めです。
身体を温める
月経期は、基礎体温が低く、血流が滞る時期です。これは、お肌に限ったことではありませんが、血行を良くして、身体もケアしてください。
・入浴で身体を温める
・股関節部分を手の平で温かくなるまで軽くさする
まとめ
月経周期のグラフをご覧になると、お分かりいただけるかと思うのですが、月経周期でお肌(や身体、気持ち)の調子が良いのは、卵胞期の約一週間のみといえます。
女性の方は月経と約40年間は付き合うことになりますから、そのほとんどの時期は、不調が表れやすい状態と考えることもできます。
例えば、月経のイメージがマイナスだと生理痛がひどくなるので、「デトックス期」「リセットできる期」と考えて、楽しんでください。そういう前向きな気持ちが、「美」に影響を与えてくれます。
皆さまにも、それぞれのサイクルに合わせて、気持ちよくお過ごしいただけるような生活スタイルを取り入れてほしいと思います。
(取材:「キレイの先生」編集部 文:アロマテラピーサロン 猫のおなか 橋本 かな 先生、「キレイの先生」編集部)