美容のスペシャリストが教えるキレイ

紫外線が肌老化につながる理由をお肌の構造から読み解く

本日のキレイの先生

三宅 由美 先生

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年をとるにつれて、シミやしわなどのお肌の悩みが増えてきます。それはお肌の老化現象です。お肌の老化には、いくつかの原因が考えられますが、いちばんはやはり紫外線です。では、どうして紫外線がお肌の老化につながるのでしょうか? それを知るためには、お肌の構造や働きを知る必要があります。

皮膚の構造

皮膚 = 表皮・真皮・皮下組織

皮膚は、上から「表皮」・「真皮」・「皮下組織」という層が重なって構成されています。

・表皮:厚さが約0.2mmでとても薄いです。おおよそ、通常のコピー用紙2枚分の厚さです。

・真皮:表皮の下にある層です。コラーゲンやエラスチンがあり、お肌の弾力の元になっています。

表皮 = 角質層・顆粒層・有棘層・基底層

厚さが約0.2mmの表皮は、上から「角質層」・「顆粒層(かりゅうそう)」「有棘層(ゆうきょくそう)」・「基底層」という層が重なって構成されています。

表皮のいちばん上にある「角質層」は、お肌を守るバリアのような働きがあります。外部からお肌の中に異物が入り込まないように、お肌を守っています。実は、お水も角質層の働きによって、お肌の中に入り込みません。お風呂に入っても、体が水ぶくれしづらいのは、そのためです。そのため、現在の化粧品は、非常に小さなナノ粒子の成分で、細胞と細胞の間から入っていくような商品が多くなっています。

このように、厚さが約0.2mmのとても薄い表皮は、さらに4つの層に分かれています。表皮は、とてもデリケートな精密機械であり、お肌を守る強固なバリケードといえます。

お肌が生まれ変わるターンオーバー

お肌の老化を考えるうえで、外せないキーワードが「ターンオーバー」です。ターンオーバーとは、お肌の生まれ変わりのことをいいます。新しい肌細胞が生まれ、古い肌細胞がはがれ落ちていく、お肌の新陳代謝です。

基底層 → 有棘層 → 顆粒層 →角質層

新しい肌細胞は、表皮のいちばん下の層「基底層」で生まれます。そして、新しい肌細胞に押し上げられるようにして、古い肌細胞は、基底層から有棘層、そして顆粒層、角質層へと上がっていき、最終的にはアカとなってはがれ落ちます。

ターンオーバーの周期は28日

このお肌の生まれ変わりは基本的に、28日の周期で回っています。新しい肌細胞が生まれてから、それぞれの層での工程には、おおよそ下記の時間がかかるとされています。

・基底層~顆粒層:約14日間

・角質層:約14日間

ターンオーバーがうまくいかなくなってしまうと、古い肌細胞がはがれ落ちずに残ってしまい、シミやしわなど、お肌の老化現象につながってしまいます。ターンオーバーをしっかりと回すことが、きれいなお肌でいるために大切なことです。

ターンオーバーにおける真皮層の働き

ただ、ターンオーバーは表皮の働きだけで、おこなわれていることではありません。真皮層もターンオーバーに深く関わっています。

真皮の毛細血管が栄養を運ぶ

表皮がターンオーバーを働かせるためにも、栄養が必要です。ただ、表皮には血管が走っていません。そこで、真皮に走っている毛細血管が、表皮に必要な栄養を運んでいるのです。

基底膜が栄養のやりとりをコントロール

栄養のやりとりをコントロールしているのが、表皮と真皮の間にある「基底膜」という膜です。ターンオーバーに必要な栄養は、基底膜を通じ、真皮から表皮に運ばれています。

また、基底膜には、表皮でのターンオーバーで使い古されたものを、真皮の毛細血管を通じて静脈にもどす働きがあるとも考えられています。基底膜はターンオーバーのキーマンなのです。

紫外線が老化の原因になる理由

ターンオーバーのキーマンである基底膜は、紫外線にとても弱いです。紫外線を浴びるとダメージを受けてしまい、表皮と真皮との間でのやりとりをコントロールする働きが、うまくいかなくなってしまいます。すると、表皮に栄養が行き届かなくなったりして、ターンオーバーも乱れてしまいます。その結果、シミやシワなど、お肌の老化につながりやすくなるのです。

これが、紫外線がお肌の老化の原因になるメカニズムです。紫外線はこれ以外にもお肌にいろいろな悪影響を与えますが、お肌の老化という点からも、とても悪いものといえるでしょう。

オゾン層の破壊で紫外線が強い現代社会

昔と比べると、紫外線によるお肌のダメージは、深刻になっています。昔はオゾン層によって紫外線から守られていました。しかし、現在では、オゾン層の破壊によって、より強い紫外線が地上に降り注いでいます。当然、お肌にも良くありません。紫外線によるお肌の老化は、これから一層問題になると思います。